春の岬に来て
三越左千夫
潮騒が歌うようにはなしかけてくる
菜の花が風にゆすられて
うなずきながら聞いている
海の見える丘の畑は光がいっぱい
やわらかな光に祝福されて
花の中にすわっていると
心が黄色くそまってくる
青い海に瞳があらわれる
明るい春の岬のながめは
御馳走のうちのひとつだ
潮の風と花の匂いにつつまれて
いっそう心がふくらむ
心をふくらませているのは
旅のわたしたちばかりではない
バレリーナの蝶も縞模様の蜂たちも
春のパーティーに酔っている
菜の花・・・快活
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