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もう赤ちゃんじゃない一人立ちした娘

下の娘が就職するために家を出て1年が経とうとしている。
いなくなった当時は、リンゴを4分の1に切るだけでも涙が出ていた。わが家は4人家族なので、リンゴ1個を4等分するとちょうどよいのだ。それが3人になると1切れ余る。余った1切れのリンゴを見ただけで、娘が家にいない事実が実感としてわいてきて切なくなったものだ。

その娘が泊まりに来た。
娘は栄養士として保育園に勤めている。お局様の言動に苦しめられたり、給料が安かったりで、仕事のモチベーションが下がっているのを聞いていた。
ところが、最近は仕事が楽しくなってきたという。
子どもたちに接すると、エネルギーがわいてくるのだとか。さらに、管理栄養士になるための勉強も始めたらしい。親御さんへの、お子さんのアレルギー対応や離乳食相談にも、より良いアドバイスをしてあげたいそう。苦手だったお局様も、料理は尊敬できるので吸収しようとしている。1年目は仕事で疲れて家に帰ると寝るだけだったのが、勉強する意欲がモリモリわいてきているのだ。

私の近況報告もしてみる。先日さとゆみさんのライター講座を受けて聞いてきた、「書くこと」について私は上から目線で喋り出す。
私「『書くこと』って何だと思う?」
娘「自分の思っていることを伝えること?」
私「それだけじゃ足りなくて、伝わるようにすることなんだって」
娘「なるほど。それで言うと、保育園で子どもたちに喋るときに気をつけていることがあるんだ。その子がどこまでわかっているかを、考えながら喋ることが大切なんだよね。この子は本当に理解しているか、顔や反応を見ながら」

娘のほうが、よっぽど真剣に「伝えること、伝わること」に向き合っている。
私なんて、今でも記事を書くときのペルソナに悩むことがあるのに。

それから、リーダーについての本を読んでの感想を娘が言い出す。
娘「リーダーになるには、相手の言うことをまず受け止めることが大切なんだそう。そういうのって、小さいころからの教育が大切だと思うんだよね。だから、保育園では子どもの言うことをまず受け止めるようにしている。子どものころから受け止められた経験をしていると、肯定感が育つと思うんだ」

私は、娘が辛いんだったら、早く職場を辞めてもいいと思っていた。もうちょっと続けたほうがいいんじゃない、と思う反面、娘を守りたい一心で、安易な方法を取らせようとしていたのだ。
「そんなに辛いなら、もう(保育園を)辞めて、次を探せばいいじゃない」という言葉を言わなくてよかった。

いつまでも甘えてくる赤ちゃんだと思っている娘が、どんどん先に歩んでいく。私はただ、その姿を信じて見守ればよいのだ。

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