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Vol.34#挑め!Leading Article/増える英国人

その日のLeading Articleから解釈の決め手となった語彙を記録していきます。身につけば読む事がどんどん”楽”になります。

英国統計局による試算が正しければ、英国の人口は2026年まで7000万人を超え、2036年には7370万人に到達する見込みです。人口減とその結果訪れるとされている経済の縮小に頭を悩ませる日本やイタリア、韓国の先進工業国にとっては羨ましい限りといえる状況です。しかし、そうした人口増を支えているのは増え続ける移民に他ならず、様々な問題を伴っています。

”経済のプレミアリーグ”からの降格必至の我らが日本の状況と比べながら、読み進めていく事にしましょう。



◎今日のLeading Article:増え続ける英国人

That western nations need the top-up provided by immigration is clear. Japan, Italy and South Korea are facing demographic meltdown as their birthrates plunge, and with them the number of workers available in future to sustain the elderly. Forecasts suggest that these countries — with fertility rates well below the replacement level of 2.1 children per woman — will drop out of the premier league of economies as their populations shrink. Japan, for one, is expected to witness a staggering 30 per cent fall in its citizenry by 2070.

There is debate about whether a falling population necessarily translates into a stagnant or shrinking economy. But it is generally accepted that an older, less inventive, less entrepreneurial, more dependant society is not conducive to healthy growth. In forecasts of future economic powerhouses Britain does well, remaining in the top 10 economies even as rivals such as France are relegated and replaced by countries with younger populations such as India, Indonesia and Nigeria. This is because Britain is expected to remain a welcoming destination for migrants. But this is not an argument for unbridled immigration.

Newcomers need homes, schools, hospitals and roads, assets that Britain’s sclerotic planning system is ill-suited to provide. And most of them will be needed in southeast England where nimbyism is potent. Instead of the current 240,000 new homes being built annually some 380,000 will be needed. This represents a huge challenge for future governments. Labour is promising an expansion of housebuilding if elected. But a swelling population may require entire new towns built on greenfield sites, a policy fraught with peril.

□解釈のポイント■■■

① top-up /補充

お酒やガソリンなどの液体を注いで補充する事。液面を上げるというイメージです。Anyone ready for a top-up?(おかわりの準備ができている人!)というと景気の良い飲み会フレーズとなります。またガソリンの場合は、"Top her up!"(満タンで!)というオーダーとなります。

出生率が下がってしまっている先進工業国では自国民だけではなく、外から人が移住してこないと人口規模が維持できないというわけですね。日本の様に移民に対して大規模に門戸を開いていない国は人口減少を受け入れる他ありません。

②relegate/降格させる

成績がふるわずプレミアリーグ等の上位リーグから降格させられる事。逆はpromoteですね。

人口減により国力が落ちて”経済のプレミアリーグ”から2部リーグに降格してしまうフランスを尻目に、移民による人口ボーナスで上位10位に踏みとどまる英国という構図です。労働供給減社会の先に待ち構えているのは停滞なわけですね。

③nimbyism/地域エゴ

Not In My Backyard(我が家の裏には置かないで)という言葉が短縮されてnimbyとなっています。ゴミ処理施設などの公共施設は必要不可欠な事は理解するものの自分の近所には持ってこないでほしいという様な考え方ですね。

移民が増えると言う事は、その人たちが住む住宅が必要となるわけですが英国の柔軟性を欠く仕組みの中でそれが実現するとは思えないという懸念です。また、既存の住民達も移民のための街や学校での受け入れを歓迎するとは限りません。むしろ未知の文化への懸念から反対する人が多いことが懸念されています。

■試訳

欧米諸国にとって移民が提供する人口の補充が必要なことは明白だ。日本、イタリア、韓国は出生率低下による急激な人口減に直面しており、これにより将来高齢者を支えるのに必要な労働者数が減っている。統計によれば、これらの国々は出生率が人口規模維持水準である2.1%をゆうに下回っており、人口縮小により経済のプレミアリーグから降格する見込みだ。例として、日本は驚くべき事に2070年までに人口が30%も減少する見込みである。

人口減が必ずしも経済の停滞ないし縮小を意味するかについては議論があるが、通説としては、高齢者が多く、新たな発明もなく、起業する人も少ない依存がちな社会は健全な成長に寄与しない。その中で将来の経済の原動力に関する予測で英国は健闘しているといえよう。ライバルのフランスが降格し、若い人口を擁するインド、インドネシア、ナイジェリアに取って代わられているのを尻目に、上位10国に踏みとどまっているからだ。この理由は英国が移民達を受け入れ続ける事が見込まれている事だ。しかしながら、これは何も考えずに移民を支持すべきという話ではない。

新たに英国にやってきた人たちは住居、学校、病院、道路を必要とする。これらを提供する事に英国の硬化した計画システムは適していない。そしてその大半が地域エゴの強い英国南東部で必要とされることとなる。新規住宅は年間必要数は24万戸とされているが、それが38万戸となる。これは将来の政府にとっては大きな試練だ。労働党は政権についた暁には、住宅建造を拡大すると公約している。しか人口が増大すれば原野に全く新しい街を建造する事が必要となり、これは危険を孕む政策だ。

◇一言コメント:

タイトルの”quality over quantity”は量より質という意味ですが、人口を支える移民ですが、何が何でもというわけでなく技能の低い移民は抑制する政策をとるべきという主張です。一度移民が認められれば、その家族にも扶養者VISAが発行され、様々な社会保障の恩恵を受ける事ができます。増えれば誰でもいいという事ですすめるとマイナスの側面だけが際立ってきます。

山形にいると人口が減り、労働力の人口ボーナスが消える世界が目前に迫ってきている事を感じます。中小企業でさえも無理して休日数や初任給の嵩上げをしない事には社員数を維持できず、退職ラッシュにより人手不足に拍車がかかります。かといって外国人労働者にとって魅力的な労働環境があるわけでもなく。木下斉さんのvoicyで言われているように規模の維持に活路を見出す時代は終わったという事だと思われます。とにかく単価の高い製品を開発し、コストを抑えて生産するという無理ゲーに挑む他ありません。

☆2024年2月3日の出来事

・昨日は日曜日なので、今日のは遡って2月1日の記事です。


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