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Vol.40#挑め!Leading Article/あまりに高齢なバイデン大統領

今日のテーマは”大丈夫?バイデン大統領”です。エンジンや穀物を使ったイディオムも登場しますよ!

🔹🔸このコラムでは毎朝その日のLeading Articleから解釈の決め手となる語句を3つ選んで解説していきます。身につけば英語を読む事がどんどん”楽”になります🔹🔸

アメリカの大統領は世界で最も重要な役職の一つですが、年齢の上限に関する規定はありません。35歳以上であれば、何歳でも大統領に就任できてしまいます。現職のバイデン大統領は81歳。弁護士資格を持ち、政治家としても様々な功績を残した大統領ですが、近年認知能力に疑問符がつく場面が増えてきています。
英国人にもそんなバイデン大統領の様子は懸念すべきものとして映る様です。いくつかのイディオムに注意しながら、読み進めていきましょう。


◎今日のLeading Article:"Biden: His Time"

Joseph Robinette Biden was the oldest man to be elected US president when he ejected Donald Trump from the White House in 2020. He was 77 then and will break his own record if, at 81, he vanquishes Trump again in November. The novelty of a president of Mr Biden’s age can be judged from the fact that four of the five surviving former US presidents are younger: only Jimmy Carter, at 99, exceeds him in life lived. Even if Mr Biden were firing on all cylinders cognitively, his age would be of concern. But he is not, and obviously so.
Painful viewing has been provided recently by Mr Biden’s public confusing of President Macron of France with President Mitterand, a predecessor, and Angela Merkel, then German chancellor, with her predecessor, Helmut Kohl. Even as Mr Biden chided Mr Hur for his impertinence he appointed President Sisi of Egypt as the head of state of Mexico. These are glaring mistakes that Mr Biden’s political bodyguards are finding difficult to dismiss. Grist to the mill for Mr Trump in his battle against “sleepy Joe”. TV debates between them, for those of a Democratic bent, could be excrutiating.
Despite these humiliating episodes Mr Biden, prickly in private, is not short of self belief. Having bested Mr Trump in 2020 he believes only he can save America from the dark lord of populism, almost certain to be the Republican nominee.
The Democrats are ill-disposed to challenge an incumbent who refuses to budge. A majority of Americans are less squeamish: they believe Mr Biden is too old and should go. With an improving economy and 91 felony charges facing Mr Trump the incumbent party should be set fair. Instead, the vanity of the captain threatens to sink the ship.

□解釈のポイント■■■

①fire on all cylinders /精一杯やる

エンジンは空気と燃料の混合物を爆発させて発生させた圧力をcylinder(気筒)に流し、そこに格納されたピストンを往復運動させる事で回転を生み出します。そのcylindarは複数搭載されているのが通常です。このフレーズはそれらを全て動かしている状態、つまりエンジンが最大出力で動いている状態を意味します。work on all cylindarという形でも使われますね。

バイデン大統領がどれだけ良いコンディションで、どれだけ集中して頭を使ったと仮定してもいかんせん81歳です。心配するなという方が無茶でしょうという事ですね。しかも、その仮定でさえも成り立っていない、年齢はやっぱり懸念事項だという辛口なコメントになっています。

②Grist to the mill for/敵に塩を贈る

Gristは既に挽いて粉にした状態の穀物の事です。ポイントは既にという部分で、相手の粉挽機に自分が既に粉にした穀物を提供してしまう事から自滅行為を意味する言い回しです。日本の言い回しでは贈るものがちょっと違って、塩ですね。

みんながバイデン氏の能力に疑問を持てば持つほど、トランプ氏がましに見えてくるという構図です。どっちもどっちですが。

③set fair/安定した天気

天候が晴れていて崩れる様子もないという状態を意味します。The weather looks set fairなどと使う様です。

民主党優勢は揺るがないはずだという表現ですが、そんな穏やかな海でも船長が判断を誤れば船が沈むこともあるという次の表現につながっていきます。

■試訳

Joseph Robinette Bidenは2020年にDonald Trumpをホワイトハウスから追い出した当時、77歳。史上最も高齢の大統領就任であった。そんな彼が11月に再びトランプを打ち破ったとすると自らの打ち立てた記録を更新し81歳での就任となる。バイデン大統領の年齢が稀有なものである事は現在生存しているアメリカ大統領経験者5名のうち4名が彼よりも若いという事実からも明らかだ。99歳のJimmy Carterだけが彼よりも高齢なのである。仮にBiden氏がまったく無駄なく頭を使えたとしても、それでも彼の年齢は懸念である。実際のところ無駄は多く、懸念は明白だ。
痛々しい場面も多くなってきている。バイデン氏が公の場でフランスのMacron大統領を後任のMitterand氏と混同したり、当時のドイツ首相Angela Merkel女史を後任のHelmut Kohl氏と区別できなかった。Hur氏の失礼な振る舞いに小言を言う際でさえ、エジプトのSisi大統領をメキシコの国家元首にしてしまった。これらはとんでもない間違いであり、バイデン氏を政治的に擁護する人たちでさえも無視できないものだ。トランプ氏にとっては”ぼんやりjoe”との戦いでの願ってもないチャンスとなる。民主党よりの人にとって二人のTV討論は耐え難いものとなる可能性がある。これらのエピソードは恥ずべきものであるが、バイデン氏は苛立ちながらも自信を失っていない。2020年にトランプ氏を退けた経験から、共和党候補者となる事がほぼ確実な大衆迎合主義のダークロードからアメリカをその手から救えるのは自分だけだと信じている。
民主党員は少しも退こうとしない現職に物申すのに消極的になっている。一方で大多数のアメリカ人はそこまで気を使ってはいない。バイデン氏が歳をとりすぎており退任すべきだと考えているのだ。経済が回復傾向でトランプ氏が91件もの重罪容疑をかけられている今、民主党としては安泰であるはずだが、それでも船長の見栄が船を沈めないとも限らない。

◇一言コメント:

アメリカは人材(talent)の国であるとされており、優秀な人材がその国力を担保しているとされています。
そんなアメリカで大統領のような重職を担う人材が見つからないとは思い難いですが、そこには選挙や政党運営の難しさが潜んでいるのかも知れません。
ただ他の国の大統領を間違えちゃうのは流石にやばいですね。


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