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はかばかしくない話

多くの嫁にとって、義母とはどういう存在なのだろうか?
敵!という人もいれば、いちばんの味方だという人もいるだろう。
わたしの義母はといえば「ときどき厄介なことを言い出す人」です。
遠方にある墓をしまって近くに墓を建てることになったので、書類だなんだの仕事が発生するわけだが、その辺はちゃんとやってくれて助かる。
お墓をしまう前に一度手を合わせに行きたい、というので夫が連れていくことになっているが、まあその気持ちもわかる。
義父母と夫と私でお茶を飲みながらそういった話をして、思いのほかきちんと進んでいるなと安心していたら。
義母が「お墓に彫る文字のことだけど」と言い出した。
「春の野ってどうかしら。」
意味が分からず固まるその他3人。「ん・・・?春の、野?」
「そう。この間ふと思ったんだけど、(長い長い話があるので割愛する)
春の野っていうのがいいなあと思って。」
「それは、あの、お墓の横に建てる碑に彫るってこと?」
「ううん。本体よ」
「本体のどこに?横っちょ?」
「正面よ。」
「えーと、普通は〇〇家とか南無阿弥陀仏とか入ってるところ?」
「そう」
そこから3人がかりで反対するが、「周りに比べておかしい」といえば
「周りなんか気にしなくていいのよ、自分の家の墓なんだから」
「突飛すぎる」「それがいいじゃないの」
「意味が分からない」「春の野のように光あふれるところにいくってこと」
「南無~も、突き詰めれば同じ意味では?」「そうよ。だから春の野でいいじゃない」
最終的に義父が「わしはあんまり、なあ。墓だからなあ」と言ったことで
「じゃあ、なにがいいか考えといて」とその場は収まった。
なんで墓で目立ちたがる。
実の母親が言い出したことなら
「絶対いや。やるならひとり墓でやって!」
と言い放てるのだが、義母と嫁という関係ではなかなか言いづらい。
収まった話が蒸し返されたら・・・もう石材店とかお坊さんにいさめて
もらうしかないのか?
義母が滔々と自説を開陳する後ろに立って、「反対してください!」と
腕をバッテンにしている自分の姿が見えるようだ。
どうなる、墓。

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