行き先はナビ次第〜発達障害と不登校〜
近年、発達障害はノルウェーを含む多くの国で不登校の原因となっています。
日本の教育だけでなく、そもそも発達障害と教育の相性が悪いのです。
今日は発達障害の視点から不登校対応について学んだことをまとめました。
【不登校の起因は?】
不登校の起因として、一次的な発達障害や二次的な愛着障害が挙げられます。
不登校の子の6割から8割が発達障害の診断を受けているというデータも存在します。
そのためアセスメントと環境調整が必要で、認知特性に合わせた教え方が求められます。
二次的な障害も不登校の一因です。
愛着障害は、安全基地の不足が不安症状を引き起こしやすくなります。
安全基地が多いとレジリエンスが増え、精神的な強さも向上します。
レジリエンスが低い子は安全基地の質と量の問題です。
また、暴言暴力は発達障害ではなくメンタルによる二次障害であり、家庭環境を含めたアセスメントが必要です。
【発達特質から考える不登校対応は?】
不登校への対応として、その子の理由に即した具体的なアプローチが求められます。以下に、対応の詳細を述べます。
① 愛着形成のための安全基地設立~対人関係の拡大~
エネルギー回復支援
不登校児が外に出られない状況で、エネルギーが尽きています。まずは回復期間を設け、家庭が安全基地となるよう支援します。エネルギーが戻ると外に出ることに抵抗が減ります。
焦らず学校に行くのではなく、近くのいける場所から始め、その子の好きな活動を通して家の内外で安全基地を増やしていきます。コミュニケーションを通じて、「安全」な場を感じさせ、部屋から出るハードルを少しずつ上げていきましょう。
学校でのスモールステップ
母子分離不安等を考慮し、無理に引き離すことなく、学校においても安全基地を築くためのスモールステップを踏みます。
教室が安全ではないと感じる子には、保健室やオンラインを活用し、段取りを整えながら、安心感のある人とのコミュニケーションを通じて安全基地を構築していきます。保健室、スクールカウンセラー、管理職などその子と信頼関係を育みやすいキーパーソンと協力することが重要です。
②発達特性に合わせての支援
価値の増幅~危害は対応、迷惑は受容~
発達特質が強いと認知の柔軟性が低いため、価値観を変えるのではなく増やすアプローチが効果的です。
選択肢を増やし、ラベリング支援で色々な視点や考え方を教えます。例えば、友達の言動に過敏に反応する子には、「あの子もそういうことをされて困ってきたのかもしれないね。」と、その背景や理由を理解するように指導します。
その上でクールダウンできる環境を用意します。援助要求スキルは、大人が子供に対して助けを求める姿勢から学び、模倣するよう促します。
「危害」と「迷惑」は異なります。相手に危害を加えることには厳格に対応すべきですが、迷惑は認め合う姿勢が必要です。
迷惑を除外しようとすると同調圧力の強い閉鎖的な空間となります。困った時は周りに助けを求める、周りは相手の迷惑には温かな援助ができる空間作りを心得ましょう。
本人との交渉~対等な立場での契約~
自閉症は社会上の障害です。社会とは役職による役割分担システムです。
自閉症はこの社会ピラミッドがわかりません。社会ピラミッドが理解できないという考慮をし、本人との「交渉」を重視します。登校刺激に関して、本人との対等な立場で交渉し、「あなたのために部屋と先生を用意した」といった形でまずはギブをします。
学校に少しでも行けたら、「せっかくなので」と思うかもしれません。しかし、これは本人からしたら契約破棄になります。
契約を守ってスモールステップで支援しましょう。
少しずつ「あなたのために更に~してみたんだけどどう?」と再契約の提案をし、基地の拡大をします。
以上、発達特性を考慮した不登校対応を紹介しました。
不登校の児童へのアプローチは個別性を尊重し、その子の状態に合わせた支援が不可欠です。発達特質を理解し安心感のある環境づくりや愛着形成の支援を行いましょう。
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