【名盤伝説】”Phil Collins / No Jacket Required”
MASTER PIECE UKプログレ・バンドジェネシスのシンガーでドラマーのフィル・コリンズが1985年にリリースしたソロ・アルバム『ノー・ジャケット・リクワイアード』です。
84年にジェネシスとしてのアルバムをリリースした後に、交互にソロをリリースするという「世界で最も多忙なミュージシャン」と呼ばれていた、まさに活動の絶頂期を迎えていたのだと思います。
当時MTVなどでも超話題になっていたミュージシャンだけあって、私がリアルタイムに初めて購入したフィルのアルバムでした。
いきなりシングルヒットしていたA1からスタート。EW&Fのフェニックス・ホーンズが効いているポップでダンサブルなナンバー。アレンジもトム・トム 84と、まさにアースそのもの。フィルがジェネシスでは表現できないソウル・ミュージック愛に溢れています。
ハードなブラス・ロックなA2。このグイグイくるテンポの良さは魅力的です。この曲もフェニックス・ホーンズとトムによるアレンジがとっても良いです。
そして一転、幻想的なA3。どこかジェネシスっぽい部分もありますが、曲の構成はシンプルで聴きやすいです。後半のフィルのボーカルを追いかけるバックには、ん、聞き覚えのある声が・・・ポリスのスティングが参加です。スティングの世界観にも通じるような静かなナンバーです。
そしてこちらも大ヒットしたバラードA5。こうした優しさもフィルの魅力の一つです。A1のPVの連作かなと思わせるストーリー性に溢れた作品が素敵です。
アルバムは世界的なヒットを記録します、USでは1,200万枚、UKでも200万枚、全世界で2,000万枚の売り上げを記録しています。
そしてフィルといえば、ライブ・コンサートの演出照明としては今や定番のバリ・ライト開発に関わっていたという話は、情弱な私にも伝わっていました。こちらのnoterさんの記事に詳しいので、どうぞご覧になってください。
そして、そんな話題で盛り上がっていた折に、アルバム・リリース早々にフィルの来日公演のニュースが飛び込んできました。フィルのステージが観たい、本家のバリライトの演出を観たい!!そんな衝動に駆られてチケット・ゲットです。
座席は武道館2階スタンド・・・おっさんを近くでというより、ステージ全体を俯瞰で見たかった私には良いお席でございます^^;。
曲の展開に合わせて、一瞬にして赤や青や緑にパッパッと変わる照明演出に目は釘付けになりました。その演出だけで拍手していた記憶があります。ステージングも選曲も、もちろんエンターティンメントとして良質な、実に見応えのあるコンサートでした。
音楽といえば、ミュージシャンとリスナーの関係性を基本としながらも、レコードやステージなどは、技術的な専門家集団の存在は無視できません。技術の進歩がなければ成し得ない表現があり、そんな表現を追求するのもミュージシャンとしては当然の性だとも思います。ただし技術にだけ溺れるのもどうかなと。
世界一忙しい男の活躍はまだまだ続きます。