【名盤伝説】”The Manhattan Transfer / Extensions”
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。マンハッタン・トランスファーの鬼才ジェイ・グレイドンが初めてプロデュースした『エクステンションズ』(1979)です。
1973年にティム・ハウザーをリーダーとして、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル、ローレル・マッセーの4人で活動を再開します。1978年に交通事故で負傷したローレルに代わり1979年にシェリル・ベンティーンが加入。同年ジェイ・グレイドンをプロデューサーとして迎えたのがこのアルバムです。
ジェイお得意のロックをベースとしながもコンテンポラリーな音作りで、エンタテインメント性豊なコーラス・グループとして生まれ変わり、一気にファン層が広がります。
バックにはプロデューサーのジェイ御用達のミュージシャンが勢揃いです。当時最も勢いのあったTOTOからデヴィッド・ハンゲイト(Bs)、ジェフ・ポーカロ(Drs)、スティーヴ・ルカサー(G)が参加。さらにエイブラハム・ラボリエル(Bs)、アレックス・アクーニャ(Drs)、ラルフ・ハンフリー(Drs)、ディーン・パークス(G)、グレッグ・マティソン(Key)、デヴィッド・フォスター(Key)、マイケル・オーマティアン(Key)、マイケル・ボディッカー(Key)などなど・・・LA人気ニュージシャンのオンパレードです。
NYブロードウェイにあった往年のジャズ・クラブへのオマージュのA1。オリジナルは革新的ジャズ・バンドwのウェザー・リポートのアルバム『へヴィー・ウェザー』(1977)に収録されているインストナンバー。純正ジャズ・ファンからすれば「何これ」でしょうが、格好つけたいロック・ファンには堪らない小粋な選曲アレンジです。そんな私はこの曲だけでメロメロでした。
この曲はグラミー最優秀ボーカル(グループ)賞。最優秀ジャズ・フュージョン・パフォーマンス賞を受賞します。
ジェイとフォスター、そしてスティーヴ・キプナーの共作のA3。翌年リリースされるジェとフォスターのスーパーユニットエアプレイでもセルフカバーされます。いかにもというフォスターのリズム・ピアノwが特徴的です。
そしてこのアルバムのハイライトB1。USで放送されたSFTVドラマ「トワイライト・ゾーン」のテーマをモチーフにカバーした前半と、続く後半のオリジナル曲で構成されています。途中のMCやSEなどでミステリー感を盛り上げるアレンジはかなり凝っています。
こちらの動画と見ると、いかに上手くオリジナルのモチーフをアレンジしたかが分かります。
アルバムラストにアカペラでキメるB4。トム・ウェイツによるオリジナルです。メンバーのコーラス・ワークのテクニックの確かさとともに「アタシたちは元々はジャズなのよ」と主張しているような気がします。バラエティ豊なアルバムの締めとしても抜群の選曲です。彼らの1983年東京公演のライヴの放送音源の動画がありましたので、このテイクで紹介しておきます。絶頂期のマントラ・ワールドが楽しめます。
そして続くジェイによるプロデュース作第2弾でマントラの人気も最高潮となります。そんな華麗なアルバムについては、こちらの記事をご覧ください。
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