見出し画像

石油ファンヒーターを買って、震えながら説明書を読んでいる1人暮らしの私です。

 子どもの頃、エアコンが付いていない家だったので、冬の暖房は唯一「石油ストーブ」であった。

 石油ストーブって、ドーム型の金網が有り、火を付けると、そこが赤に近いオレンジ色に染まって、一瞬で温かくなるものだった。

 小学生の高学年になると、灯油が切れたら、自分で給油もするようになり、石油ストーブは冬には必須アイテムで、その傍で普通に遊んだりもしていた。

 私は30年以上前に実家から上京し、1年間は寮で、その後は賃貸住まい。
 賃貸だと、石油ストーブは禁止だから、ずっと見ることも無かった。

 だんだん、ガスコンロ以外で火を扱うことが怖くなった。
人間、やらなくなったら怖くなるものだ。


 だが去年引越しをし、今の家は珍しく、暖房器具の禁止事項が無い。
だから、多分、あのドームが赤く染まる昔ながらの石油ストーブも使えるわけだ(上部で、お餅も焼けるよ!)。

 で、ついに私は、石油ファンヒーター、コロナ製を購入した。

理由は単純に寒いからだ。

なんか、石油系の禁止事項が無いとすると、同じ建物のご近所さん方は、何かしらの暖房器具でぬくぬくとしているのか、う~ん、何だか悔しいわ! と思った。

 有難いことに3日程で到着。

 だけど、怖い。
よく分からないものだから怖い。

 知識も経験も無い子ども時代、あの石油ストーブの前で寝っ転がったり本読んだりと遊んだ日々。

 だけど人生いろいろ経験し、50も過ぎて、
家の中で何かを燃やす器具とやらにおそれおののく。
「もう、いっそ未使用でオフハウスに売ろうかな」とか考えてしまう。

 でもでも。
世の中、沢山の人達が石油ストーブでぬくぬくと過ごしているはずだ。
彼等と私の違いは、単純に経験だ。

数十年、石油と戯れていないという経験の違いだけだ。

そんな弱気でどうする!

 もう気持ちは、シモネタだが、初体験を迎える直前のような心境だ。

 私は自分を叱咤激励し、説明書を1ページ目から読み始めた。
読みやすさを追求しようということだろうが、哲学書のような文字だけではなく、ポップアップ的に注意があれこれ書かれている。

傍に有った黒のボールペンで、大事な所には線を引きながら。


 説明書を読むと、子どもの頃、適当にやっていた行動が危険であったことが分かった。

 本体の傍で給油はしないように。
前側1メートルの所に物を置かないように。
満タンに給油出来なかったら、少し給油口を開けっ放しにして、室温となじませると良いとか。

 あー、子ども時代に事故が無くて良かったと安堵する。

寂しさを捨てて数十年。人(特に女性)から、「(精神的に)強いねー」と言われることもあったが、石油ファンヒーターに、こんなにビビるとは。

 まだビビって電源オンにしていないが、もうすぐ日が暮れる。
今日は多分この冬1番寒いように思う。
夜は冷え込む。

 そして外は北風が台風みたいに強い。
エアコンを電源オンしても、風の影響で、室外機に負荷がかかるだろう。

 さあ、私! 勇気を持って、ファンヒーターのスイッチをオンにするのだ!


 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?