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仕事に熱意はいらない


「好きなことを仕事にできていいね」
とよく言われますが、私自身はそう思っていません。
仕事が嫌いかと聞かれれば、嫌いではないと答えますが、だから好きかというと、そうではない。
そんなことのご説明です。

ミッション

「中山間地にて新規事業を行い、地域を活性化させる」
というのが、今の私に課されたミッションです。
中山間地(つまり田舎)という場所の特定はありますが、新規事業の内容は決まっていません。
自由に決めることができるのです。
もしかすると、これが「好きなこと」をやっていると思われる理由なのでしょうか?

仕事の決め方

では私がどうやって新規事業を決めているかと言えば、

1.事業におけるリスク

2.リスクに対するリターンの可能性と大きさ

3.事業実現可能性

つまり、田舎でも実現可能で儲かりそうなことをやる、です。

1.田舎における事業リスク

普通考えないことかと思いますが、私の場合事業を行う場所に「田舎しばり」がありますので、これを考えない日はありません。

1.1顧客の少なさ

ご想像通りですが、事業を行う場所に人がいません。お客さんが半径10キロ圏内にいないのです。
必然的に「町」から公共交通機関が脆弱な田舎に、人を呼ばなければなりません。よって集客力が問われます。

1.2アクセスの悪さ

よく言われるのが「100万人規模の大都市から1時間」という売り文句ですが、逆に言えば、1時間もかかるのです。しかもドアtoドアで道が空いていて、という条件付きでしょう。

1.3限られる業種

これは必然的にサービス業になります。

  • 飲食

  • アウトドアエンターテイメントの提供

  • 宿泊

いわゆる労働集約型の業種で、人(スタッフ)の頭数が必要です。しかし半径10キロにお客様どころか人がいませんので、スタッフも町から呼んでこなければなりません。

負のループの始まり

お気づきかと思いますが、ここで問題は1に戻るのです。

  1. お客様とここで働いてくれるスタッフを町から呼んでくる

  2. 交通アクセスが悪く、時間もかかる

  3. 働く人にとっては不人気なサービス業(拘束時間が長く給料が安い)

集客どころかスタッフを集めることにも困難があるのです。

これ、無理ゲーじゃない?

他で書きますが、その他にも解決困難なクエストがごろごろしているのが、ここ中山間地なんです。
普通にビジネスができる才覚がある人なら、ここで何かをはじめようなんて思いません。

あなたなら、やりますか?

2.リスクに対するリターンの可能性と大きさ

リスクの問題が解決されないままリターンの話をすることに抵抗を覚えますが、とにかく進めましょう。

なんとかかんとか集客を行い(その手間暇もばかにならないと思いますが)、物好きな(失礼!)スタッフも集められたとして、どのくらいリターンがある(儲かる)のでしょうか?

もんでこキャンプ場トキヤマの場合

例えば、私はキャンプ場をやっています。
このキャンプ場は1日限定3組までとしました。
単価は¥9,800です。
毎週末フル稼働したとして、約¥30,000/週。¥120,000/月。¥1,440,000/年。年間150万円の売上です。利益ではありません。
しかも年間を通して全ての週末で、全稼働しての売上です。
この売上から、必要な経費を払います。下手をすると赤字になりかねません。

あなたなら、やりますか?

3.事業実現可能性

私の場合まず気にするのは権利関係です。具体的には不動産(土地あるいは建物)の利用権です。

不動産の利用権

田舎の家は広くていいなー、と思ったことはありませんか?庭付き一戸建てが基本で、敷地も町に比べればはるかに大きい。庭でバーベキューもやり放題です。
空き地、空き家、耕作放棄地もたくさんあります。なんでもできそうでしょう?
そうではないと、私は言いたい。

田舎の人は不動産をよそもんに貸さない

言い添えますと、これは田舎の人は頑固だから、ではないと思います。
立場が逆になれば、私だって、知らない人に不動産を貸すことに不安を覚えます。

  • 土地を貸して廃棄物を勝手に埋められたらどうしよう

  • 家を貸して内装その他をめちゃくちゃにされたらどうしよう

  • 土地建物にかかわらず、何かを貸して地元に迷惑をかけるような借り手で、地元のクレームが貸し手の自分にきたらどうしよう

通常田舎には不動産屋さんがありませんので(商売が成り立たないので、ないのです)どこに借りられそうな不動産があるかすら、分かりません。

空き家、空き地、耕作放棄地、その他明らかに使っていない不動産があったとしても、買うことはおろか、借りることすらできない。

あなたなら、やりますか?

解決困難な問題だからこそ、その解決には熱意が必要なんだ

と、思ったあなた。あなたはそうかもしれません。
でも私は意志が弱いので、困難が永遠に続くと分かっていたら(だって田舎が遠くて行きにくく、リスク大きく、儲からないのは構造的な問題ですから、構造が変化しない限り永遠に続く)、私に熱意があったとしてもすぐに冷めます。

結論

私のミッションは「中山間地にて新規事業を行い、地域を活性化させる」ことです。
中山間地という場所の特定はありますが、何をやるのかは自由です。
地域を活性化できれば、何をやってもいいのです。

地域を活性化できない新規事業は、それがどれだけ私がやりたいことであったとしても、だめです。
地域を活性化できないとは、リスクが大きく、リターンが小さく、実現可能性が低いことです。

私がやりたくない事業であっても、それが地域を活性化できる可能性があるのならば、わたしはそれをやらなければなりません。
地域を活性化できるとは、リスクが小さく、リターンが大きく、実現可能性が高いことです。

熱意はミッションの達成(目的)に燃やすのです。
仕事は目的達成のための手段です。

だから、仕事に熱意はいらないのです。



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