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昭和チックな朝 壁に飾られたレコード

通りの住宅の2階の窓が開いていて部屋の中が見えた。
わっ!レコード!
赤いレーベルのレコードが壁にかけられていた。
おしゃれ〜。そして懐かしい。
遠いとはいえリアルに見たのは久しぶり。
子どもの頃、家にあったレコードを慎重に扱っていたのを思い出した。

レコードってとても繊細で気をつけないとすぐに傷がつく。
傷がつくとその部分の音が飛んでしまって、ひどい時には何度も同じフレーズを繰り返すことになる。
ちょっと笑える時もあるが、お気に入りのレコードだとせつない。

そうならないようジャケットから取り出す時にも静かに、そして爪をたてないようにして中の袋ごと出すようにしていた。
手垢もつかないように、袋から滑り出して、真ん中のレーベルに中指を当てて外回りに親指を添える。
そして埃を取るときはベルベット生地がついたクリーナーでくるりとなでる。優しくだ。
なかなか綺麗に取れなくて何度もぐるぐるする時もあった。

レコードをかける時もまた丁寧に。
なるべくブツッと鳴らさないように針を静かに下ろす。
手が震える。
ブツッていう音も懐かしい。

それからしばらくして針が自動で下りるステレオが我が家にもやってきて、レコードが終わるとこれまた自動で針が戻っていくようになった。
傷をつけることも少なくなった。

今はもうレコードは一枚も残っていない。
プレーヤーも我が家にはない。

昭和だなあ。
今またブームらしいけど。

レーベル、ベルベット、針を下ろす、なんて言葉にピンとこない人もいるかもしれないなあ。

そんなことを思いながら会社に着くと、「ガビーン」とかって言ってる同年代の人がいた。
その言葉にもピンときてへん人、いると思うよ。

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