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【柴犬の思い出】


あれは高校生の時。
家に柴犬の赤ちゃんが来ました。

幼い頃から生き物が好きで好きで、
中でも犬は大好きで、
ずーーーーっと飼いたい飼いたいと両親にお願いしていたんやけど、
社宅住まいで引っ越しも2〜3年に一度のスパンでするような家だったので叶わなかったのです。

でも、高校生の時に引っ越した社宅は、庭付きのメゾネットタイプ(超古い社宅だったなぁ。懐かしい)。

なので、両親とも犬が好きだったこともあり、私と妹の願いを叶えてくれたわけです。

あの時はまだ歩くのもおぼつかなかったからすごく小さかったんやなぁ。
まだ2ヶ月とか。
そのぐらいだったと思う。
柴犬のブリーダーさんから譲り受けたワンでした。

とにかくある日突然柴犬が家に来て
家族が1人増えたわけです。

そこから3年ぐらいしてからまた父の転勤が決まり引っ越すことになりました。
でも、社宅だと今度の家はマンションタイプになるので犬は買えないと言うことになり
一軒家を探しました(両親が)。

無事見つけることができて引っ越したんやけども、
そのおうちも古いおうちだったのでリフォームが必要で、
両親が仕事の合間を縫ってDIYしておりました。
大変だったやろなー。
土壁塗り直したり、色々やってた。
(その血をしっかり受け継いでんなぁとつくづく思うw)

一週間かけて無事リフォームも終わり
引っ越しをしたわけですが、
リフォームと平行して荷物を全部片付けてしまおうと言うことで、
柴犬は出払った社宅でお留守番をさせる形にせざるをえませんでした。

毎朝毎晩ご飯をあげに行って散歩には連れて行っていたんやけど、
ワンコにしたら昼間全く人気のない、
今までと違った様子に大きな不安を感じていたんやろなぁ。
ご飯もくれる。
散歩も行ってくれる。
けど、今までとなんかちがう。

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1週間経ち、いよいよ新しいおうちに連れて行ってあげられると言う日に、
迎えに行っていつものようにメイくん(名前)に「出ておいで〜」と声をかけても小屋から出て来ません。
昨日まではのそのそ出てきてくれてたのに。
(引っ越しする前は散歩だよーと声かけたら尻尾振って大喜びだったのに、
その一週間で覇気がみるみるなくなってきてたのには気付いてた)

様子が変だな、と思いつつ
小屋のドアを開け(中でちょっと遊べる位の広さの犬舎を作っていた)
中に入ると、うなるんです。
聞いたことない低い声で
「ウー!ヴーー!!」って。

何か違うぞ
いつもと違うぞ
昨日までとは明らかに違うぞ
と思いながら
ハーネスをつけようとしたら。

噛みつかれたん。

結構な本気噛みだったけど、
うなって噛み付いたまでまずっと私の目を見つめてきていました。
寂しかったんやなぁとすごく申し訳ない気持ちになりました。
そんなふうに噛み付いてくることなんてなかったから。
試したんやと思う。
本能で。
噛んでブンブンしたりする訳ではなくて、ただガブっとして
うなって私を見てた。
私を傷付けてやろう、という風ではなかった。

だから噛みつかれたままで
「不安にさせてごめんよ」
「ほなけど、寂しかったんは終わり。
またずーっと一緒におれるよ」
と謝ると、
低い声で怒鳴ってはいましたがそっと口から手を離しました。

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新しいおうちに着いてからも
3日くらいはすごく心を閉ざしていたのがわかりました。
また僕のことを置いてどっか行くんやないやろか?と、すごく疑心暗鬼になっているのが伝わってきました。

散歩に行く時も
ご飯をあげる時も
いつも低い声で唸っていました。

でもそのたびに
「寂しい思いをさせてごめんよ」
「でも引っ越しでどうしてもそうしないとあかんかったからごめん」
「もうちゃんと新しい家に引っ越し完了したし、
これから先同じようなこと二度とないから心配しなくていいから」
とずっと伝え続けました。

4日目。
全く表情が変わり元のメイくんに戻っていました。

散歩に行く時は尻尾フリフリ
ご飯あげたら耳を下げて。
そういえばご飯食べる時、見てたら食べへん子やったなぁ。
変なとこでプライドが高かった😂

食べましょか?
けど見てたら食べないよ
って言うワンコやった。

気高いカッコいいワンやったなぁ。
男前で。

15歳まで生きた。
最期を看取ったのは、父と母だった。

私はその頃結婚して長男が一歳半で。。
長男が生まれて10日目くらいにメイくんに
「赤ちゃんだよー(´◡`๑) 」
と紹介したら
長男の顔をぺろぺろしてくれたなぁ。

メイくんがいなくなって、18年になる。
けど、昨日のことのように沢山の思い出が目を閉じると浮かぶ。

死んでも、死んでない。
居なくても、居る。

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噛みつかれて、心で会話した時
自分がナウシカになったようなきぶんになったw
でもね、まさしく
ナウシカとテトのはじめての出会いの時のような
あんな感じだった!