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教員に【残業代】は払うべきか?

どうも、先日教員採用試験の1次試験を終えてその足で明け方まで飲みに行っていた男です。
※まだ2次試験が残っています。
※関係ないっしょ、気持ちっしょ!

そんなテキトーな僕ですが、今回は最近SNSでも話題になっている
【教員の残業代】について個人的な考えを述べてみます。

内容はかなり真面目です笑

公立学校教員の給特法

教員の給料について詳しくない方のために簡単に説明すると
公立学校の教員には「給特法」というものが適用されています。

これは教員に対して月額4%の教職調整額を支給する代わりに
時間外・休日勤務手当を支給しないという法律であり、
これが教員のブラック化や過労を助長する
「定額働かせ放題法」とも揶揄されています。

実際この法律は1972年(約50年前)に施行されたものであり、
教員の残業時間の実態や働き方改革が奨められる現代社会からは大きく乖離しているため、文部科学省の中央教育審議会というところから月額10%への引き上げが提唱されました。
※決定ではありません!

これを受けて現在、教員の働き方や残業代について
改めて世間の注目を浴びるきっかけとなりました。

実際僕もSNSを見ると
「そもそも1分単位で残業代を出す仕組みが必要だ!」
「10%に引き上げても全然足りない!」

など現役教員からの不満の声が多く上がっていました。

残業代を出す難しさ

僕はまだ教員になった訳ではないので
この議論に対して当事者として賛成か反対かを述べることはできませんが
民間企業を経験した身としての意見を言うと
教員に1分単位で残業代を出すことはかなり難しいと思います。

加えて実際、厳密には民間企業でも1分単位で残業代が出ている会社はほとんどないと言っていいと思います。(この件については後ほど)

民間企業の場合で言うと、確かにここ数年で働き方改革の風潮を受けて
多くの会社で残業代が出るようになりました。
僕の勤めていた会社の給料システムも、僕が入社して以降
月々固定の「営業手当」から残業時間に応じた「残業代」に変わりました。

しかし僕の経験から言うとこの「残業代」という仕組みには
大きく分けて2つの欠陥があるように思いました。

それは「残業時間を減らすモチベーション」「予算」の問題です。

「残業時間を減らすモチベーション」の問題はシンプルで
1分単位の残業代を出すと、社員が効率的に早く仕事を終わらせて帰ろうというモチベーションがなくなるということです。
当たり前ですがこの場合、残業時間が短ければ給料が低くなる訳で
「早く帰ったら給料が減るからもう少し残業して帰るか」
というセコい人が現れるのは不思議じゃないですよね?
※これは僕の会社でも実際にいた!

その結果、限られた時間で効率良く仕事を早く終わらせる人より
呑気にダラダラ残業をしている人の方が給料が高くなるという意味不明な不公平が生じてしまいます。
※遅い時間まで頑張っている先生方がいることも承知の上です!

この点についてしっかり見極められる管理職やみんなが納得するルールをつくらない限り、残業代を出すことによって新たな問題が起こってしまいかねないでしょう。

そのため多くの民間企業では表向きは1分単位で残業代が出ると謳っていても
実際には上限額が設けられていたり、「朝残業は含まない」みたいな暗黙のルールがあったりします。(これが良いとは言えませんが。)

次に「予算」の問題についてですが、これは感覚として理解できる方が少ないかも知れません。ただものすごく当たり前のことで、この議論をする上で重要な大前提となることだと思ってます。

民間企業の場合は社員の給料を「会社の利益」の一部から出しています。
これは当然ですが有限なものであり、社員の給料を増やすと会社の利益は減ってしまいます。しかも一律で増やすとなると財源は数千万〜数億円となり、これは会社の経営を揺るがすほどの大きな金額と言えるでしょう。
※しかも仕事ができる人だけ給料を増やすという仕組みはなかなかつくれない。

つまり、会社にとってどのような人に働いてほしいかというと
「効率良く働き、高い生産性を持つ人」であり
これは「残業代」という仕組みとは正反対に位置する人だと言えます。

教員についても同じことが言えて、「会社」に当てはまるのは「自治体」であり、「財源」は自治体の「税収」であると言えます。
当然自治体からすれば「残業代」を出さなければならない人より
定時に仕事を終わらせて帰ってくれる人を雇いたい。

これは僕個人的にも自治体ばかりを責めることはできないと思っています。

誤解を恐れずに言うと、教員にはこの限られた財源の中から給料が出ているということを感覚的に理解していない人が多いと思っていて
「給料を増やす」
=「財源を増やす」or「他の予算を削減する(誰かが不幸になる)」

という計算式が頭に浮かぶ人が少ないんじゃないかなとも思います。

ただこれは教員が「世間を知らない」なんてことを言いたい訳じゃなくて
給料が税金から出ていることや、利益を稼ぐことを仕事の目的としないという職業の性質上、ある程度仕方ないことだとも思っています。

「給料を上げろ!」と言う会社員でも
「自分が生み出した価値」「それにかかったコスト」から自分の給料について言及できるヤツはほとんどいない笑

現実問題、急に税収が増えるわけでもないし、教員以外の誰かの給料を下げたってみんなが幸せになる世の中にはならないですよね。
また教員の授業研究や生徒指導、部活動といった線引きの難しいことにどのように給料を出すかというのは、なかなか答えが出し辛い問題であると思います。

そのため結論としては教員に1分単位で残業代を出すことはかなり難しいと言え
だからと言って国や自治体ばかりが責められるのは少し気の毒な気もしてしまいます。

変えられないことより、明日から変えられることを

以上述べた通り、1分単位の残業代を出すことには多くの問題が存在していて、なかなか一筋縄ではいかないと考えられます。ただ当然、現行の「給特法」にも大きな問題があって、教員の実態や社会情勢を反映した新しい制度が必要なことは言うまでもないでしょう。

いずれにしてもいきなり抜本的な改革が起こることは考えにくいので、
少しずつ着実に、段階的な改善がされることを信じたいです。

あとこれは何においても当てはまることですが、
「変えられない(変えることが難しい)こと」を嘆いていても仕方ないので、
「現場で明日から変えられること」を一人一人が意識していくべきだと思います。

具体的には、早く帰ろうとする人を冷ややかな目で見たり
若手教員の授業の粗探しをするような文化だったり
自分だけ楽な校務分掌に逃げようとする態度だったり
身近で当てはまる人はいませんか??

それらが変わるだけで救われる教員はたくさんいるように思います。

そんな明日から変えられることから始めて
教員がたくさんの人が目指してくれるような
魅力的な職業になればいいなと思っています。

現場の先生方の声や、ご意見を頂けると嬉しいです。


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