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「肯定」のちから

もう昔のことです。
学校で勉強についていけない。
友達にも浮いている。
部活もまともにこなせない。
高校時代そう勝手に思っていました。

とうとう
学校を休みがちになり
家で休養を取ることになりました。
この時点で私は留年が決まりました。

一応、今年一年だけは
学校に行くという行為から
離れられる・・・
複雑な想いでした。

「自分はこんなところでは終われない」
と気持ちだけ空回りしました。
すごい挫折感にも打ちのめされました。
と、同時に少し自分を休めることができて
安心感もあったのです。

そんな、家で休養をしていたときに
母から学校の先生が家に訪問してくれると聞きました。

なんでも聞いたら
訪問される先生は
学校の「生徒指導」の怖い先生でした。
当時、気真面目な私は
それを聞いて
「怒られる」とまず思いました。

とうとう、先生の家庭訪問の日がきました。
先生は車で私の実家に来てくれました。
母に挨拶すると
開口一番に母に
「お母さん、〇〇君をお借りしてもいいですか?」
と言いました。

私は本当に叱られることばかり怖かったのですが母もOKを出してくれて
先生の車で近くのドライブインに行くことにしました。

怖くて有名な先生と一緒に車に二人きりです。
とにかく粗相のようにちょこんと


車に乗っていました。
(近くに有名なドライブインがありました)

ドライブインにつき
畳の上で二人きり向き合って
先生は「アイスでも食べるか?」と仰いました。

私は「はい」とだけ答えます。

二人でアイスを食べながら
先生は言いました。いや聞きました。
「学校来るの辛いか?」と。
私は正直に「はい」とだけ答えると
先生も「そうか・・・」とだけ相槌のように
答えました。

帰り道、先生は
「お菓子を買ってあげるから選びなさい」と
言いました。
私はただただ恐縮して
「いいです」と断ろうとしました。
「そう言わずに何か選びなさい」と
先生はまた強くいうので
一つお菓子を買っていただきました。

家に帰ると先生は
母に「お母さん、今日はありがとうございました」
とだけ言ってそのまま帰ってしまいました。

残ったのは
先生に買ってもらったお菓子だけです。

母は「来てもらえてよかったね」と
言ってもらえました。

私は
「先生何しに来たんだろう?」とだけ
学校に復帰するまで考えていましたが、
事実だけ残って
いまだに分かりません・・・。

でも
私が大人になって
少し物怖じしなくなれたのは
怖いと評判だった先生に
ただただ「肯定」されたからです。
(今になってそう思います)

人は肯定されると
強くなれます。

だから今度は
先生のようにはとても
いきませんですが
私が誰かを肯定してあげたいです、、、

おわり

追記
学校は卒業しました。

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