【福祉note】『たかさんと私』#最終話 それはゴールではなくリスタート
「その日」は突然やってきました。
前日のご家族さんとの引き継ぎ用紙には、
「〇月〇日、けん直行にてお付き添い」
と記載があります。
退院を翌日に控えても、たかさんはとってもマイペース。いつものように「おかあさんといっしょ」のDVDをリクエストしてくれました。
タイトルは「ありがとうの花」
あのね、たかさん。私、涙腺のパッキンが弱いのよ。退院前日のそのDVDのチョイスは反則…。
「うただ。」
「あ、は〜い。」
唐突にCDをリクエストする流れもいつも通りです。
たかさんとのこのやり取りも、今日で終わりかな、そう思うと寂しさがこみ上げてきます。
いや、違う。ここでのやりとりは「続かないほうがいい」んです。
入院なんですから。
リスタート。今日からたかさんには「いつもの生活に戻る」という「新しい生活」が待っています。
私に出来ることは、最後の最後までたかさんの安全を守ること。
「おはようございます。」
いつものように病室のドアを開けました。
そこには、アディダスのジャージを着こなし、ベッドに腰掛けるたかさん。
「フォード。(俺、今日なんかいつもと違う感じだぜ、ブラザー)」
「コロナ。(でも、そっちのほうが似合ってますよ)」
さあ、行きましょう。
たかさんと奏でる「福祉の音」はひとまずおしまいです。あとがきなど、音の余韻がもうしばらく続きます。
「マスター、向こうにいるじゃんけん弱そうな顔した客に一杯」くらいの軽いノリでサポートしてもらえたら嬉しいです🌈「福祉の本を買う(知的に充実)」「シュークリームを買う(精神的に充実)」など、より良い記事を書くために使わせていただきます🍀