例文 故事成語物語「三十分の道のり」

<選んだ故事成語>
杜撰

<選んだ故事成語の由来・意味>
宋の国の杜黙の撰する(作る)詩は、定型詩としての厳格な規則に合っていなかったことから、誤りが多いこと。また物事の粗雑なこと。

<物語>
杜撰な人だった。
大会の出場登録は忘れるし、帯は注文し忘れるし、事務から出禁くらうし。
まだ、中二だったユウタは、川越駅に着くと、師匠と二人で西口を出た。
「かばん、持ちますか」
「別にいいよ」
ユウタは、そっけなく断られた。
今日の演武会は、駅から二十分の姉妹道場でやる。
歩きタバコで師匠は、だんまり歩き、道着を抱いたユウタは、少し早足で師匠の横について行く。ロータリーを越える歩道橋を越え、三十分歩いた。師匠のガラケーが鳴る。数秒通話して、電話を切った。
「逆だ。お前ももっと早く気がつけよ」
なぜかユウタが怒られた。でも、ユウタは、ちょっと笑って、もと来た道をまた師匠と一緒に引き返し始める。

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