子育て日記。こんなところでお絵描きやめて!
チャンスの神様は前髪しかないと言う。
ならば幸せの神様はポニーテールかな、と思う。
私の場合、過ぎ去ろうとしたときに気づくからだ。
7歳の長男は折り紙にサインペンで独特な絵を描く。
路線図のようなもの、地図のようなもの、トーナメント表のようなもの、自作迷路、文字のようなもの…
好んで描くのは「人」や「もの」でなく自分で作り上げたテーマが多い。
あと、幾何学的なものやパターンが多い。
折り紙という狭い空間にちまちまと描く。
たまに屏風のように複数枚繋げたものも。
絵と文字が合体したバージョンもあり、そんなときは「ねえねえ、これで合ってる?」と私に確認を取りながら描いている。
最近、しまったと思う出来事があった。
朝バタバタとキッチンで朝ごはんの支度をしている横で何やら作品を作る長男。
見ると、前日から仕掛かりの作品をキッチンシンクわきの床に広げている。
◯◯ってどう描くの?
ねえねえ、ここすごいでしょ?
私に話しながらどんどんと描き続けている。
最初は「すごいのできたねー」などと応答していたものの、子どもふたりとの朝は戦場。
包丁をサッと洗いイチゴのヘタを落とそうとしたら…
7歳児の泣き声とともに叫び声が聞こえてくる。消して〜滲んだ〜なんでこんなことするの〜ママひどい〜
えっ、7歳にもなって泣いて怒るとかなんなん?!作品に水が飛んでしまったことは申し訳なかったけれども、いつまでもうるさく騒ぐ息子が鬱陶しかった。
朝からこんな狭いところで描きものしなくてもいいのに!
だんだんとイライラが募ってくる。
下の子のオムツも替えないと…
夫が朝の大変な時間にいつも優雅に寝ていることもついでに腹が立ってくる。
「うるさくしないで!朝ごはんの支度進まないよ!そんなところでやってたら水飛ぶの当たり前でしょ!」
息子に大きな声で言って、あれ?っと思う。
なんでこんなところで描いてるの???!
それって…
私に見て欲しかったから…?
そのときもう一つの似たような出来事が脳裏に蘇る。
その時は晩ごはんどきだった。
珍しくキッチンに入ってきて私に何か聞きながら作品を作ろうとしていた息子。
狭いのでコンロを離れるように言い、床はぶつかるから踏んじゃうよと言い、作業しながら私は息子を少しずつ追いやって…しまいにはキッチンのゴミ箱の上で描き始めた息子に「なんでこんなところでやってんの?!」とどかしてゴミ箱にゴミを捨てた。
息子は、あれっ、なんでこんなところでやってるんだっけ、と思ったのか黙ってリビングへ移動して行った。
あの時も「なんでこんなところで描いてるの?」と私は聞きながら気づいていた。
きっと、私に見て欲しかったんだ…。
もう、それが私のそばで作品を作る最後の一回「だった」かもしれないのに。
息子のオリジナル作品を作る最後の一回「だった」かもしれないのに。
ママに対して「見て!」と思ってくれる最後の一回「だった」かもしれないのに。
つくづく、子どもから受け取る大切なものを、取りこぼさないようにしたいと思う出来事だった。
翌日、作品の続きを描いていた息子のところへ行くと私が飛ばしてしまった水で滲んだ箇所を見つめていた。
「乾いてない」
紙は乾いてるけど滲んだ場所は元通りにならないことを知らないかわいいやつ。
「滲んだとこ、修正液で消そうか?」
聞くと「うん!」と言い晴れやかな顔になる。
ほっと安堵して作品を見届けた。
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