恋活、愛活、婚活、悪い男に惹かれます

  常に恋活、愛活、婚活をしている10代から20代だった頃の私の実話。
 恋活は出会いを求める活動。好きかも、と思える人を探す活動。
 愛活は本気で好きになる活動。
 婚活は好きになった人と結婚する活動。

 私は恋活=婚活だと思っているタイプだったのです。

(歌舞伎町のホストになった同級生)

 中学時代の片思いの男子。彼はアイドルのように美しい顔をしていました。おしゃれでピアノが弾けて、勉強もできる人です。
そして、サッカー部で運動神経がいい。一度も同じクラスになったこともなく、話したこともないイケメン君にひとめぼれしていました。
家もお金持ちだといううわさでした。
 彼は少し不良なところがあり、親は教育熱心ですが、雨が降ったら中学校を休んだり、部活もさぼる人ですが、学級委員なんかもやる勉強のできるちょっと悪そうな男子。

 そんな彼ですが、進学率の高い高校に進学しました。
 ところが、噂によると家出したり問題を起こしたりして、結局高校を中退。そして、高卒の試験を受けたという話です。
 大学に行ったとは聞きませんでしたが、東京の歌舞伎町でホストをしているとか、会社をたちあげたとか、そういった噂でした。

 彼の実家は教育関係の仕事をしており、両親ともに熱心でした。
 でも、30歳をすぎたころ、彼は家業を手伝っているといううわさを聞きました。

 実は、去年地元の夏祭りで彼を何十年ぶりかで見かけました。
 奥さんと子供ときているようでしたが、相変わらず、変わらない体型と顔でした。
 おしゃれ度合いも変わらずで、私は想い出を汚されることなくいい思い出となったのでした。
 しかし、今でも東京のほうで会社を誰かと経営しているとかいう噂もあるし、家業を継ぐ資格を持っているのかもわかりません。
 学校をさぼっていた彼は今となってはネット上で同窓会の幹事のようなサイト管理人をしているそうです。
 学校に行かなくてよくなってから、母校が懐かしくなるのかもしれませんね。

 彼の姉も高校をやめて家出をして結婚。離婚をして今は家業を手伝っているそうです。
 子供がいるそうですが、地元の学校では不安らしく、私立の小学校、寮生の中学校に彼の父と母となる人たちが入れたらしいです。
 ちなみに教育関係の父と母は、かなり厳しいらしく生徒が体調不良を訴えることもあるくらいだそうです。腹痛、吐き気、微熱がその時間だけ出る子供もいるらしいです。

 私は、多分このころからちょっと不良だけれど勉強ができる男性が好きでした。
 少女漫画に出てくる完璧なかっこいい性格のいい少年、そんな男性を夢見ていたのかもしれません。
 不良だけれど、正義感の強いまっすぐな男なんていないのです。

(初彼)

 はじめての彼氏は私が高校生の頃、文化祭でナンパしてきた男でした。
 ひとつ年上の高校三年生。進学校の生徒で受験生でした。
 しかし、この男最初から嘘つきでした。
 「今、何時ですか?」これがナンパのきっかけでしたが、時間を聞きたかったわけではなく、時計は持っていたのだと思います。
 みんなで会う時に連れてくるのは基本自分より格好の悪いタイプの男子しか連れてきません。
 部活もテニス部と最初は言っていたのに、帰宅部だったり。自転車は平気で盗んで乗っているような人。
 見た目は普通に背が高く、顔立ちは濃い目鼻立ちが整ったタイプだったと思われます。
 比較的色黒で健康的な印象でした。結構かっこいいよね、そんな印象でした。

 でも、この人はなぜか人と目を合わせられない人だったと思います。
 電話はしていましたが、本当に私を好きだったのかどうかは疑問です。
 多分、他に出会いもないし、大学に入るまでのつなぎだったのでしょう。

 なかなか会ってもらえず、たまに二人で会っても、1mごとに道路につばを吐きながら歩く人でした。
 本人曰く、たばこは中学で卒業。たばこを吸って以来唾液が出るらしいのです。
 今思えば、かなり珍しいタイプだと思いますが、私は同世代の男子とつきあったこともなく、男友達もいなかったので、そんなもんかなと思っていました。

 大学に入り、水商売の店のウェイターをはじめた彼。少し茶髪になって、女関係も派手になってきたようで、私と別れたかったのだと思います。
 そして、体の関係ばかりを迫ってくるようになり、私はその一線を越えることが怖かったので、結局別れることになりました。
 私は1度付き合った人と別れたくなかったのですが、現実少女漫画のようにはいかない。そんな現実を見ました。
 最初に付き合った人と結婚する。私にとっての婚活はこの時からはじまっていたのです。
 恋活=婚活が私の頭脳の中身だったのです。

 目の前で女に電話をしたり、約束を破ったり、彼なりの別れようサインだったのでしょうが、私が彼に依存しようとしたのがだらだら切れなかった原因かもしれません。私は女子高なので、次の出会いがすぐにはないと思いました。そんなに好みの人に出会うとは限らないですし。
 別れると彼氏になる人なんて永久に現れない。恋愛脳は意外とさびしがり屋です。そして、見た目の理想だけは高いのです。

(いい人そうなのに悪い人)

 大学生になった時に知り合った人は6つ上の社会人です。その人は一見とても優しそうで線の細い華奢な男性でした。
 会社員でしたし、年上ということで安心できるかもしれないと思ったのです。
 前回のこともあり、いい人と付き合いたいと思っていましたが、出会いは大学の文化祭でナンパです。そのまま大勢で飲み会を開きます。
 そして、少しずつ仲良くなり、付き合うことになりました。2年くらい付き合ったかもしれません。
 でも、彼は近県に転勤になり、あまり会えないことが多かったのです。
 ギャンブルをしないし、酒癖も悪くないし、非喫煙者の彼でした。
 バンドを趣味でやっており、ギターを弾いていました。
 そこで私はバンドというものに興味を持ちます。自分がやってみたいと思うのですが、その話は次回です。

 大人数でのバーベキューでは私を差し置いて、知らない女性にばかり話しかけたり、挙句の果てにナンパして一人暮らしの自宅に連れ込んだそうです。
 当時私は、この人に対して面白味を感じなくなっていました。
 よりを戻そうとした時期もありましたが、どうも好きだという気持ちもなくなっていました。そして、その人とは別れることになりました。
 私にはもっと刺激のあるたのしい場所と人がいたというのも、さびしがり屋なのに、別れは辛くないという理由でした。
 
 恋愛脳のさびしがり屋ですが、この時、サークルでバンドを組んでいました。私には居場所があったのです。
 だからそんな男と別れることは寂しくないと思っていました。

 でも、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。そして、孤独な時を迎えるなんて思ってもみなかったのです。
 友情も愛情も永遠じゃないことをまだ私は知りませんでしした。

(バンドは青春で居場所)

 私は大学3年のときに、他大学の軽音サークルに知り合いづてで入部することになりました。

 
 そこのサークルのルールはどんな初心者でもやりたい楽器を必ずやらせてもらえます。
 新入部員は必ずバンドに所属できるように先輩たちが取り計らってくれるというものでした。
 その年、そのサークルからメジャーデビューした卒業生バンドもいて、メジャーデビューをもくろむプロ志向がたくさんいたサークルでした。
 
 私が女友達と入部したのですが、私がボーカル、友達がギター(全く弾けない)でした。
 バンド決めで知り合った学生はベース、ドラム希望者がいて、すぐにひとつのバンドが結成されました。
 しかし、私の友達は男目当てで来ただけで本気でギターをやるつもりはなかったので、バイト先の高校生でギターの弾ける男子がいるからと連れてきました。女友達はすぐに脱退したのです。そして、夏の定期演奏会ですぐに辞めたのがドラムの1年生男子。

 ここで運命の出会いです。
 他のバンドに所属してる、同じサークルにいた背の低い華奢な2年生のドラマー君がいました。
 色白で小顔で人懐っこい少年です。歳は私のひとつ下。
 彼は私によく話しかけてくれていたので、ドラムがいないなら是非入りたいと言ってくれました。
 彼は、私に好意を寄せていることがよくわかる行動をとるようになりました。

 ドラム君は思わせぶりな優しさ、愛情を見せるのですが、彼はのちに複数の女性とSNSの出会いや男女関係にはまっていき、半年が過ぎたころには私と彼は冷めた関係になりました。一時的に恋愛関係になりますが、結局最後は私の片思いになってしまったのです。

 約2年弱の活動、メンバーとは花火、バーベキュー、肝試し、深夜のドライブ、冬の祭りなど様々なことを共に楽しみました。
 メンバーたちは解散すると、携帯番号やアドレスを変えてしまい、もう二度と連絡できなくなってしまったのでした。

 私は彼らに青春を依存していたのですが、彼らは他に世界を持っていて、それぞれの趣味があって、私にこれっぽっちも依存していなかったのでしょう。私だけが永遠の友情を私は確信して付き合っていました。大好きだったあんなに近くにいた彼らは今、私の目の前に現れることはないのに、私は永遠に彼らの思い出にとらわれて生きています。あのときの夏を今も忘れられないでいるのです。

(モテる遊び人と土下座プロポーズ)

 夏の夜、友人経由で知り合った同じ年の男性がいました。22歳になるころ、私が就職活動で内定がもらえずに苦しんでいた時期でした。
 彼は遊び人だと聞いていたので、正直警戒していましたが、本当にしゃべりが面白いのです。そして、ホストのごとく持ち上げ方もうまい。
 だからモテるのでしょう。容姿は背は高くはないですが、細マッチョで色黒、目は大きく、カジュアルなファッションがとてもよく似合っています。
 イケメンな顔立ちとしゃべりの面白さに酔った私。彼の香水の匂いは私の心を揺さぶるくらい大好きな香りになりました。
 大きな瞳で見つめられたら、何も言えなくなる目力がある人でした。

 彼は仕事が忙しいという口実で、ほとんど私には会いませんでした。なかなか電話やメールの連絡も仕事でつかないという話でした。
 いずれ、試験を受けて公務に携わるということで勉強もしていました。彼は大学に入っていませんでしたが、地元で一番難しい進学高校の出身でした。
 
 私はとても惚れこみました。1日1回メールが来ただけで、急に会えるという連絡をもらえば、羽が生えたように嬉しかったのです。
 彼はお金を使わず楽しむすべを知っていました。
 花火を買って公園で楽しんだり、海に行って二人で波の音を聞く、そんなロマンチックな青春をやってのけるのです。
 恋愛初心者には、かなりずきゅんと来る設定をわかっている人でした。

 のちに知ったのですが、彼には6人くらい同時に付き合っている女がいたらしく、私は遊びの一人だったようです。
 もちろん私は本命ではありません。

土下座で謝り、プロポーズしてきましたが、結婚をちらつかせれば許すだろう。その場しのぎの嘘でした。

 社会人になってもしばらくは海に行くとか花火をするとかそういうこともありました。
 私はどんな扱いを受けようとまだまだ彼が好きでした。
 友達以上恋人未満でしょうか。
 
 その後、彼は安定した仕事に転職して、結婚して、離婚して……それから再婚したらしいです。その結婚が今も続いているのか私は知りませんが。

 今でこそ、彼に対する思いはありませんが、きっと依存できる対象が彼だったのです。
 私の依存心、好きという気持ちが彼の全てを許していたのでしょう。

 夏になると今でも、彼の香水の香りを思い出します。
 私にとっては青春の思い出になったということは間違いないでしょう。
 


第6話シナリオ(貧乏ギャンブラー年下君)

 私は22歳の時に実の弟を病気で亡くしています。そんな時に、弟と同じ歳の少年に出会います。4つ歳下の専門学校生でした。
 彼は趣味の音楽活動を通して出会ったのですが、多趣味で、突拍子もなく川に飛び込んだりアクティブなタイプの人でした。
 写真を撮ったり、曲を作ったり、アーティスティックなところは私の心を揺さぶります。

 話が面白くファッションもいい感じにさわやかでしたが、彼は家庭環境が複雑だったり、片耳に聴覚の障害が少しある人でした。
 それを感じさせない明るい生き方は、弟がいなくなった私には心強いものでした。依存の対象が見つかったのです。

 しかし、ギャンブルが好きでスロットならば1日中やっていられるほどお金を使ってしまう人間でした。

 学生でありバイトをしていましたが、ギターや音楽機材などを購入すればあっという間になくなってしまいます。

 卒業後、彼は小さな会社に就職しましたが、わずかばかりの給料はすぐに車代やタイヤ代、洋服代などに消えてしまい、私にお金を借りることも度々ありました。

 私の周囲にはそういったお金がない、という人間があまりいなかったので、年上の収入のある私が助けてあげたいという気持ちがあったのかもしれません。私は彼に依存していました。しかし、彼は一人で生きていて平気な人でした。一人でも充分楽しく生きていける人間でした。

 結婚適齢期を迎えましたが、彼は結婚を拒みました。もし、私が子供を妊娠しても結婚はしないと言い張りました。きっと嫌だったのでしょう。重かったのでしょう。絶対に結婚はしないということを言われ、家族同士でももめた結果、別れることになりました。付き合っていることが結婚に結びつかない、私は薄々感じていて、お見合い婚活も影で行っていました。でも、現実、ドラマや漫画のようなハッピーエンドではないことがあることを身をもって知ったのでした。

 依存する人間はとても心が弱いと思います。一人時間を楽しめる人間は私にとっては最強だと思えます。
 私は今、ネットで文章を書くことに依存しているのかもしれないし、依存を超えて楽しめているのかもしれません。

 とにかく常に出会いを求めているので、恋愛脳は依存脳になっているのかもしれません。  みんなとりあえず、女性とその場で飲みたいだけだったりなんですよ。 本気の恋活愛活をする男はなかなかいないものです。 もちろん婚活を真剣にしてくれる人間はなかなかいません。 私が思ったほど好かれるに値しない人間だという結果なのかもしれません。 結局私は、結婚相談所に2か所も入ってしまいます。
 
 

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