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《詩》 煙

紫の煙と緑の煙
どっちが好き?
ずっと紫の煙ばっかり吸ってきた
ママもパパも紫色だった
髪の毛から爪先まで
めまいがするほどの紫さ

初めて見た緑の煙
キラキラパチパチ光ってた
鼻から吸うんじゃないよ
毛穴から吸い込むのさ
甘くて苦くて
ちょっとしびれる
匂いに色がつく
背中にエメラルドがはえてくる
少しだけ未来が見える
君と体がとけあう
秘密の煙
緑の煙
目玉を銀色に光らせる
魔法の煙だよ

キスをしたらおしまい
またいつもの紫さ
背中を確かめても
エメラルドはもう消えた
またいつもの紫
眠って起きて爪をかむ
紫の煙を吸って吐く
おまわりさん
大切な思い出を落としたみたいです
届いていませんか
泥みたいな毎日が続きます
紫いろの舌で汗を舐める
前が見えなくなる
一面紫いろで