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経営会議で「生成AI研修するのでメールください」と言っても希望者がいないのに廊下で会ったら「受けたいんだけど」と言われる件

はじめに

筆者は生命保険会社のデジタル共創オフィサー、いわゆるCDOとして、DXや生成AIを活用し、業務効率を100倍くらい(著者体感)にまで向上させている。また社内外のDX人材教育にも携わり社外セミナーで生成AIについては月4回くらい説明している。

こういった活動を続ける中で「やっぱりな」と思っていることがある。それは、「生成AIを活用することで会社に大きな成果をもたらすことができるにもかかわらず、役員や理事といった権限を持つ人々の間で、利用したいと素直に言えない人が多い」ということだ。「知らないとは言えない、いまさら聞けない、理解ができない奴と思われたくない」そういう類いの話であるが、DXや生成AIについては笑い話にできないので書いておこうと思う。

生成AIは本当にヤバい革命

生成AIは、会社のことや仕事の進め方を熟知している役員や理事こそが活用すべきである。この人たちは権限を持ち、会社の方向性を決定づける立場にいるからだ。生成AIを効果的に活用することで、意思決定の質を高め、業務の効率化を図ることができる。結果として、会社全体のパフォーマンスが向上し、競争力が強化される。

しかし現状では、デジタルや生成AIに関する知識不足や、新しいことを学ぶことへの抵抗感から、JTC大企業では活用しようとする役職者は驚くほど少ない。表面的には知らなくても仕事ができると考えている人が多いからだ。でも中には生成AIに興味を持っており、活用したいと思っている人もいる。だけど恥ずかしいので学ぶ機会を逸してしまう。この状況は、企業にとって大きな損失。日本全体の競争力低下にもつながりかねない由々しく事態である。

生成AI普及のための工夫

状況を打開するためには、DXや生成AIの普及方法を工夫する必要がある。全員の前で学ぼうと呼びかけるのではなく、より自然な形で浸透させていくことが効果的だ。例えば、飲み会や勉強会、同期会(JTC特有。筆者は同期入社が300人以上いる。バブル入社ならでは。)などの場を利用して、生成AIの有用性を伝えていく。手間がかかって馬鹿馬鹿しいが草の根レベルで布教活動を行うことで、理解者を増やしていくことが必要なのだ。JTCの社員はなんて面倒なのと思うが普及のためには仕方ない。

生成AIは、単なるツールではなく、ビジネスの在り方そのものを変革する可能性を秘める。従来の業務プロセスを効率化するだけでなく、新たな価値創造の機会をもたらす。生成AIを活用することで、これまで人間が行ってきた創造的な作業の一部(情報収集やアイデアの拡散や収集、まとめなど)を自動化し、高度な知的労働に注力することができるようになる。

組織文化や働き方そのものにも大きな影響を与える。生成AIを効果的に活用するためには、従来の縦割り型の組織構造から、より柔軟で協調的なチーム体制へと移行していく必要がある。個人の専門性に加えて、デジタルスキルやデータリテラシーを備えた人材の育成も欠かせないのだ。

まとめ

我々は今、ビジネスの大変革期に立ち会っている。生成AIをはじめとするデジタル技術の登場により、これまでの常識が通用しなくなりつつある。この変化の波に乗り遅れることは、企業にとって致命的な結果をもたらしかねない。だからこそ、時間のかかるボトムアップではなく、トップダウンで生成AIの普及を図っていくことが重要なのだ。一人一人が生成AIの可能性を理解し、自ら活用していく。そして、その知見を周囲に広げていく。このような活動の積み重ねこそが、組織全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させる原動力となる。

企業が生き残るためには、生成AIをはじめとするデジタル技術の活用が不可欠である。しかし、その実現のためには、技術の導入だけでなく、人材の育成と組織文化の変革が欠かせない。企業の経営陣が、生成AIの可能性を信じ、トップ自ら行動を起こしていく。そのような意識の変革こそが、これからの時代を生き抜くための鍵となる。

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