めまい・ふらつきのアセスメント

 めまい・ふらつきは救急外来や一般外来で多い主訴の一つ. 鑑別が多岐に渡り, 苦手とする人も多いのではないだろうか.
 めまい・ふらつきは先ず
・BPPV(benign proximal positional vertigo. 良性発作性頭位変換性めまい症),
・前庭, 蝸牛症状を伴うめまい・ふらつき,
・それ以外 で分類するとアプローチしやすくなる


めまい・ふらつきのカテゴライズ

■ めまい・ふらつきではまずBPPVの可能性を評価する. BPPVの可能性があればさらにタイプの評価, 中枢性の頭位変換性めまい(CPPV: central positional vertigo)の可能性を評価し, 検査・治療につなげる.
□ BPPVの可能性が乏しい場合, 前庭症状や蝸牛症状を伴うめまいかどうか分類し, アセスメント, 鑑別をすすめる
■ めまい診療のStep;
① BPPVを評価する
② 前庭症状・内耳症状(+)のめまいを評価する
③ 前庭症状・内耳症状(-)のめまいを評価する

① BPPVを評価する

■ めまい症の診療においてBPPVは代表的な疾患の1つで頻度も多い.
□ 典型的には「再発性の頭位を変換した時に生じる回転性めまい」であるが, 実臨床におけるプレゼンテーションは結構多彩. その理由をいくつか述べると,
・患者が誘発因子を認識していないことがある.
・すでに改善しており, 残存めまい症状で受診することがある.
・初発症例.
■ しっかりと診療すれば, 問診や身体診察でかなりの部分詰めることが可能だが, 一方で安易に診断しすぎると脳梗塞を誤診するリスクがある. 結構臨床医の腕が関わる疾患だったりする.
□ コツは病歴と誘発試験の反応パターンを見定めること.

BPPVの評価: 病歴

■ BPPVを示唆する病歴は以下のとおり
・臥位になるときにめまいが誘発, 増強する
・間欠的なめまいで, 安静時には消失する
・めまいの持続時間は1-2分以内
・難聴の増悪や耳鳴, 耳閉塞感は認められない.
□ このうち特に重要な情報は「臥位になるとめまいが誘発, 増悪される」という点(Otol Neurotol. 2011 Feb;32(2):284-90)(JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2016 Apr;142(4):351-6.).
・全てのめまいやふらつきは臥位から座位や立位になると増悪する. 頭部への血流の低下や平行感覚を保つために前庭や小脳への情報入力, 情報必要量が増加するため.
・したがって, 「体を起こすとめまいが強くなる, 出現する」というのは当たり前で, 重要なのは臥位や寝返りで増悪するという病歴である.
□ めまい専門施設を受診した619例の問診内容と最終診断を評価した報告における BPPVに関連する問診, 病歴を(表1)にまとめる.

表1 BPPVに関連する問診・病歴 (Otol Neurotol. 2011 Feb;32(2):284-90)

BPPVの評価: 誘発試験とタイプの判断

■ 三半規管は左右にそれぞれ 前, 外側, 後の合計6つあり, BPPVはどの半規管が障害されているかで誘発試験が異なる. 押さえておくべき誘発試験はsupine roll試験とDix-Hallpike試験. 各試験での反応とBPPVのタイプは(以下表)を参照. 

BPPVのタイプと各試験に対する反応

<Supine roll試験>

・仰臥位の状態で頭位を右(左)方向に回旋させ,その位置で維持し,眼振誘発の有無,方向を評価する方法.外側半規管型のBPPVを評価する.
・外側半規管型のBPPVでは眼振は重力方向性(例: 頸部右回旋時に右向き,左回旋時に左向き眼振),あるいは反重力方向性(例: 頸部右回旋時に左向き,左回旋時に右向き眼振)に出現する.
・重力方向性,反重力方向性眼振が誘発される場合,外側半規管のBPPVを示唆する. ただし,反重力方向性の場合,外側半規管以外に中枢性病変の可能性もあるため注意する(central paroxysmal positional nystagmus:CPPN).CPPN場合,臥位から座位,座位から臥位への頭位変換により垂直方向性眼振が誘発されることが多いため注意して観察する (Neurology. 2015 June 2;84(22):2238-46)
・Supine Rollテストにて眼振誘発がない場合,一方向性の場合はDix−Hallpikeテストを行う.

<Dix-Hallpike試験>

・座位で頭位を右(左)に回旋させた状態で仰臥位(懸垂位)へ体位変換を行う方法().後半規管のBPPVを評価する.

補足: 残存めまい症状とは

■ BPPVにおいて, 耳石置換術後に眼振は消失するものの, めまい症状やふらつき, 気分不良などが残存することがある. これを残存めまい症状(Residual Dizziness: RD)と呼ぶ.
□ RDの頻度は43%[39-48]. リスク因子は以下を参照(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2022 Jul;279(7):3237-56). また, RDの持続期間は23.4±16.8日(範囲6-89日)とおよそ1か月前後持続する(ORL J Otorhinolaryngol Relat Spec. 2022;84(2):122-9).

DHI: Dizziness Handicap Inventory(めまいによる障害を評価する問診票)
Eur Arch Otorhinolaryngol. 2022 Jul;279(7):3237-56

補足: CPPNとは(Neurology. 2015 June 2;84(22):2238-46)

■ CPPNは小脳虫部を含む中枢病変により,頭位変換に関連して一過性のめまい,眼振が認められる病態.
□ CPPNの眼振は以下の3パターンが認められる.
・Supine roll テストにより反重力方向の眼振.
・座位→仰臥位で下方向性眼振.
・仰臥位→座位で上方向性眼振.
■ 座位,臥位の体位変換に伴う垂直方向性眼振または背地性眼振はほぼ全例で認められる所見. 
□ 27例のCPPN症例での眼振パターンは, 体位性の下方向性眼振が69.2%, 背地性の眼振が42.3%とこの2つで大半を占める. 他に向地性の眼振が7.7%, 複数方向への眼振が23%(Prog Brain Res. 2019;249:345-60).
■ 原因は脳梗塞が約半数を占める.他には出血,腫瘍性病変,抗てんかん薬,多系統萎縮症で報告がある.
■ 脳梗塞によるCPPNは後下小脳動脈(PICA)領域の梗塞によるものが多いNeurol Sci. 2021 Mar;42(3):1045-52).

BPPVの治療は別項


② 前庭症状・内耳症状(+)のめまいを評価する

■ めまい・ふらつきと共に眼振, 難聴, 耳鳴, 耳閉塞感の出現, 増悪が認められれば前庭, 蝸牛症状(+)のめまいと判断する. これらを認めない場合は前庭, 蝸牛症状(-)のめまいと判断し, 鑑別を進める(③へ).
□ めまい・ふらつきを考える際は前庭, 蝸牛症状を伴うかどうかで分類するとアプローチしやすくなる. 前庭, 蝸牛症状は眼振, 難聴, 耳鳴, 耳閉塞感で判断.

■ 「回転性めまい」も前庭症状の1つだが, めまいの患者ではしばしば症状の表現方法が変わるため, 信頼性に欠ける可能性がある (Mayo Clin Proc. 2007 Nov;82(11):1329-40.). 眼振の有無で判断した方が良い.
・めまいを主訴とする872例において, 初期の問診と再度病歴聴取した時の症状表現の一致性を評価した報告では, 52%は初期と2回目で症状表現が変化した. 初期に回転性めまいを訴えた患者では70%で訴えが変化し, 回転性めまい以外を訴えた患者では0-10.3%が回転性めまいという表現に変化している. (Mayo Clin Proc. 2007 Nov;82(11):1329-40.)

■ 蝸牛症状は難聴, 耳鳴, 耳閉塞感を評価するが, 新規出現のみではなく, 元々ある症状の増悪にも注目する.
□ 高齢者で元々難聴がある患者では, しばしば難聴の増悪が見落とされる.
・普段よりも聞こえが悪くなっているかを家族や介護者, 本人に確認し, また経過フォロー中も難聴の変動に気をつけることが重要.

循環不全兆候がある場合は,

(循環不全徴候については: https://note.com/calm_hornet327/n/n54b74f30bcfd)
■ 大動脈解離, 椎骨脳底動脈解離, くも膜下出血, 髄膜炎などによる急性の中枢病変や循環不全に伴う椎骨脳底動脈系のTIA症状の可能性を考える.
■ もしくは嘔気, 嘔吐に伴う迷走神経反射の可能性もある. 循環不全の評価, 対応と同時に頭部CT検査, MRI検査を考慮する.
・前庭, 蝸牛症状(-)のめまいで循環不全徴候が認められる場合, 敗血症や心不全, 循環血液量減少性循環不全など全身疾患によるめまい・ふらつき症状と考え, 循環不全の評価, 原因精査, 対応を優先. めまい・ふらつき以外の症状にも注目する.

前庭, 蝸牛症状を伴うめまい, ふらつきのアプローチ

■ 前庭, 蝸牛症状を伴うめまいでは, 内耳, 前庭神経, 脳幹(延髄, 橋, 小脳)が関連する病態を考える.
□ 特に末梢性(前庭神経炎やメニエール病など)と中枢性(脳卒中, 多発性硬化症, 脳腫瘍など)疾患の鑑別は重要で, これらの鑑別には動脈硬化リスクの評価, 脳神経所見の評価, HINTS plusの評価が有用.

[中枢性 vs 末梢性の判断]

■ 動脈硬化のリスク因子(喫煙, 高血圧, 糖尿病, 脂質代謝異常症), 動脈硬化性疾患の既往(末梢動脈疾患, 脳血管疾患, 虚血性心疾患など), 心房細動既往があれば中枢性のめまいを考えるべき.
□ めまいを主訴に救急外来を受診した473例の解析では, 脳梗塞によるめまいの可能性をあげる情報として, 高齢, 冠動脈疾患既往, 脂質代謝異常症, 高血圧症, 継足歩行の異常が挙げられた (Mayo Clin Proc. 2014 Feb;89(2):173-80).
□ 延髄外側梗塞51例中, 7例(14%)に吃逆が認められた報告もあり, 難治性の吃逆を伴うめまいでも中枢性病変を考慮した方が良い(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005 Jan;76(1):95-8.).

めまい患者における脳梗塞リスク (Mayo Clin Proc. 2014 Feb;89(2):173-80)

■ 突如発症のめまいや頭痛・頸部痛を伴うめまい, 吃逆を伴うめまい, 元々めまいや蝸牛症状の既往がなく, 最近1年以内に繰り返している場合も中枢性を疑う.

■ 身体所見では脳幹所見(眼球運動障害, 複視, 嚥下障害, 構音障害), 小脳所見(測定障害, 体幹失調), ホルネル徴候(縮瞳, 眼瞼下垂, 眼裂の狭小, 顔面患側の発汗低下), そしてHINTS plusが重要.
□ 脳幹所見, 小脳所見, ホルネル徴候が認められれば当然中枢性疾患を考える
□ HINTS plus(後述)で中枢性が示唆される場合も中枢性疾患の精査を行う.

■ 中枢性のめまいを疑う場合, 可能ならば脳幹部の2-3mmスライスのMRIで評価する. また初期のMRIで脳梗塞像を認めない場合も48-72時間あけて再評価する.

HINTS plus

■ HINTS plusとはベッドサイドHIT(bedside-head impulse test, bHIT), 方向交代性眼振(nystagmus), 斜偏倚(skew deviation)の3項目(HINTS)に加えて, 難聴の有無を評価する方法.
□ どれか1つでも異常であればHINTS plus陽性と判断し, 中枢性病変の評価を行う
・前庭, 蝸牛症状を伴うめまいでMRIを評価した190例(このうち105例で脳梗塞と診断)の解析では, 初期のMRIの感度は小梗塞(<10mm)群で47%, 大梗塞群(>10mm)で92%であった. その一方でHINTS plusを用いて評価した場合, 小梗塞群で感度100%, 大梗塞群で感度99%と見逃しは有意に少ない(表5)(Neurology. 2014 Jul 8;83(2):169-73).
・急性の前庭, 蝸牛症状を伴うめまいで受診した患者群における, HINTS plusの脳梗塞に対する診断特性を(表)にまとめる. PICA(後下小脳動脈)梗塞, SCA(上小脳動脈)梗塞に対してはbHITの感度は良好と言えるが, AICA(前下小脳動脈)梗塞の診断では感度は低下する. これはAICAから内耳動脈が分岐し, AICA梗塞ではしばしば内耳梗塞も伴うためと説明できる. 内耳梗塞では難聴など蝸牛症状を伴うため, HINTS plusに難聴が含まれている.

急性の前庭, 蝸牛症状を伴うめまいで受診した患者群における, HINTS plusの脳梗塞に対する診断特性 PICA: 後下小脳動脈. AICA: 前下小脳動脈, SCA:上小脳動脈
(CMAJ. 2011 Jun 14;183(9):E571-92)(*Acad Emerg Med. 2013 Oct;20(10):986-96)

<bHITの評価方法(変法)> (Neurology. 2008 Jun 10;70(24 Pt 2):2378-85)
■ HITは頭位眼球反射を評価する方法. ベッドサイドで評価するbHITと装置を用いて客観的に記録, 解析するビデオHIT(vHIT)がある.

■ bHITについて解説する.
・患者は座位で,検者は患者の正面に立つ.
・患者の顔面を両手で保持し,20度程度,右(左)に回旋させる.
・その状態で患者に検者の鼻を見続けてもらうように指示し,素早く頭位を正中に戻す.
・頭位を戻した際,患者の目線がずれずに鼻を見続けていることができれば頭位眼球反射は正常と判断できる.
・頭位眼球反射が正常=前庭神経機能は正常であり,めまいの原因は中枢の可能性が示唆される→ これをbHITの中枢パターンと表現する.
・頭位眼球反射が異常=前庭神経機能が低下しており,めまいの原因は前庭神経,前庭にあると考えられる→これをbHITの末梢パターンと表現する.

□ 前庭神経炎の場合,患側方向に頸部を回旋させた際にbHITの末梢パターンを生じる.反対側では中枢パターンとなるため,左右差を確認することも重要である.

□ 内耳梗塞(前下小脳動脈から分岐する内耳動脈の閉塞を伴う)ではbHITは末梢パターンとなる. 従ってAICA梗塞ではbHITは信頼性に欠ける. その場合難聴を伴うため, 難聴の評価も重要(HINTS plusに難聴が含まれる理由)

□ bHITが末梢パターンとなる末梢性めまいは主に前庭神経炎. BPPVやメニエール病の評価には向かないため注意.
・めまいを認める患者で且つカロリック試験で異常であった172例において, bHITとvHITを行なった報告では各疾患のHIT末梢パターンとなる率は表の様であった(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2014 Mar;271(3):463-72.)

各めまい症におけるHIT末梢パターンの割合
(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2014 Mar;271(3):463-72.)

・他には, vHIT末梢パターン率は前庭神経炎で94.2%, 聴神経腫瘍で61.3%, メニエール病で54.5%との報告(Auris Nasus Larynx. 2013 Aug;40(4):348-51)や, 前庭片頭痛患者の36.7%で末梢パターンとなる報告(Arq Neuropsiquiatr. 2016 Jan;74(1):22-8.)もある. また, bHITはvHITよりも末梢パターンが出現しにくい(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2017 Mar;274(3):1215-1222.).

<斜偏倚の評価方法>
■ 斜偏倚は両側眼位が垂直方向に偏倚する所見のことを意味する.中枢からの眼位調節のための信号入力に左右差が生じ,眼球の位置が左右で異なるものと説明される.眼球位置のずれを補正しようとして頭位を傾けることもある.

・患者の正面に立ち,患者に検者の鼻を見続けてもらうように指示する
・検者の手で患者の片方の眼を覆い,その後素早く覆った手を退け, 反対側の眼を覆う.
・退けた瞬間の眼位を評価し,偏倚しているかどうか,退けた後に正中に戻る運動を評価する.両側で行う.
・眼位のずれは注視により補正されてしまうため,片眼ずつ手で覆い,注視による補正を解除することが必要となる.覆った手を退ける瞬間にその眼位と正中に戻る運動を評価するのがポイント.フレンツェル眼鏡があればより容易に評価は可能となる.

前庭症状・内耳症状(+)のめまいの鑑別疾患

■ 上記所見やHINTs Plus所見に加えて, 再発性かどうか, その場合持続時間も鑑別に有用な情報. 薬剤性も忘れない.

前庭, 蝸牛症状を伴うめまい・ふらつきを程する主な疾患 (
Am J Otol. 1996 Nov;17(6):883-92.)(Handb Clin Neurol. 2016;137:257-77)(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2014 Mar;271(3):463-72.)(Acta Otolaryngol. 2010 Jun;130(6):644-51.)(Lancet Neurol. 2013 Jul;12(7):706-15. )(Lancet. 2010 Apr 3;375(9721):1203-11.)(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2015 Apr;272(4):839-42.)(Medicine (Baltimore). 2016 Apr;95(17):e3557.)(Otol Neurotol. 2004 May;25(3):245-9.)参考に作成

③ 前庭症状・内耳症状(-)のめまいを評価する

■ 前庭, 蝸牛症状を伴わないめまい・ふらつきでは, 先ず全身疾患に伴う症状の可能性を考える.
□ 特に循環不全徴候がある場合は要注意(循環不全徴候については: https://note.com/calm_hornet327/n/n54b74f30bcfd)
・ 具体的には敗血症(肺炎や尿路感染症など), 脱水・出血, 心筋梗塞, 心不全, 不整脈, 電解質異常(高・低Na血症, 低K血症), 内分泌疾患(甲状腺機能異常や副腎不全, 低血糖症, 高血糖緊急症)など.
□ 他に診断のヒントとなる病歴, 症状や所見がないかをしっかりと評価, 確認し検査につなげる.

■ これら全身疾患の可能性が低い場合, 心因性めまいや, 上で挙げたような前庭・蝸牛症状を伴うめまい・ふらつきの原因疾患や神経変性疾患(パーキンソン症候群 , 多系統萎縮症), 深部感覚障害(ビタミンB1, B12欠乏, 銅欠乏, 脊髄癆, アルコール性, 糖尿病性神経障害など), 中枢神経障害(正常圧水頭症, 脳腫瘍), 筋・骨格・関節障害, 薬剤性の可能性を検討する.

■心因性は原因として多く,特に持続性知覚性姿勢誘発めまい(persistent postural-perceptual dizziness: PPPD)はBPPVに次ぎ2番目に多いとされる〔Curr Opin Neurol. 2013 Feb;26(1):81-9〕.PPPDの診断基準を以下に示す〔Equilibrium Res 2019;78(3):228-229〕.

PPPDの診断基準 基準A-Eを全て満たす

□ PPPDは心因性めまいの1つであり, 転倒やバランスを崩すことへの恐怖からふらつきを生じる. 継足歩行や片足立ちは可能であり, 症状は変動性で, 他に集中していると症状が認められない(Neurology. 1996 Jun;46(6):1515-9).
・BPPVやAVSの改善後に, 症状への不安から生じることもある(BPPVにおける残存めまい症状とのオーバーラップもある).
・高所恐怖症の人が高所を歩くような状況をイメージするとわかりやすい. 過度に緊張し, 下肢運動が妨げられ, バランスが悪くなる(Curr Opin Neurol. 2017 Feb;30(1):107-13). 視線は足下に固定され, 視覚によるバランスの補正能も低下する(Ann N Y Acad Sci. 2015 Apr;1343:37-48). それらがさらに不安を招き, 症状が増悪する.
□ 治療はそのような状況であることを自覚させる, また恐怖心をとるためのカウンセリングや歩行の指導, リハビリテーションを行う.

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