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雨上がりの匂い

嵐は突然現れる。目の前に広がる生き生きとした山々や、優しさに溢れた太陽の暖かさに触れていても、その輝きはあまりにも一瞬で、嵐とともに存在すらも見失ってしまうように感じる。

だが、爽快な青空に恋い焦がれる雨の日の様に、苦しさの中でさえ自分への愛を求める。あの暖かさを求めて。

私は悩むことが多い。
その悩みは多くの場合、社会が関わっている。
人にこう思われている。恥ずかしい。こうしなければ。出来ない自分を許せない。惨めだ。申し訳ない。そんな自分を許せない。

考えてみれば、人は気づかないうちに容易に他人を測る。ある決められた評価基準の基行われるこの評価は、人の価値を他人が決めているようで、とても冷たい。嵐の中の激しい雨のように体を何度も叩き続け、体と心を冷やす。人を大きく悩ませ、自分をも忘れさせ、涙さえ与えることだってできる。自分を疑い苦しむことなんて、何千回、何万回もあるだろう。

だから、自分だけは味方でいてほしい。それを許してあげてほしい。濡れた石で足を滑らせても、道がない雑木林の中をかき分けて歩こうとも、びしょ濡れになっても、擦り剥いても。
だってつらいはず。十分辛いはずだから、あなただけは、優しく自分に寄り添っていてほしい。弱い自分をまた今日も乗り越えるために、自分はいつでも味方にしていてもいいんじゃないかな。って。
そしたら私はもっと、雨上がりの匂いを少しでも好きになれるかもしれない。



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