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愛は重いものである

毎日ヘロヘロになって地下鉄を下り帰る時通り抜ける道が破壊されていた!何にするっちゅうねん、と思いながら回り道した。

新宿区のタワマンで20代の元ガールズバーの女性が50代男性に刺されて死亡したニュースを見ながら、ふとまだ自分の愛が重かった頃のことを思い出す。大人になった今、カゴメの野菜ジュースを飲みながら思うことは、自分は良きにつけ悪きにつけ何にでものめり込む人なので、人を好きになると脇目もふらず好きだったなと。

ちうううううう(カゴメジュースを飲む音)

浮気をしないのだからいいではないですかと言うとそうでもない。別の男を見ないどころか、友達も、趣味も、勉強も、道端のたんぽぽも、何もかも見なくなってしまう。

全てにおいて彼氏優先だ!
今、思えば、あまりに重い!重すぎる!

ちうううううう(カゴメジュースを飲む音)

恋愛を覚えたての時は、こういうことの加減がわかっていなかったと思う。大体においてですね、女の子の恋は重めにできている人が多いですよ。少女漫画って恋愛以外の要素ないじゃん。最近になってそれに疲れてるんです。

少女漫画の恋の重さに疲れてまぁーっす。イエーイ!

私の恋が出だしに非常に重くなってしまったのは、恋愛の教科書として少女漫画を選んでしまったためで、少女漫画の主人公は恋愛のこと以外考えていませえん。

一応ここで、注釈を入れておくと、一部の漫画には恋愛以外の要素もあるかもしれません。

で、表では田舎の優等生。裏では隠れ乙女だった自分は、隠れて少女漫画を読んで恋に憧れていたわけだが、その少女漫画脳のままで現実で恋愛をして、ビミョーなズレがくる。ビミョーな。ちなみに私、若干女性的と言えなくもない父に育てられ、姉と妹で男兄弟がいなかったので、そこでも免疫がなかった。

学生時代はまだよかったのだけど、社会人になった時に大いにこけた!

思うにこうなんです。少女漫画脳のまま大人になってしまった女子は、仕事とか勉強とかどうでもよくて男のことを三度の飯と睡眠とお風呂とトイレ以外で考えているのです。男子はちがーう。

「ね、⚪︎⚪︎くん、今何考えてた?」
「……」

仕事とか興味のない女子は、仕事を適当にこなし、アフター5には速攻彼氏に電話をかけるのである。ちなみに男子は残業してるかもしれない。この温度差である。恋愛がうまくいかなくなるのは、こういう歯車が狂い始めるところからだよ。男子は恋愛のことだけ24時間考えているわけじゃないからな。

そんなことねー、俺は女子だが仕事や勉強熱心だぞと言うあなた、今度は男も女も恋愛を優先しない人同士で、自然消滅します。

それではどうしろというのか?
恋愛脳と仕事脳の二人のそれぞれの格差がそこまでひどくなければなんとかもって結婚へ辿り着くだろう。すると、仕事脳の男子は(別にここ現代的に女子でもいいけど)会社へゆく。恋愛脳のまま適当に仕事へゆく女子もいるでしょう。アフター5はさっさと帰ってきて夫のためにご飯作ったり張り切ってみる。
しかし、仕事脳の夫はすでに自分のものになった奥さんに安心し、久しぶりに仕事が早めにはけると友達や同僚と飲みにいっちゃいます。

基本、友達や仕事や趣味なんかより恋愛、つまりは彼氏や夫を優先しちゃう恋愛脳の人にとっては、これが辛いんだよ!!!

なんで、帰ってきてくれないの?
ガビーン、ガビーン、ガビーン、ガビーン……

そして、根暗な彼女は暗い部屋でジトっと夫を待ったりするわけだ。(誰のはなしなんだろうね?これ)

「タダイマァ」

ほろ酔い気分で帰ってくると、家が暗い!

「なに、なに、なに?まみちゃん!」
(とりあえず奥さんの名前、まみちゃんに決定)

パチリ

家の電気をつける。

「トシくーん」
(ついこの前まで書いてた小説の男の子の名前、流用)

ふえーん。泣いちゃった奥さん。流石にここまでカマトトな女子なんていないか、まぁいい、続けよう。

「どうしたの?どっか痛いの?」
「寂しかったぁ」

チーン……

独身時代は可愛いなと思ったこういうところにも、不思議と結婚しちゃうとウザいと思うだけである。しかし、ウザいとは言わない。ここで、ごくごく普通に仕事をしていて社交的な男子が言う言葉は決まっている。

「まみちゃんも友達と遊びに行ったり、好きなことすればいいんだよ?」

トントントントントン

ここで突然舞台がどこぞの遊園地の豪華な仕掛け付き舞台ばりに回転して、観客もろとも説教部屋に入る。

よろしいでしょうか?

ごくごく普通に社交的な男子が本能的に選ぶのは、外に出かけるのが好きな女子ではなく家のこもりがちな女子である。なぜか?自分のものにしておきたいからであるっ!もしも、ごくごく普通に社交的な男子と同じく社交的な女子が結婚したとする。どっちも家で待たないので、すれ違う生活になる。そして、こう言うご家庭にお子さんが生まれるとかわいそうだ。親の二人とも留守がちだと残された子供はどんだけ寂しい?

しかし、こんな私の説教も虚しく結婚してもフラフラと外を遊び歩く男子のなんと多いことか。そんな中で愛の重い女の子も安らぎを迎えることがある。

子供の誕生である。

愛の重い女にとって、自分がいなければ存在することができない子供の誕生は、需要と供給がピッタリ合う瞬間である。

かくして、奥様を必要以上にほっといた男性は、今度は奥様にほっとかれることになる。

しかしだな、子供は大きくなるのですよ。するとまた、愛の行き場がなくなるわけです。

人は自分が愛した分だけ、同じ量で返ってこないと不調になる動物です。そして、生きている限りエネルギーをもっている。自分の持っているエネルギーを何かに与えて生きていきたいけれど、時と場合によって行き場のないエネルギーを抱えてしまうこともあるわけね。

端的に言えば相手にとってちょうどいい量の愛を与えれば、相手にも喜ばれるけど、そんなに朝から晩まで恋愛脳ではない人に恋愛脳で追いかけたりしても振られるし、大きくなって自分の助けが必要ではなくなってきた子供につきまとっても「クソババア」と言われるし。

どうすればいいんですか??

愛が悪いわけじゃなくて、ただ、愛にばかり時間やパワーをかけるのをやめたほうがいい。愛が報われないのだとか、そういう問題ではないのですよ。エネルギーが余っているってことだと思うんです。あなたのエネルギーの全てを他に使うことがないから愛に還元して使おうとするのだけど、そんなにたくさんの愛はいらないって話で、全部を愛に還元するのをやめればいい。

なんかするんですよ。なんか探して、何かする。自分だけの世界を簡単なことでもいいから持てばいい。夫や子供にだけむけていたエネルギーを少し減らして、その新しい何かに注げばいい。

愛がうまくいかないのは、相手の愛に対してあなたの愛の方が重いからだと思う。

そんな自分がどうかというと、今、自分に仕事があることに非常に感謝しています。この仕事は新しい仕事ですので、色々調べたり勉強しなければなりませんし、非常に基礎的な仕事ですので、ちゃんとやれば地味に人の役に立ちます。

私はね、地味でいいんです。地味な女です。一生懸命コツコツやったことで、メールの向こうの人がありがとうなんて言ってもらえると、

「ありがとうって言ってもらっちゃった」

なんて思いながら帰りのローソンでビールを買おうかなっと。こんなことぐらいで幸せになれる人です。家に帰れば今は息子がいますが、高校生になればこの子は日本へ行きますから、その時におばあちゃんがどうするかはわかりませんが、夫は毎日夜遅いし、私の愛は重いままで行き場を失いますよ。ただ一応仕事はあるから、全く行き場がないわけでもない。

ここで冒頭に戻りますが、男の人にお金を貢がせて、貢がせた途端に手のひらを返したように冷たくして、自分はタワマンに住んでて、それで、お金を返して欲しいと言われても突っぱねて、挙句にストーキングされて、それも立件して刑事的には男性の方に罪が認められた。
おそらくお金を騙して取られたと男性が訴えても刑事でも民事でも男性が勝てない案件だったのかなと思いながらニュースを見てました。
ただね、民事で裁判になっても女性の方が勝てたのだとしても、そこで勝ち負けではなく示談にして1000万のうちの幾らかを返却するようなことは考えられなかったのでしょうか。
法的に勝てる勝てないの話ではなくてね、命を奪われてしまうくらいなら、示談でいくらかお金を返して命を繋ぐ方が、どれだけ賢いでしょうか。

私はこれはもう正義について話しているわけじゃないんですが。

いくら騙されたと言っても男性も命まで取る権利はないわけで、多分無理だったのだろうと思うけど、法的に取れる手段を探すべきだし、ダメならそれでも生きていくべきだったんだろうと思うよ。どんなクソみたいな人生でもさ。
でも女の子の方も、お金にばかり執着して、大事なものを見失ったよね。

お金なんてもってたって、死んだら意味ないじゃないですか。
これもまた業のようなものなんですかね。

愛はとある人にとってはとても軽くて、とある人にとってはとても重く
軽い人には重い人の気持ちは理解できず
そして、時に愛の軽い人は故意に重い人の愛を利用するのかもしれない

そんなものに振り回されないように自分だけの何かを人は手に入れるべきである。

2024.05.10
汪海妹


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