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【映画】キリエのうた【ネタバレ有】


大好きな岩井監督の新作。
アイナさんが主演だったり、ジャニーズの方が出るとかで結構話題になっていたのかな。

岩井監督の作品を映画館で見るのは2回目。
前作のラストレターもとっても良い映画で、終わってぼろ泣きした記憶。
今までの作品が良い分、今回の期待値も上げ過ぎてはだめだと思いながらも自然と期待してしまうのは仕方ない。休みの日に朝イチで観てきました。

映画が始まってまずは、やっぱり映像のコントラストがすごく好きで始まりの雪のシーンから既に癒された。

あらすじなどの前情報は一切に入れずに鑑賞したんだけど、まさか題材が震災だったなんて驚いた。
実は苦手な題材。戦争と震災は苦しくなってしまってあまり直視できないんだよね。
目を背けたらだめだっては分かっているんだけど
私の中で消化していくのにとても時間がかかるテーマ。


率直に鑑賞後の感想は、ほんっとにリアル。フィクションというより、ドキュメンタリーみたいな感覚。
孤独なルカも、未熟な夏彦も、つなぎ留めたいキリエも、自分は母親とは違うと何者かになりたかったイッコも。
きっとどこかで生きていたんだろうなと思う。
特に夏彦は一番リアルで感情移入できた。

印象深かった場面は
ルカを引き取りたくてどうにもならなかった夏彦と先生の場面と、ルカを探しに来た施設の人に「里親とうまくいっていない」と夏彦が訴えても「それでも、あなたには何もできない」と言われる場面。

あんなに未曾有の大災害が起きても血縁関係がないとどうにもできない。
それが、日本の法で、当事者を守るためのものというのも十分理解できる。
だけどそれでも、自分の無力さに打ちひしがれる夏彦がなんだか自分と重なってしまって胸がすごく苦しかった。
あの震災の中、人の善意だけではどうにもならないことがあると現実を突き付けられた人ってたくさんいるんだろうなと思った。

久しぶりに会ったルカを抱きしめて「許してくれ」と泣いた意味もきっとたくさんあったと思う。ルカへの気持ちももちろんだけど、キリエへの想い、もしかしたらお腹の子への想いも。

地元を離れて、何者かになりたかったけど自由を手に入れて広いはずの東京でどんどん首が締まっていくイッコ。
リリィシュシュの時に味わったような閉塞感が苦しかった。

全体的に重くて苦しい場面が続いたけど私個人が良かったなと思ったのは、ルカが最後までルカらしく歌を歌い続けられたこと。
最後の場面では、事務所に入ることはなく変わらずに放浪して歌っていることが想像できる場面で終わった。
それは個人的に納得のいくラストだった。

ちょい出の出演者が豪華だったのはさすがだなと思ったけど粗品が出てくるタイミングは浸ってた涙も引っ込んだ(笑)

期待を裏切らない、それ以上の作品でした。
また、サブスクでたら見ようと思います。








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