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ベルゲン ウルリケン山トレッキング

本日は快晴であった。
このユースホステル(モンタナ ファミリー&ユースホステル)はベルゲンの中心部から南へおよそ5キロのウルリケン山の中腹にあった。
ユースホステルの数分のところから、この山頂に向かうトレッキングコースがあった。
ケーブルカーもあるのだが、折角なので歩いていくことにした。
K子と二人で登った。
途中までは、もう一人の友人も来たのだが、彼女は2日前に膝をぶつけて、痛めていた。
様子を見ながら歩いていたのだが、やはり登頂は止めると言い、帰っていった。
それは正解だった。
途中の風景も素晴らしかった。
木々の緑が朝日に光り、爽やかな空気が満ちて散歩日和だった。
彼女と別れると登山道となった。
若い2人連れの女性が軽装で、らくらくと追い抜いていった。
外国で見かける外国人トレッカーは、サンダル履きで、普通の服装が多かった。
日本人みたいに完全防備のスタイルは、少ない。
 
以前、ニュージランドのトレッキングのときに、外国人に聞かれた。
「何故、日本人は山歩きに手袋をするのか?」
わたしは「木をつかんだり、周りのものを摑みながら登るので、手袋をする」

と答えたが、理解はされなかった。
日本人は平均的に、過剰防衛的な面が多い。
清潔さもその一つだ。
カナダで2週間ホームスティをした時だった。
その家の娘さんが、生後6,7ヶ月の赤ちゃんを連れてやってきた。
赤ちゃんが居間で遊んでいた。
そして床をハイハイし始めたのだ。
床は当然、靴履きだ。
そこにあった靴を、口に入れて遊んでいた。
でも娘さんは慌てるわけでもなく、靴のみをとり、そのまま自由に床を這わせていた。
日本ではありえなかった。
泥だらけの床に、赤ちゃんを置くことは考えられない。
日本のお母さんは、玄関の床を赤ちゃんが這えば悲鳴をあげるだろう。

登るにつれて道は、険しくなっていった。
このウルリケン山は美しい自然に囲まれ、「ベルゲン渓谷の絶景が望められる」の言葉に誘われて登った。

ウルリケン山


だが、上に行くに連れて荒涼とした岩山となった。
山頂が見えてくる頃には、岩をよじ登りながらの急坂となった。
気軽に散歩のつもりだったのが、なんだか本格的な感じになってきた。
目の前を、わたしたちを追い抜いた軽装の男性2人が、軽々と岩を登っていった。
しかし、わたしは必死だった。
どうもわたしの足のコンパスは、短いようだ。
岩にある窪みに足をかけて登って行くようだが、わたしの足は届かなかった。
K子は身長もあり、おまけに手足が長かった。
彼女も足元には苦労せずに、登っていった。
下を見ると、絶壁だった。
そのように見えた。
足を滑らせると、相当すべり落ちてしまいそうだ。
そう思うと手足が強張った。
 
以前、友人M子とトレッキングした時に、何を思ったのか台風後の地元山で急斜面を登る羽目になり、結局滑落してしまったことがある。
そのシーンを、思い出してしまった。

慎重に慎重にK子に遅れながら、登って行った。
ようやく階段を取り付けられているところまで来た。
道もコンクリートの舗装となった。
すると、3歳ほどの男の子を連れた家族づれと行き会った。
わたしは思わず「この道は危険。行っては行けない」と言った。
すると若いお父さんは、ニコニコと左側を指差した。
そこには舗装された下への道があった。
そしてケーブルカーのチケットをくださった。
往復ケーブルの予定を、帰り道は歩くことにしたようだ。
わたし達の疲労した顔みて、くださったようだ。

山頂にはケーブルカーの駅があり、展望台もあった。
そこからの眺めは素晴らしかった。



入り江がきれいな湾となり、青々とした海で輝いていた。
四方には山が連なっていた。
快晴の青空に海と山が映えていた。
苦労が報われたようだ。
この苦労があったからこその、美しさであろう。
 

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