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重い宿題

1.ある若い人からの質問

 「人は信じれる生き物なんですか??」ーーある人からメールで、私に寄せられた質問です。
 私は、「人は信じられる生き物だと思います。」とだけ答えて、というか、「人は信じられる」と信じて、続きの言葉を自分の生活の中で深く考えてみようと思った。
 重い宿題だった。試されているのは私の誠実さ、いや人間性そのものか。

2.ある日の出来事

 先日のこと。
 帰りの横浜駅のホームはいつにもまして、混んでいた。私がいつも使っている出口の階段付近に人が溢れている。あまりに人が動かないので、私は少しイラついた。事故以外で、こんなに人が動かないのは社会人生活で初めてだ。5分ほどの時間がたっただろうか。長く感じた。すると杖をついて歩くのがやっとの老女の姿が現れた。
 あぁ。ここにいる人はみんな・・・1000人はいただろうか・・・この人が階段を昇りきるのを待っていたんだ。
 その瞬間、「人は信じられる」と思った。
 誰もその人を押しのけず、声も荒げず、じっと待った。
 その人が階段を昇り始めたとき、降りる最前列の人たちは、道をあけるために立ち止まった。すると次の列の人も立ち止まった。順々にその行動は後ろへとつながり、ホームへとあふれ、その一番後ろに私がいた。
 杖をつき、ラッシュアワーに一人、横浜駅を歩く老女がいた。そして、その人の存在を尊重する人たちが横浜駅にいた。
 一人でも「キレたら」、おしまいだった。
 だから、みんなに拍手。

3.そして答え

 人は信じられるか。無条件では答えれない。しかし、ほんの少し、最初に我慢が出来る、良心の人がいれば、人は信じられる方向に動くのでは無いか。今はそう思う。

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