【詩】詩と九相図

脳はいつもバグっている

真っ直ぐな線はすぐに歪み
交わらないはずの線が交差し
弧になり 螺旋を伸ばし
影をも落とす

バグった脳が見い出したことばで
編んだ詩は
当然 ちぐはぐだ

そんな詩は肥溜めにでもぶちこんでしまえ
いえいえ やがて肥料になって
誰かの心を潤すなんて
勘違いもはなはだしい

それなら燃やしてしまえ
いえいえ 空に舞い上がり
灰を降らせるなど
まるで跡を濁して飛び立つ鳥

ちぐはぐな詩にふさわしいのは
アスファルトにへばりついた落ち葉のように
何にも還元されず
靴底にふみしだかれ
朽ちていくこと

いっそ 小野小町九相図のように
朽ちていくのはどうだろう

バグった脳が見せる
束の間の
淫靡な幻影

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