見出し画像

知っておきたい、法定後見制度

後見人という言葉には耳馴染みがあるけれど
法定というのはなんだか堅苦しい…

それにタイトルだけを見たら
なんのことかサッパリですね…

しかし成年後見制度、というワードは
終活や相続の話でたまに登場します

何が違うのか、どんなことができるのか
しっかり説明できたらと思います

亡くなる前に気になっていても
わからないことが多いと手が出せません…

当ブログはそんな方へ向けて
まずは”本当の基礎”から書いていきます!




《法定後見制度とは》

法定後見制度とは成年後見制度の中の1つ
任意後見制度と対になっているものです

家庭裁判所の審判で決まるのが法定後見人
サポートされる本人が選べるのが任意後見人

そういう違いで名前が違います

家庭裁判所の審判を経て法的に任命されることで
あらゆる実効力を得られるということでもあります

本人の信頼が得やすいのは任意後見人でしょうが
サポートされる人が必ずしも選べる状態とは
かぎらないですよね

また成年後見制度において後見人となるのは
血縁者や知人に限った話ではありません

弁護士や司法書士など
公証人と呼ばれる立場のものが
任命されることもあります



《法定後見制度の中には段階がある》

では法定後見制度を活用するとなると
必ず”後見人”なのか、というとそれは違います

法定後見制度の中身には

・補助人
・保佐人
・成年後見人

の3段階があり、それぞれ権利の範囲や
本人の状態が分けられています

まだ自分でできることがあるのに
他人から見て少し不安なところがあるからと
すべての権利を奪ってしまうことは
本人の生き方を守るために大切なことです

法定後見人が任命されるまでには、

①本人または家族等関係者の申し立て
②家庭裁判所による審理
③家庭裁判所による審判
④審判内容の受領から2週間で確定
⑤後見人がついたことが登記される

というステップがあります

法定後見制度のうち、保佐人または成年後見人がつくと
社会的地位や国家資格を失うこともあるため
より慎重な審理が必要ということです

※医師免許など国家資格、会社役員地位などがこれにあたる
※被後見人が国家公務員の場合は就業資格喪失もある

法改正されて必ずしも資格喪失ではありませんが
判断能力の低下は慎重に判断すべきという文言は
現在に至るまでも軽視できないことですね



《補助人がつく場合》

補助人が選任される基準として
”判断能力が不十分である”と書かれています

これでは支える側はどう捉えたりいいのか
わかりにくいかもしれません

そこの判断をするのは家庭裁判所なので
家庭裁判所が行う本人の調査に協力するなど
まずは事実をしっかり伝えましょう

そして補助人にできるのは主に”見守り”です

本人がまだ意思表示をできる段階ということで
本人がした契約を補助人であるという理由で取り消したり
補助人の同意がなければできない行為は少ないです

補助人として本人の権利に干渉するためには
家庭裁判所に申し立てて代理権や同意・取消権を
認められていなければなりません

申し立てにより認められるのは特定の法律行為の代理、
そして一部の重大な契約に関する同意・取消権です

この場合の重大な契約とは借金や家の増改築など
多量の金銭と権利が動くようなものを示します

ほぼなんの権利もないじゃないか、と思うかもしれませんが
補助人は本人の様子を見守って
毎年、家庭裁判所に報告と手続きをします

それによって必要なサポートを確立するので
補助人が直接介護することはありません



《保佐人がつく場合》

保佐人が選任される基準として
”判断能力が著しく不十分である”とあります

こちらもわかりにくいですが
補助人同様、事実をしっかり伝えて
家庭裁判所の審判に任せるしかありません

保佐人にできることは”同意・取消”です
補助人より多くのことができると言えます

とはいえこの段階でも本人の自由度は高く
特定の法律行為の代理は補助人と同じであり
同意や取消が行えるのも重大な契約や
申し立てによって家庭裁判所が認めたものだけです

それ以外の個人間の口約束や売買契約は
保佐人というだけでは取り消せませんので注意が必要です

不安がある場合は申し立ての時点で
取消権の付与の特記も申し立てる必要があります

こちらも同じく家庭裁判所に
毎年の報告義務がありますが
直接介護の義務はありません



《成年後見人がつく場合》

成年後見人が選任される基準は
”判断能力がまったくない方”とあります

この状態で財産管理をさせるのは
支える側にとってかなり不安なことですね

家庭裁判所によって成年後見人が選任されることで
成年後見人は財産管理の全面的な代理権と取消権を得ます

ただし婚姻(結婚・離婚)や遺言作成などは
あくまで本人の法律行為にあたるので
代理することはできません

成年後見人ができることに関しては
以前のブログに詳しく書いてみましたので
そちらを見ていただくといいと思います



《まとめ》

今回は終活の基本に成年後見制度を書きましたが
生まれつきの知的障害や精神障害の場合にも
成年後見制度は利用されることがあります

年齢で適用されるものではなく
本人の財産を守るための制度です

また成年後見制度に類似して異なる、
”家族信託”というシステムもありますので
そちらの記事も読んでみてください

メリットやデメリットはどんなものにも
ついてまわるものなので、しっかり調べるのが肝心ですね

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?