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知っておきたい、家族信託

信託、という言葉を聞くと
頭に浮かぶのは銀行でしょうか?

文字通り誰かに何かを任せる、というのはわかっても
それが相続にどんな関係があるのでしょうか?

そもそも家族信託なんて聞いたことない
なんて方もいらっしゃるでしょう

以前のブログで取り上げた成年後見制度との違い
メリットやデメリットなど
詳しく説明していきます!

亡くなる前に気になっていても
わからないことが多いと手が出せません…

当ブログはそんな方へ向けて
まずは”本当の基礎”から書いていきます!



《家族信託とは》

そもそも家族信託とは
亡くなったあとの相続と関係するものですが
亡くなる前から本人と家族で活用できます

専門家による公証人などではなく
”自分たちで決めておく財産管理”です

法律用語だと”民事信託”と言いますが
ここでは馴染みやすい家族信託という呼び方にします

家族信託の中身は大きく2つ

・遺言信託
・契約信託

に分かれています

この2つの違いは”没後にも影響があるか”です

遺言信託は”生前から適用できる遺言”
契約信託は”生前のみ効力をもつ財産管理”

このようにイメージすると
違いがわかりやすいかと思います

家族信託を活用するにあたってどちらにしても
公正証書の作成や登記の手続きは必要になりますが
その手続きさえ間違わなければ
法的な効力をしっかりと発揮してくれます



《家族信託のメリット》

ではまずメリットから
知名度の低いシステムですが
しっかり知っていれば便利なものです

①元気なうちに決めてもらえる

認知症や脳機能低下が起こってからだと
本人の意思である立証が難しくなります

しっかりと元気なうちから意思表示してもらうことで
本人の意思を尊重できるばかりか
家族間でのトラブルも大いに防げるでしょう

②”生前から適用できる遺言”

本人が生きているうちは手が出せない、
というのが遺言なら

本人の意思によって決められ
本人の存命中から管理・処断ができる家族信託は
より財産管理に向いていると言えます

生前から管理を任され、
没後も効力を発揮するようにしておけば
そのまま相続することも可能です

③より広く指定できる

遺言と違って家族信託では
”次の管理者”や”その次の管理者”というように
遺言では効力をもたせられない”先の相続人”の
指定をすることができます

遺言にはないこのメリットは
本人の意思をより深く汲めると言えるでしょう



《家族信託のデメリット》

ではなぜ家族信託が広まらないのか
利用する人や専門家が少ないという問題もありますが

他でもなくデメリットもしっかり知ることで
自身に活用すべきかを見極めなければなりません

①節税にはならない

家族信託はあくまでも”管理の委任”です
相続や贈与と異なり、節税効果はありません

家族信託の場合は本人と管理者のほか、
そこから発生する利益の受取人も定めなければなりません

※不動産の家賃収入や株の配当などが利益である

そして本人が存命のかぎり
あくまで財産の本体は本人のもの

管理者となった家族はあくまで
その管理を委任されたもの、という認識ですから
本人の意向を無視して不動産売買をしたりはできません

②本人には干渉できない

家族信託は財産管理のためのシステムです
あくまで管理を割り振れるのは財産のみ

医療行為や介護のことなどに
管理や決定権はありません

本人の預貯金の一部を任されたからといって
そのお金で本人を介護施設に入れることは
本人の同意がない限りできないということです

③公正証書や登記が必要である

家族に詳しい人がいて手続きができればよいですが
専門家のアドバイスが必要な場合もあるでしょう

そして公正証書作成には手数料がかかり
信託登記や不動産の名義変更なども必要です

利益の受取人が本人になることも多いので
名義は管理者でも利益の受取のために
信託口座を設立しなければならないこともあります



《成年後見制度との違い》

それでも家族信託が存在するのはなぜなのか?

成年後見制度との違いを知っていれば
各家庭に合った利用法をとれます

・本人の意思表示の違い

成年後見制度は本人の判断能力が
低下してから活用される制度ですが

家族信託は本人に判断能力があるうちに
本人の意思表示によって活用するシステムです

つまり本人に判断能力の低下がみられてからでは
家族信託は使えないということにもなります

・取消権はない

たとえば本人が独断で行った契約を
成年後見制度であれば取消可能です

詐欺被害やお金の使い込みなどは
取消権を行使することで無効にできます

しかし家族信託に取消権はありません

管理が本人でないことで被害を小さくできても
契約無効による財産の回収はできません

不法行為によるハイリスクに備えるなら後見
本人の判断能力に委ねられるなら部分管理の信託

そのような使い分けが向いていると思われます

・資産運用が可能

成年後見制度は本人の財産確保が目的ですが
家族信託で管理委託をすることで
管理者は資産運用が可能です

成年後見の場合は合理的事情がなければ
不動産売却や運用が不可なのに対し

家族信託は本人の同意さえあれば
管理者が運用を行うことができます



《まとめ》

家族信託の良さやタイミングが
わかっていただけたかと思います

家族信託は家族信託普及会があるなど
知識としてまだまだ知られていないシステムです

その特性があっているようなら
終活にとりいれみてはいかがでしょうか?

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