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確定診断(病名決定)

消化器内科(肝臓チーム)による肝生検検査の結果が、ついにきた。検査入院してから三週間後のことだ。肝臓チームの主治医から直接電話がきた。
「検査の結果、肝臓癌ではなく肝内胆管癌です。」CT検査やエコー検査でどうも肝臓癌では無いような像だということは聞いていたので、予想はしていたが「肝内胆管癌」は馴染みのない癌である。犬や猫でまずみられない癌である。膵臓癌や肝臓癌はまれに見られるが胆管系の癌は聞かない。犬や猫では胆嚢炎や胆管炎はたまに見られる病名ではあるが。
どういう癌であるか知るために院長は自分で調べ始めた。知ることは大切であるが知りすぎるのも良くないことがある。昔から「知らぬが仏」という言葉があるように厳しい現実を知ることはいい事ばかりでは無い。口腔内腫瘍を疑われていた頃相談していた口腔外科医である高校の先輩が「肝内胆管癌治療ガイドライン」という医師向けの資料を送ってきてくれた。それによると肝内胆管癌ステージ4(院長の今の現状)の3年生存率は10%以下、5年生存率はなんと0%と書かれている。かなりショックな内容である。治療しても治らない→つまり死ぬ、ということを知らされた。気分的にはかなり落ち込んだ。女優の川島なお美、ミスターラグビーと言われた平尾誠二が亡くなったのがこの肝内胆管癌である。お2人とも50代半ばでの早逝である。身につまされる思いである。病名がわかるまでかなり時間がかかったが(7月初めから9月半ばの約2ヶ月半)その間、転移があることから死を覚悟しないといけない病気であることは予想していたことであるが、現実的な数字を見せつけられるとショックは大きい。
院長は直ぐに今後の生活のことをかんがえ動物病院の売却(事業継承)を決定したのはこの時である。

さて、病名決定で予後も最悪であるとわかったのに加えてもうひとつ最悪なことがあるとは。悪いことはかさなるというが、誰がそれを望むだろう。
「肝臓癌ではないので、担当が膵胆管チームに変わります。今度の主治医は膵胆管チーム長のY先生です。Y先生が早速抗がん剤治療を始めたいので明後日から入院して欲しいということです。」と言われカレンダーを見ると金曜日からの入院のようである。「金曜日に入院して土日で治療ですか?」と聞くと「いや、治療に必要なのは2泊で月曜日から治療始めたいようですが、金曜日に部屋の空きがあるので 」「はっ?じゃー金曜日入院して土日2日間何もしないで治療始まる月曜日まで待機ということですか?そんな無駄な時間過ごすのは嫌です。月曜日からの入院にしてください。」「わかりました、今度の主治医に相談してるまた連絡します。」
この時点で患者の都合を全く考えず病院の都合だけで無駄な時間を過ごさせようとしていたことに疑問と不満があった。」
しばらくしてまた電話がきた。「月曜日に新しい主治医から病気の診察を受けてもらってから入院日を決めてくれますか?」ということであった。
最悪の出会いがあることを知らずに、月曜日を迎えることになる。知らぬが仏。

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