【D-80】『ルックバック』観た
・ざっくり感想
藤野の声を河合優実さんが演じられていたのだと、エンドロールで知りました。すごすぎる。
だって藤野だったもん。生きてた。
原作があまりに強いので、ストーリーについて触れると『ルックバック』という名の映画の感想として合ってるのか?みたいな気持ちになるなぁと思っちゃいますが、、これは正直もうレイチェルのこの感想に尽きると思います。
原作の作品としての力が強すぎるから仕方ない気がします。映画で観ても漫画で読んでも、素晴らしい作品ということです。
・好きなシーン
やっぱり藤野の雨のシーンが好きです。
「…やーめた」
と言った、あの瞬間が一番人間らしくてキュンとしました。
孤独とは必ずしも創作活動の味方ではないです(やってもやっても結果が出ないことだってあるから)。
ただ、社会性を前提とした"充実"は、創作活動の敵だと思います。(またその逆でもある。「こんなの描いても何の役にも立たないのに」という言葉のように。)
藤野が4コマを描くのをやめた時期の家族団らんの風景、あの幸せの後ろめたさ。
だからこそ、「藤野先生は漫画の天才です」と言った京本に、ありがとうなんて言えないでスカしちゃう。
「またね」と背中を向けて雨の中を走り出す。
気づいたらスキップもしちゃってる。
あの藤野が本当にまっすぐで可愛くて、めちゃくちゃ大好きです。
たくさんの「いいね!」よりも、大好きな人の心がひとつあれば、それでいいのだと思います。
・どうしても憧れざるを得ない
題材として"女の子の初期衝動"を語るのって犬とか動物系の感動モノみたいなズルさあるよなぁとも思っちゃいますが、でもやっぱり清い心は美しいです
人生で何かに打ち込んでいた瞬間を、観客一人ひとりが鮮明に思い出したと思います。(あるいは、無いことを悔んだか。)
『ルックバック』には何かをつくりたい、自分の手で生み出したいと思ってペンやギターや筆を取ったことのある人間なら誰しもが通ってきた挫折とか絶望がありました。
でも、その大勢が歩んできた現実よりももう少し理想寄りの未来を描いたから、この作品は愛され、嫉妬されるんだろうと思います。
・さすがにエモくなってしまう
人生で何をやるにしてもうっすら誰かに負けてる気がする。才能なんかなくて、でも才能ないって言い訳して努力してない自分も本当は知ってるから恥ずかしくて言えない。
でも、達観したフリして諦めて閉ざして関係ない顔して生きてくのって誰かに負けてるより恥ずかしくないですか悔しくないですかって思う。それできのうよりちょっと頑張ったり、頑張らなかったりする。
もう一つの世界線で「また漫画描いてるよ」ってピースする藤野のように生きてくことは、名を馳せるとか金を稼ぐとかよりもずっと尊くて幸せなんだと思います。
いつか背中振り返ったときに斧刺さってなくても、自分の歩いてきた道を美しかったと思えるように生きたい。