見出し画像

"適切な給餌間隔" の考え方

"ヘビの餌はどれくらいの間隔で与えればよいか?"
これは飼育したての管理者だけでなく、長くヘビを飼育している人からもしばしば尋ねられる質問の1つです。
そして、これは非常に回答に困る質問でもあります。

ヘビの "適切な給餌間隔" はさまざまな要素により決定されるもので、一口に "○○ 日に1回与えてください" とは言えないからです。

"さまざまな要素" は文字通りさまざまで、ヘビの種類はもちろん、部屋の温湿度の状態、季節、どんな餌を与えているか、ケージの大きさはどうか、直近1カ月でどれくらいの量の餌を与えたか、などによって、次に与える日までの間隔が決まります。

また、さらに言えば "じゃあ明日餌をあげましょう" となっても、次の日の気温が非常に低い、あるいはほとんど陽がささないというような場合には、もう数日待ちましょうということになるケースもあります。

 当たり前と言えば全くその通りなのですが、自然下でも判で押したように決まった間隔で餌動物が現れるわけではありません。その中で空腹になった際に、追跡型のヘビでは餌を探し求めますし、待ち伏せ型のヘビであれば "捕獲の待機所" に移動して餌がやってくるのを待ちます。

こうしたヘビの生態を考えると、飼育下で決まった給餌間隔を守り続けることにあまり意味はないと考えられます。
むしろそうした "人間本意" の給餌スパンを無理に押し通すことによって、ヘビの消化器系へのダメージやストレス負荷の増大へとつながるリスクさえあるでしょう。

それでもどうしてもある程度の "目安としての給餌間隔" を教えてほしい、という方のために、一応お伝えしているものとしては以下の通りです。

雑食性のナミヘビ:餌動物の嗜好性が幅広く、いろいろな餌を食べる種

▶︎アオダイショウ、シマヘビ、マダラヘビの仲間、ガーターヘビ、コーンスネークなど
◆外気温が摂氏20℃を超える時期:10日〜2週間に1度。
◆外気温が摂氏20℃を下回る時期:3週間〜1カ月に1度。

*1度に与える量は少し残すくらい。ネズミ類を与える場合には、1匹のネズミに対しアタックから嚥下までにかかる所要時間が "最大2分" のサイズとする。

餌の嗜好が偏ったナミヘビ:外温性動物(ヤモリをはじめとした小型の爬虫類など)を餌として与える種

▶︎ヤモリ、カナヘビ、スキンク(鱗が艶やかなトカゲ)などに餌の嗜好が偏ったヘビ
◆外気温が摂氏20℃を超える時期:3日〜1週間に1度。
◆外気温が摂氏20℃を下回る時期:ほぼやらないか、ケージ内で餌を探している様子が見られる場合にその都度与える。

*1度に与える量はそれぞれの餌動物1〜2匹。

ニシキヘビやボアなど

◆外気温が摂氏20℃を超える時期:1カ月に1度。
◆外気温が摂氏20℃を下回る時期:ほぼやらないか、ケージ内で餌を探している様子が見られる場合にその都度与える。
▶︎身体のサイズが比較的大きくなるヘビ。餌はハト、キジ、ウサギなど。
*1度に与える量はいずれも、それぞれのマル1匹か解体したものをバット、トレーなどに乗せて置き餌とする。

先に記したようにこれらはあくまでも "目安" としての数字ですので、ヘビの体調、向こう1週間以内の気候などを確認した上で餌を与えるかどうか、与えるのならどれくらいの量・サイズのものを与えるのかということを決定します。

なお、給餌間隔を含めた個別のご質問はX(旧twitter)でもお答えしています。お困りのことがありましたら、どうぞお気兼ねなくお尋ねください。

飼育されている動物の健康、長寿をお祈りしております。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?