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給餌(餌やり)の基本的な注意事項

ヘビが餌を食べる様子は、非常に興味深いものです。
左右2つに分かれた下顎を使い、器用に口の奥へと餌を送り込む様子。それは頭では理解しているつもりでも慣れないうちは何が起きているのか、それぞれの組織がどのように運動しているのかを把握するのに時間がかかるかも知れません。

ある意味では非常に "退屈な" ヘビの飼育管理の中でも、給餌(餌やり)が非常にエキサイティングな作業であることの背景には、こうしたヘビ特有の生態を観察することにあるのでしょう。

しかし、特にヘビを飼育ケージに納入してからしばらく(ヘビの種や個体の気性にもよりますが概ね最低でも2〜3ヶ月程度)は、ヘビが餌を食べる様子を観察するのは控えた方がよいでしょう。

"餌を食べる" という行動は、ヘビにとって大きな危険を伴うものです。餌を飲み込んでいる最中は非常に無防備な姿勢になっており、捕食動物などと遭遇した場合、場合によっては命を落とすことにもつながります。

彼らはおそらくこうしたリスクについて本能的に理解をしているのでしょう。人のように大きな動物が見ている前では、餌を食べない個体が少なくありません。したがって、彼らとの "信頼関係" をできるだけ早く築くためには、しばらくの間、餌を食べている様子を我慢することが重要になります。

それでは飼育期間中は未来永劫、永遠にヘビが餌を食べる様子を見ることはできないのか。というと、もちろんそんなことはありません。
彼らが人間に対して抱いている過剰な警戒心を解いてあげれば、空腹になると向こうから "餌をちょうだい" とばかりに地中やシェルターから這い出てくることがほとんどです。

もちろん、摂餌の間もこちらを気にすることはなく、一心不乱に餌と "格闘(生きている餌動物との格闘、という意味ではありません。餌を頑張って飲み込んでいるという意味です)"  している姿を見せてくれます。こうしたヘビとの信頼関係を築くためにこそ、少しの間、ヘビの摂餌の際の観察を控える必要があります。

まずは、"ヘビが餌を食べる" ということのリスクについてご紹介しました。
次の項では、ではどれくらいの間隔でヘビに餌を与えるとよいのか、という点についてご紹介しましょう。

それにあたりあらかじめ申し上げておきますと、ヘビは驚くほど餌を食べなくても健康を害することはありません。考えてみれば一部の餌の嗜好が偏ったヘビなどでは特に、自然下で餌動物と遭遇する機会はとても少ないと推察されます。
それを考えれば餌の量はとても少なく、給餌間隔はとても長くとることには、ある種の合理性がある、とも言えるかも知れません。

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