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床材に使う "土の育て方"

ヘビの飼育において、最も適した床材は土であるということは先にご紹介しました。適切な環境に整えた土を使用すれば、飼育している部屋の匂いを完全に消すこともできますし、排泄物や餌の食べ残しなどの有機物を微細生物が分解してくれますので、清掃の手間もかなり省くことができます。

土のブレンド素材については前回の項でご紹介しましたので、ここでは土のメンテナンス、そして "健全な地中環境" を作り出すための "土の育て方" についてご紹介することにしましょう。

土の "再生" のための処理方法

時間の経過とともに、地中環境は "変質" します。自然下とは異なり、ケージの中の地中ではどうしても水や空気の動きが少なくなりますので、微細生物の循環がうまく行かなくなる時期がやってきます。
そのような時には、一部の土を取り出して新しい土(新しく購入した土、という意味ではありません。この後にご紹介する処理を施せば、土はほぼ "半永久的に" 使用することができます)と入れ替える必要があります。

この時、一度に全ての土を入れ替えてしまうと、地中環境が劇的に変化してしまいます。そのことでそれまでに育ててきた健全な環境が一度リセットされてしまいますので、ほとんど1からの立ち上げということになります。
これは非常に無駄が多いと同時に、より直接的には土の入れ替えの際に起こる震動などがヘビのストレスとなることが懸念されます。

こうしたことを鑑み、1度の土の入れ替えでは最大でも全体量の1/3程度までにとどめた方が良いでしょう。その際、極力ヘビをケージからは出さず、残り2/3のエリアにヘビが隠れている状態で作業を行います。
不必要なハンドリングはしない。それによって永続的なヘビとの信頼関係を構築することができる、ということは常に頭に入れておくことが重要です。

さて、取り出した土は捨ててはいけません。
まずは湿気がどれくらいあるのかを指、手で確認します。その上で、もしかなり湿っているようであればそのまま。逆にカサカサに乾いた状態である場合にはジョウロなどを使い表面が少し濡れるくらいに湿らせます。
そしてプラスチックケースなどにその古い土を入れ、屋外の風が通り抜ける場所、なおかつ屋根がある場所(雨が吹き込んで土が濡れないため)、そして一定の外光が挿す場所に設置します。

この状態でおよそ1カ月保てば、土は再び使用できるようになります。
なお、この1カ月のうち、1週間に1回程度は土を撹拌して湿気や空気の偏りを防ぐようにします。また、攪拌した際、土が渇きすぎていると感じられる場合には、ジョウロで水を少し加えてあげると良いでしょう。それにより、地中に植え付けられた微細生物が完全に死滅してしまうことを防ぐ効果が期待できます。


地中を健全化してくれるさまざまな微細生物

ヘビの床材としての土に使用できる素材は、先の項("床材の考え方")でご紹介しました。それらの用土をそのまま使用することもできますが、より地中を健全に保つために様々な微細生物を投入することは有効です。
公園などから拾ってきた枯葉にも多くの有効な微細生物が付着していることは少なくありませんが、それらの生物を確実に土に植え付けるためにはオンラインなどで販売されているものを購入、投入するという方法も良いでしょう。

地中環境を健全化してくれる生物の代表的なものは "ワラジムシ" や "ダンゴムシ" です。この小さな生物はヘビの排泄物や食べ残しなどの有機物を食べてくれることから、ケージ内を自然な清潔状態に保つのに役立ちます。

またカビなどの菌類を食べてくれるトビムシもケージ内で繁殖してくれると良い生物です。ヘビのシェルターとなる枯葉をケージ内に何層も重ねて敷いておくと劇的に増えてゆきますので、最初の "種" となるトビムシを購入してケージ内に投入しておけば、自然な循環が出来上がるまでに時間はかかりません。

そのほか、ミミズも地中環境を良くしてくれる代表的な土壌動物です。彼らは地中にトンネルを掘って移動しますので、自然に土が攪拌され、空気や水が偏る・籠るというようなことがありません。またワラジムシと同じく有機物を餌としますので、地中の清潔化にも役立ちます。

最低限これら3種を床材に投入しておけば、1度目の土の入れ替えまでには地中環境がかなり健全な状態へと "育って" いることでしょう。
先の通り、土は繰り返し使える、なおかつ半永久的に使えるということを考えると、これ以上コスパの良い床材はないとも言えるかもしれません。また、一度健全な土壌環境を確立してしまえば、あとは清掃の手間などを省くことができますので、飼育が楽になるだけでなく、清掃時にかかるヘビのストレスも大幅に減らすことができ、結果的に寿命の延命にもつながります。

ここまで、駆け足で床材としての土の管理についてご紹介して参りました。ヘビの生活空間の "土台" となる床材。その管理はまた、ヘビの飼育管理の土台ともなるものです。よろしければ参考にしてみていただけましたら幸いです。

ご紹介してきたように、深く土を敷くことでケージ内にヘビの隠れ場所 "シェルター" はほぼ必要ないと言えるでしょう。ただし、ヘビが居場所を選べるという意味ではケージ内にいくつかの隠れ場所を用意してあげることも有効な場合があります。
次の項目ではヘビの "シェルター" として使える素材について、ご紹介したいと思います。


 

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