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ヘビの飼い方⑦ミルクヘビ, キングヘビ

"ナミヘビの姿をしたニシキヘビ。
そんな表現が似合うのがミルクヘビとキングヘビのグループ(Lampropeltis)です。

彼らにこうしたキャッチコピーを与えたくなる理由は、ナミヘビの中でもトップクラスを誇る "パワー" 、そして "消化器官のタフさ" を兼ねているためです。
自然下の餌の嗜好はほとんど "有鱗目"、すなわちヘビとトカゲに寄っているとされ、自分と同じくらいのサイズのヘビであれば難なく捕らえて食べてしまうことも少なくないようです。

飼育下でもヘビやトカゲを餌として与え育てることもできますが、入手性を考えるとこれは現実的とは言えないでしょう。自らナミヘビを餌用に育てて与える、という方法もありますが、"需要" と "供給" が追いつかなくなるケースがほとんどです。
したがって餌には身体のサイズと比較してやや小さめのネズミ類、あるいは鳥類を与えて育てるというのがよいでしょう。

食欲の旺盛さは他に類を見ないほどですが、いくら消化器官がタフだと言ってもあまり給餌間隔を短くして多くの餌を短期間に与えたりすれば寿命は相応に短くなります。

彼らは比較的絶食に強い方ですので、生後2-3年以降の成蛇の場合には給餌間隔は1カ月に一度、バイトから嚥下までの時間が2分以内のサイズのネズミ類を4-5匹程度与えるという給餌管理が理想的です。
餌はネズミ類の他に鶏のヒナや、人の食用のハトなども与えられますが、これらは解体してバラバラにしたものを与えるか、丸のままの場合には給餌間隔をさらに1-2週間空けて与えた方が消化器官への負担は少なくなります。

運動量は比較的多いヘビですので、ケージサイズは大きめ、すなわち横方向が頭胴長の1.5〜2倍以上、奥行きと高さは頭胴長と同じ以上が理想的です。縦方向の動きも比較的好みますので、ケージ内には立体物を設置してあげると良いでしょう(https://note.com/calliophis/n/ndac8771dda9a)。

また、地中に潜って過ごすことを好むのは他のナミヘビと同様で、床材は用土もしくはウッドシェイブ、あるいはチモシーが適しています(https://note.com/calliophis/n/n906bb3c64d5a)。

交尾は例年夏前の6月頃に行われ、1カ月ほどで産卵に至ります。孵化までの期間はおよそ2カ月、夏の終わりに仔ヘビが産まれてくることが多いようです。
孵化幼体は、親、子とも正常な場合には20㎝程度のサイズが一般的です。
性成熟までには3-4年かかりますが、繁殖も難しくなく、初めてヘビを繁殖させたいという場合にもおすすめできる種だと思います。
*なおキングスネーク、ミルクスネークとも遺伝的に同属に分類され(Lampropeltis)、両種のハイブリッドなども産み出されています。



亜種によって様々な体色をもち、中にはおもちゃのように楽しい色をしたヘビもいます。餌の嗜好にも大きな偏りはなく、拒食などもほぼ考えられません
コーンスネークやボールニシキヘビなどが推奨されることが多いですが、 "初めて飼うヘビ" にも、ミルクスネークやキングスネークは個人的にぜひおすすめしたい種です。

最後に注意点もご紹介しておきましょう。
ミルクスネーク、キングスネークは性格の臆病な個体が多く、動きも俊敏ですので、ハンドリングなどはできるだけせずに飼育するヘビです。

また、他のヘビのケージのそばに "ほとんど隙間なく" ケージを設置した場合に、そのヘビが怖がったりストレスになるケースもありますので、広いケージで、かつ他のヘビのケージとは離して管理することを心がけてください。


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