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部屋とケージの温湿度操作②冷却

先にもご紹介したように、ヘビは原産地、種を問わず低温と比較して圧倒的に高温に弱い傾向があります。
したがって気温の上がる夏場の温度管理は、冬のそれと比べて特に神経を使う必要があります。

冷却においても、基本の温度操作はエアコンの稼働に頼ることになります。しかし、基本的に密閉状態としているヘビの飼育部屋では空気がこもりがちで、想像以上に温度が上がり、エアコンだけでは冷却が追い付かないこともあります。

また、停電や故障などでエアコンが急に使えなくなったとなれば、飼育個体は高い確率で死を迎えることになるでしょう(飼育管理者の居住地域にもよりますが、ヘビは寒さには比較的強いため、室内であれば短時間で命を落とすようなことは稀です)。

そこで、ここでは電気を使わずに室内を冷却する方法をいくつかご紹介します。
太陽光が室内に入らない夜間はともかく、近年の猛暑を考えるとエアコンに加えてこれらの冷却方法をプラスすることは、ヘビの健康保持のために有効であると考えられます。

1.トロ船やタライに氷水を張る

トロ船やタライに、氷水を入れて設置するという方法です。
ポイントの1つめは氷をできるだけビッシリとそれぞれ(トロ船やタライ)の中に入れることで、すき間があればあるほど氷が溶けやすくなり、冷却効果の持続性が失われます。

氷は市販のロックアイスなどを使用しても良いですが、深さ4-5㎝のタッパーに水を入れて凍らせ、使用時に蓋を外して "氷の塊" とするとより冷却効果が高いようです。
トロ船やタライのサイズに合わせてそれなりの数のタッパーを用意する必要がありますが、100円ショップなどで複数のセットを安く購入できるので、コストが高くつくというわけではありません。

トロ船やタライのサイズにもよりますが、朝セットして夕方までの間でもちろん氷は解けるものの、一番熱い時間帯にヘビが致命的なダメージを受けることはない程度に効果を発揮してくれます。
また、トロ船やタライのそばにサーキュレーターを設置して冷たい空気を部屋全体に送り込むとさらに効果的です。

タッパーを利用した氷塊であれば何度でも繰り返し使用できるため、コスト面でのメリットも大きい冷却方法と言えるでしょう。

2.濡れタオルでケージを覆う

気化熱を利用した冷却方法で、効果の即効性、持続性ともに高いですが室内およびケージ内の湿度が急上昇するというデメリットがあります。

停電時やエアコンの故障時には有効なですので、緊急時の手段として知っておくとよい方法と言えるでしょう。

具体的な方法はケージの天面、あるいは側面(落下しないようにロープ等で濡れたタオルを縛り付ける)に濡れたタオルを設置するというものです。
なお、エアコンやサーキュレーターと併用すると短時間で乾燥し、冷却効果が失われますので注意が必要です。

3.保冷剤(畜冷剤)

大きさによって冷却効果の持続時間が異なりますが、長辺が20㎝程度、厚みが3-4㎝の一般的な製品であれば概ね5時間程度は効果が期待できます。

購入したそのままの状態で使用しても良いですが、エアパッキンやアルミホイルなどでくるんで使用するとより安定した冷却効果、および冷却時間の延長が期待できます。

具体的な利用方法としてはケージの上に乗せる、壁面にテープやロープなどを使って設置する、などです。

このアイテムも電気を使わないため、停電などの緊急時の対策として有効です。使い捨てではなく、繰り返し使える製品も多いので、日常的に使用するだけでなく、"いざ" という時のためにあらかじめ多めに購入してストックしておくのもよいでしょう。

4.充電式冷風扇

計画停電など、あらかじめ電気が使えないことがわかっている際、特定のケージを重点的に冷やすのに有効なアイテムが、”充電式冷風扇” です。

風の強さを調整できる製品、あるいは ”ミスト機能(加湿機能)” を搭載した製品であれば冷えすぎる・空気が乾きすぎるなどという心配もありません。
充電式のものでは "卓上サイズ" 、つまり小さなサイズのものが多いですが、横:60㎝程度のケージであれば十分な冷却が期待できます。

またこれは扇風機やサーキュレーターを使用する際にも言えますが、冷風扇の前に氷水を入れた容器を置くことで気化熱で冷えた空気を送ることができ、高い冷却効果が期待できます。

近年夏の高い気温は、人だけでなくヘビにとっても致命的となることが少なくありません。
特に日中、仕事や学校などでエアコンが故障してもすぐに気づかない・すぐに対応ができないなどという場合には、飼育しているヘビが軒並み熱中症を起こし、壊滅状態になるというような危険性もあります。

電化製品に頼り切った冷却は非常時・緊急時に悲惨な結果を招く可能性があることを頭に入れ、普段から複数の冷却手段を採用しておくとよいでしょう。


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