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ヘビの餌:餌動物の飼育3 スキンク類

ニホントカゲPlestiodon japonicusやヒガシニホントカゲPlestiodon finitimus、サキシマスベトカゲScincella boettgeriやツシマスベトカゲScincella vandenburghiなど小型のスキンク類は、特にナミヘビ科のヘビの嗜好性が高い動物です。

特に地中性、地上徘徊生のナミヘビではほとんどどんな種でも食べてくれる個体が多く、ケージへの導入後、しばらく警戒心が解けずに餌を食べない個体の拒食対策の餌としても重宝します。

いずれも冷凍→解凍して与えても食べてくれることが多く、またサイズが大きすぎる場合には解体して与えても問題なく食べることが少なくありません。

これらの動物は飼育も難しくありませんが、繁殖のための個体の入手がポイントになります。
飼育用の個体が流通することもありますが、概ね2000円~3000円程度(スベトカゲの仲間などはさらに高額で販売されています)と決して安くはないことから、温かい時期に捕獲する方がよいでしょう。

さまざまなトラップや、トカゲを "釣る" などの記事も紹介されていますが、これらは確実な方法とは言えず(いずれも毎回、確実に餌として十分な複数を捕らえる、という意味では無理がある)、一番確実な方法は素手による捕獲だと言えるでしょう。

ヤモリ類と比較するとスピードの持続性があること、人を察知すると、近づくはるか手前でも逃げ出す個体が多いなど、最初のうちは捕獲は容易でないかもしれませんが、ポイントをいくつかご紹介しましょう。

スキンク類の "好きな場所" はヤモリと異なる

先にヤモリ類は木製の構造物が好き、と記しましたが、一方でニホントカゲなどのスキンク類はコンクリートや石製の構造物を好みます。

これはおそらく両者の活動時間帯(昼行性:スキンク類, 夜行性:ヤモリ)によるもの、ひいてはそれぞれの素材の熱伝導と関係があるものと思われますが、多くのスキンク類はコンクリート、および石製の壁や堰堤などでバスキングをしていることが多いようです。
なお、近くに水場がある場所を好む、という点においてはスキンク類、ヤモリのいずれで差異はありません。

出没する時間は概ね朝の7:00頃から11:00頃が多く、これより遅い時間では劇的に見かける数が少なくなる傾向があります。
またできるだけ早い時間の方がまだ体温が上がりきっていないことから動きが鈍く、捕獲しやすいようです。

捕獲の際のポイント

まず、捕獲に当たっては必ず素手で行うことが重要になります。手袋等をしている場合、手のひらにトカゲの感覚が伝わらず、身体の一部を抑え込んでいるのに気が付かずに手を放してしまい逃走されることがあります。
素手であればトカゲの一部を感じた際、次のステップとしてもう片方の手でホールドしてしっかりと捕獲することができるでしょう。

話しが前後しますが、スキンク類を見つけたらまず姿勢を低くしてできるだけ彼らの視野から低いところから近づく必要があります。
高い位置から接近すると、気づかれやすく、近づく前に逃走するケースが少なくありません。

次にトカゲのいる場所を確認します。
比較的開けた場所でバスキングをしている場合には、捕獲もしやすいでしょう。ポイントは "手のひら" を使って、”真上から” トカゲの身体を抑え込むようにすることです。
指で捕まえようとすると、コンタクトする範囲が狭くなるので捕まえにくいですが、手のひらであれば、トカゲが動いても(手のひらの)どこかで抑え込める可能性が高まります。

また、トカゲは ”Uターン” はできますが、(ザリガニのように)そのままの体勢で後ろに下がることはできませんので、上半身を狙って手のひらを真下に下ろすとヒットする可能性が高くなります。

彼らはかなり身体が柔らかいので、よほど強く叩きつけたりしなければ身体が押しつぶれたりすることはありませんので、しっかりと抑え込むために比較的強く手のひらを落としても問題ありません。

うまく手のひらの中央で抑え込めることもありますが、なかには少しだけ抑えつけ、上半身が手のひらから飛び出した状態で抑えてしまう場合もあります。
手のひらを落とした時にトカゲがどんな体勢でいるか、を確認し不安定な抑え方をしていたら、すぐに反対の手でしっかりと抑え込み捕獲します。

トカゲはごくわずかなすき間でも動くことができ、素早く逃げ出しますので、完全に捕獲するまでは気を抜いてはいけません。
確実に捕獲ができたら、しっかりと密封できるケースに収納して持ち帰ります。
捕獲の際の収納ケースは、私は小型のポーチを使っています。彼らは有酸素運動をそれほどしないようですので、半日ないし1-2日であれば密閉状態でも十分に耐えられます。
移動時に脱走しないこと、これが捕獲用ケースの一番大事なポイントです。

捕獲しにくい場所にいるときは

開けた場所にいるときは以上のような捕獲方法で問題ありませんが、2-3歩で藪や植え込みに逃げ込めるような、捕獲しにくい場所でバスキングしていることも少なくありません。

こうした場合には、2段階の工程を踏んで捕獲するという方法が有効です。すなわち、トカゲの周囲の土(や草)もろともいったん、広い場所に掻きだします。
この作業もシャベルや熊手などではなく、手を使って行った方が確実です。

土や草とともに広い場所にトカゲを ”放り出したら” 改めて手のひらを使って上から抑え込みます。
広い場所に放り出されても、トカゲはもちろん素早く逃げ出そうとしますので、放り出した土や草の中からトカゲをいち早く見つける必要があります。ここでも確実に捕獲するまで気を抜かないように注意します。
狭い場所で上から抑え込もうとすることは物理的に無理がありますので、時にこの方法が非常に有効な場合があります。

スキンク類の飼育

先に記しましたように、スキンク類は多くのナミヘビ類の嗜好性が高く、栄養価や消化の面でも優れた優秀な餌動物の1つです。
捕獲後は飼育してストックし、餌用に繁殖させることも良いでしょう。

飼育はほとんどヤモリと同様のケージレイアウトや温湿度設定、給餌管理で問題ありませんが(ヘビの餌:⑨餌動物の飼育2 ヤモリ類|cobra_thief (note.com))、暑さにはより弱い傾向があるようですので、特に夏場の温度管理には注意を払います。
また、冬場、加温器具による高温で体調を崩すことも少なくありませんので、こちらについても重々注意してください。

ニホントカゲを始めとした小型のスキンク類は非常にかわいらしい動物で、餌として与えることに抵抗もあります。しかしナミヘビ類の餌としての総合的な優秀さを考えると、ぜひ取り入れたい餌動物の1つです。

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