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ヘビの疾病・健康管理③ダニの寄生

ボアやニシキヘビの仲間を中心に、ナミヘビでも一部の種においてダニが寄生したという事例を数多く見てきました。

しかし、私のうちではこれまでにダニが発生したことは一度もありません。また寄生虫によるものだと考えられる疾病の事例もわずかに1件、あっただけです。(この事例はWCの個体で購入前にヘビの体内にいた寄生生物がヘビに被害をもたらしたものと思われます)

ヘビに悪影響のあるダニは、特に住宅街などではそこかしこにいるというものではありません。
例えばヘビに寄生するダニの代表種のタカサゴキララマダニAmblyomma testudinariumなどは、雑木林などに棲息していますので自然下で捕獲した個体ならともかく、窓から飛び込んでくるなどということはまず考えられません。

私は最低でも1週間に1度は飼育している部屋の窓を、換気のために概ね10~15分、長い時には30分近く開け放していますが、ダニが侵入したなどということはありません。

では、ダニはどこでヘビにつくのでしょうか。
これまでの事例を見るに、ほとんどケースで、

1.WCの個体でもともとついていた(それがケージ内で繁殖して増えた)
2.ヘビを購入した店にいるダニが着いてきた

このどちらかです。”ほとんど” と書きましたが、これ以外の原因だと思われるケースは私の知る限りでは0%です。

1については、購入後まもなく駆虫を行うことが必要ですが、ダニが増えてしまってからにしろ増える前にしろ、どちらの場合でも最も重要なことは ”絶対に自分で駆虫や予防措置を行わない” ということです。

ヘビのダニ対策としてさまざまな市販薬が販売されていますが、いずれもヘビへの悪影響が全くないものはありません。
また、その ”悪影響” の度合いは実際に使用してみなければわからず、1度の使用で死に至る、あるいは重篤な疾患を発症する例も数多く見てまいりました。

しばしば言われるのは "アルコールを含む薬剤の使用はヘビへの深刻なダメージになる" というものですが、アルコール不使用であっても、様々な疾患の元となったと考えられる事例は少なくありません。

ダニが着いた際に "自分でなんとかしよう" とする心理について、私はわかりかねますが、どんな理由であれ、ヘビの健康を第一に考えるのであれば自分でなんとかすることは絶対にせず、専門家たる ”信頼できる獣医” に診てもらうようにしてください。

もちろん、中には ”ただ獣医師の免許を持っているだけ” という医師もいるでしょう。そういう人に見せたことで最悪の事態にならないようにするために、問題が起こる前から、自らが ”この人なら絶対に信頼できる” という獣医師を見つけ、つながりを作っておくことが何よりも大切です。

駆虫が済んだヘビはもちろん、完全に洗浄したケージに収納することが何よりも大切です。
ダニは基本的に太陽光に非常に弱いので、洗浄したケージは(雨がかからない屋根のある場所で)太陽光の当たる場所に1-2週間さらします。そのうえでさらに熱いお湯に浸したタオルを絞り(やけど防止のために手袋をして作業に当たります)、内部をくまなく磨けばダニがいたケージも再利用が可能です。

なお、ダニのいるヘビを購入したお店には以降は近づかない方がよいでしょう。店内の清掃管理が行き届いていないお店では、購入後、ダニ以外の健康トラブルが起こる可能性が潜在的にあると考えなければなりません。

近年は少なくなりましたが、それでもいまだに店内が非常に不衛生で、床や壁を虫が這いまわっている、販売されているカメの水が恐ろしい色、恐ろしい匂いを放っているなどという店もあります。

こういうところでは生体を ”購入する"、というよりむしろ "押し付けられる" という感じで、何らかの健康トラブルが高い確率で起こります。

購入後、飼育の立ち上げに苦労しないためにも、やはりヘビの購入先はきちんと選ぶということが何よりも重要です。

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