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飼育管理の作業において意識すべきこと

ヘビは種類、個体を問わずいずれも臆病な性格をしています。たとえ大人しくしている・のんびりしているように見えても、彼らの視界にヒトの姿が入れば内面的には必ず何らかの"ストレス"を感じているであろうと推測されます。


ヘビを始めとした爬虫類にはヒトの ”個体識別” はほとんどできないだろうと思われますし、イヌやネコのように "馴れる" ということはありません。
したがって、愛玩動物であっても純粋な ”愛玩=なでたり触ったり” をして彼らと遊び、楽しむなどということはあきらめるよりほかありません。

彼らが ”ただ疾病を発症することもなく健康に生きていること”  だけを楽しむことができるか。それがヘビや爬虫類愛好者に求められる第一の条件と言えるでしょう。

そのうえで、ヘビを飼育する際に心がけるべきことがあります。それはとにかく ”ゆっくりと動く” ということです。
彼らが怯え、脅威と感じるものの最たるものの一つが ”素早く動くもの” です。飼育管理の中で彼らをよく観察していると、(視力が発達しているとされる樹上性の一部の種であっても)ほとんど眼は見えてないのではないかと思われます。
餌がすぐそばにあっても気づかない、というようなこともしばしばみられることで、舌から得られた匂いの情報によって、餌の位置を判断しているらしいことがわかります。


しかし、そんな彼らの視力もことさら ”素早く動くもの” には敏感に反応する傾向があります。先にヘビは震動に弱いというお話しをしましたが、仮に震動を立てなかったとしても、素早い動きに対してはただちに反応します。
身体を大きく収縮させて呼吸しているようすは ”緊張状態” にあることを明確に感じさせるものです。

こんなことはごくわずかなことだろう、とお考えになるかもしれません。
しかし、そうしたごくわずかなストレス負荷の積み重ねが、彼らとの信頼関係を少しずつ浸食していきます。
その結果 ”ヒトは大きくて怖い動物である” という意識が膨らんでゆき、拒食や気性が荒くなる、常に怯えて掃除を楽にさせてくれないなどということへとつながり、結果的には寿命を縮めることにも影響する可能性があります。

最初はどれくらいが ”ゆっくり” なのか要領をつかめないかもしれません。しかし、とにかくゆっくりと動くことを意識する。それがヘビの飼育作業、飼育管理におけるすべてのことに共通する基本的なことである、と覚えておいていただくとよいと思います。

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