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【コラム】"愛玩" で飼えなくなった特定動物③ケープサンゴヘビ

サンゴヘビ(Coral snake)の一般名が付けられたコブラ科のヘビは世界中にいますが、いわゆるペットスネークとして最もポピュラーな種の1つが ”アフリカ代表” のAspidelapsではないでしょうか。

この種のヘビは遺伝的にはいくつかの亜種に分類されていますが、最もポピュラーかつ美しいのはA. lubricus lubricusで、一般名はCape coal snakeとつけられています。その名の通り、自然下では南アフリカのケープ州周辺に分布しているようです。

この種のヘビの一番の特徴は吻にある鱗で ”Shield nose cobra" の名もあるように、平たく硬く、幅広い(正面から見ると三角形)形状をしています。

この鱗からもわかるように穴を掘ることを大変好み、原産地の非常に暑い気候を乗り切るためにしばしば穴を掘ってその中で日中を過ごしているようです。したがって、飼育下でも活動時間帯は主に夜間に集中しています。

最大でも7-80㎝ほどですが、比較的身体はがっちりとした太目で、オレンジと黒からなる美しいパターンも併せて、鑑賞種として大変優れた素晴らしいヘビだと思います。

コブラ科といってもアフリカのほかのコブラと比べると格段に毒性は弱く、いくつか咬傷事例はあるようですが、幼い子どもを除いては命を落としたという事故はありません。
ただし、臆病な性格で比較的気性は荒い個体が多い印象、怒ると(それほど広くはないですが)フードを広げて威嚇してきます。

餌は先にご紹介したヒャンやハイ(【コラム】"愛玩" で飼えなくなった特定動物①ヒャンとハイ|cobra_thief (note.com))と同じく、スキンク類に嗜好が寄っていますが、海外ではネズミ類に餌の嗜好を誘導している飼育者も少なくないようです(餌の要求量は多くないですが、消化器系のタフさはアフリカのヘビらしいと言えます。私はしたくありませんが、ネズミ類でも難なく飼育は可能だと思います)。

原産地の気候通り、湿度はかなり低めのほうが調子が良さそうで、できるだけ常時30-40%をキープ、降雨時などには50-60%でも許容範囲というところでしょう。

また、アフリカ原産ですが寒さには比較的強い方だと思います。冬場はほぼ地中に潜って過ごしますが、ケージ内の温度が摂氏20℃を切って15-6℃になるような日でも特に問題なく過ごしているようです。

こういうヘビは他のアフリカ原産の種にも結構います(無毒種含む)。彼の地では夜間は非常に冷えますし、過酷な自然環境に適応している分、心身ともにタフな個体が多いのかもしれませんね。

床材はほぼ土一択(床材の考え方|cobra_thief (note.com))、そこにチモシーなどイネ科の植物を厚めに被せてあげるとストレス負荷の軽減に有効なようです。

海外では比較的ポピュラーなペットスネークで、爬虫類の専門店でも販売されているのがしばしば見られます。
美しいし危険も少ないしで、非常に飼いやすくいいヘビという評価なのでしょう。私もそう思います。

残念ながら日本では愛玩目的で新たに飼育許可を取ることはできなくなってしまいました。それが惜しまれる、非常に素晴らしいヘビの1つだと言えるでしょう。


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