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死因を知るための ”剖検(病理解剖)”

どんなに長くヘビの飼育をしているベテランであっても、いや、むしろ長く飼育を続けていればこそ、過去には飼育しているヘビを死なせてしまうという悲しい事態を数多く経験してきたのではないかと思います。

かくいう私も、これまでにさまざまな原因によってヘビを死なせてきた経験をもちます。

とても大切にしているヘビが死んでしまった、となればしばらくは悲しみや絶望に打ちひしがれてもう飼いたくない、という想いを抱いてしまうこともあるでしょう。
もちろん、”もう飼わない” という選択肢もあって然りですし、それもヘビへの愛情を示す方法の1つと言えるでしょう。

しかし別の考えもまた、あってよいのではないかと私は思います。
それは、”なぜ死んでしまったのか” "何がいけなかったのか" を知り、次の飼育に活かすというものです。

"死の経験" を次の飼育に活かすことで、死んでしまったヘビが報われるなどとは私は思いません。
"その個体" は "その個体" であって、たとえ同じ種であろうと別の個体に置き換えることなどはできませんし、死んでしまったものがよみがえるなどということは、未来永劫ありえないことです。

しかし、ことさらヘビの飼育に関して言えば ”本来飼う(飼われる)べきでない動物を飼う" という大きな矛盾をはらんだ趣味です。
その理不尽な趣味を全うするために、より良い飼育を目指す努力をするということは、ごく当然なことではないでしょうか。

”死んでしまって悲しい” 、の先に何を見出すか。
1つだけ絶対にあってはならないと私が考えるのは、死なせてしまったことと正面から向き合わずに、”同じ失敗” をして "同じように死なせてしまう" ことだと思います。

そうした失敗をしないために ”なぜそのヘビが死んでしまったか” について考えることには、大きな意味があるのではないでしょうか。

外傷や症状が目に見える疾病などは、比較的わかりやすい死因だと言えるかもしれません。
その一方で、なかには一見して原因のわからない死、あるいはつい昨日まで元気に餌を食べていたのに、今日になって突然死んでしまった、などということもないわけではありません。

こうした場合に死因を知る方法として ”剖検”、すなわち動物病院で解剖してもらい、原因を突き止めるという方法があります。
もちろんどこの動物病院でも受けてくれるというわけではありませんし、それなりに高額の料金がかかることもあります。
また、信頼できる獣医にしか頼みたくないという気持ちももちろんあるでしょう。
しかし、病理解剖をしてみた結果、飼育環境の問題点が明らかになることもあります。

”ヘビの飼育” という絶対的な正解がない趣味の中で、特に "健康" 、そしてその対極にある "死" にまつわる情報はいくらあっても困ることはありません。ヘビが死んでしまった際、その経験を有効に活かす方法の1つとしての ”剖検”。ご検討してみていただくのもよいかもしません。

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