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ケージへのヘビの納入から "安定期" までにかかる時間

ヘビを購入、あるいは何らかの形で入手してしばらくはヘビのストレスが最も高い時期です。
人であってもそうですが、環境がそれまでとガラッと変わる場合、たとえそれが結果として良い環境であったとしても初めのうちは非常に気を遣い、大きなストレスがかかります。

この間、中には非常に肝の座った個体もいてすぐに餌をモリモリ食べるというヘビがいないわけではないですが、多くのケースで餌をまったく食べず、ケージ内の "落ち着ける場所" を探して徘徊したりしています。
 
どうやらケージ内でできるだけ "落ち着ける" と判断できる場所を見つけた場合でも、しばらくはそこから動かず、餌を食べないということも少なくありません。
その期間は "種による差"、というよりも "個体による差" が大きいように思います。

これも人と同じで、臆病な個体がいる一方で、非常に大胆な個体もいて、ケージ内の環境に慣れるまでの期間は一概に "何日間" などということはできません。

しかし、ケージに納入してから "特に気を遣うべき期間" を敢えて設定するとすれば概ね半年と言ったとことでしょうか。
この "半年" という数字は、さまざまな予期せぬアクシデントが起こりうる可能性が特に高い期間である、と言い換えることもできるでしょう

ケージ内構造物による事故、餌を食べること、あるいは各種疾病など、ストレスによって抵抗力や免疫力が落ちている期間には特に飼育管理者が気を付け、気を遣ってあげる必要があると言えます。

ただし、これまでにも何度も記しているように、基本的にヘビは人に構ってほしいとは一切思っていませんので、あくまでヘビに気を遣わせないような配慮をしつつ、健康状態やその個体の "個性" に注意を払うということが重要です。

具体的には当該の個体がいるケージに近づく際に、できるだけ音や振動を立てない。摂餌の様子はできるだけ覗かない。あるいはすぐそばにヘビを主食としている種のヘビ(ミルクスネーク、キングスネーク他)のケージを置かないなどした上で、1日に2-3回程度、静かにケージ内の様子を伺う(できるだけケージ内が見えにくいようにタオルや手拭いなどでケージの周囲を覆うなどするとよい)といったところです。

非常に臆病なヘビであっても、多くのケースでケージへの納入後にこうした"ヘビにここは危ない・怖い場所ではない、と伝える期間" を設けることで信頼関係を築くことができます。

私のうちで現在も飼育しているミイロシシバナヘビXenodon pulcherの例をご紹介しましょう。

この種は非常に臆病な個体が多く、私のうちのヘビも最初のうちはケージの蓋を開閉するだけで、ガラガラヘビのように尾を震わせて威嚇していました。(この行動はナミヘビ科やユウダ科、コブラ科などでもしばしば見られるものです)

しかし、納入からおよそ半年、彼の警戒心を解きほぐすことに努めたことで、今では空腹時には餌を求めて地中から這い出てきて、私の姿を見つけるとむしろ餌をねだるようにケージの壁面を上へと登ってくるようになりました。
それから現在に至るまで、彼が警戒を示すような行動を見せたことは一度もありません。

ケージへの納入からしばらく、強い警戒を示す行動を見せていたので、おそらく購入前のお店で、かなりストレスの大きな環境で管理されていたのだな、と非常に悲しい気持ちになりましたが、むしろ購入してあげて良かったなと感じています。

このような信頼関係を築ければ掃除なども楽になりますし(ある程度こちらの行動を推察するようで餌でない場合には "ああ掃除だね" という感じでケージの隅に移動してじっとしていることが多いようです)、何よりストレスを減らせることで不健全な環境で飼育するよりも相対的に寿命も伸びるようですので、いいことしかないように感じています。


好きなヘビなればこそ、購入してしばらくはついつい "構いたく" なってしまうかもしれませんが、ヘビのことを思うのであればなおさら、しばらくの間は環境に慣れるための "ストレス低減期間" を設けること。
それがヘビに健全・健康に長生きしてもらうための第一歩だと心得ておいていただくといいように思います。

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