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ヘビの餌:餌動物の飼育2 ヤモリ類

国内産の小さなヤモリ(ニホンヤモリGekko japonicus、ホオグロヤモリHemidactylus frenatus、タワヤモリGekko tawaensis、オキナワヤモリGekko sp.など)であれば、原産地・種を問わずヤモリに嗜好の寄ったヘビならよく食べてくれます。

先にヤモリを食べてくれるヘビは非常に楽だ、と書きましたが(ヘビの餌:③偏食性のナミヘビの餌1|cobra_thief (note.com))、ヤモリそのものも飼育は非常に手間がかからない、大変すばらしい動物だと言えるでしょう。

まず、何よりも捕獲が非常に楽なことが挙げられます。
トカゲやカナヘビらとスピード自体はそれほど変わりませんが、スピードを "持続" することができずすぐに止まる、そして逃走の際の "動き出し" が遅いことが捕獲の容易さにつながっています。

また、いるところには大量にいるため、よほどでなければ餌として捕獲しても、当該の場所の個体が大幅に減ってしまうような心配も少ないと言えます。
もっとも上記の通り飼育は難しくないため、ある程度の数を捕獲したら、そこからは自家繁殖したほうがよいでしょう。

ちなみにヤモリが数多くいる場所のポイントは、”木製の構造物”、"木にすき間がある(割れ目など)”、" 近くに水場がある" などです。

飼育についてはそれほど大きなケースは必要ありませんし、ヘビと比べて脱走の心配も少ない動物だと言えるでしょう。
飼育のポイントは、とにかく彼らは隠蔽性が高く、狭いすき間を好むという点です。

こうした特徴を考慮すると、ケージ内の構成物はヘビに使用している床材としての土を流用、その床材の上に枯れ葉を厚めに被せ、薄いバットやトレーなどに水と枯葉を敷き詰めて設置すれば完成です。

シェルターはあえて必要ないと思いますが、使うとすれば牛乳パックを開封したものなど、薄い板状のものを枯葉の間に挿し挟むといったイメージでしょうか。そうすると日中、その下に隠れて過ごします。

餌は小さな無脊椎動物なら何でもよく食べてくれますが、ミルワームなどの堅いものは比較的嗜好性が低い傾向がある一方、シルクワーム(カイコ)やツムギアリの卵などは好んで食べてくれます。

また鶏肉や鮮魚、貝類などの動物性の餌も幅広く食べてくれますので、のちにヘビに与えることを想定し、栄養バランスを考えたメニューを考えてあげるようにします。
なお、成体の給餌間隔は概ね5日から1週間に1回程度が目安です。

温湿度管理ではとにかく高温、高湿に弱い傾向がありますので、基本の温湿度操作はヘビにならう形で、目安の温度は摂氏25℃前後、湿度は50-60%を基本とします。

卵を見つけた場合には湿った枯葉を上にそっと被せておき、乾いたら新たに濡れた枯葉と交換するとよいでしょう。

卵は概ね1カ月から1カ月半ほどで孵化します。孵化後しばらくは幼体はケースを別とし、餌をしっかりと食べられるように配慮してあげるとよいでしょう。孵化後半年ほどは2-3日に1度の給餌とし、重点的に栄養付加を促します。

ここまで、ヤモリの飼育についてのポイントを駆け足でご紹介して参りました。
ヤモリを食べるヘビは飼いにくい、などといういわれのない情報もありますが、決してそんなことはありません。むしろヤモリを食べるヘビは、餌の要求量も少ない傾向がありますし、すべてのヘビのなかでも最も飼いやすい部類の1つと言えるでしょう。

ヤモリ自体の捕獲、飼育も興味深く、楽しいものですし、ヤモリを食べるヘビの飼育を検討されている方は、ぜひとも挑戦してみてください。
 

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