「魔法の料理〜君から君へ〜」が怖かった人間の話

BUMP OF CHICKENがずっと好きです。
鮮烈的な出会いを果たしてから、今もずっとずっと彼等の音楽を私なりに追っている私です。

そんな私ですが、苦手な唄がある。
それが「魔法の料理〜君から君へ〜」。
嫌いじゃないんです。聴く時は聴く。
でも自分からは聴かないしアルバムの流れで聴いたりする。
というかアルバムに入っていても飛ばしてしまう。
苦手なんです。怖いんです。

「何で?」
そう言われてもこう返すしかない。
「何ででしょうね」

何かきっかけがあった訳じゃない。
この曲に恐ろしさを感じる出来事があった訳じゃない。
苦手になるような、聴けなくなるような事があった訳じゃない。
ただ漠然と、苦手だなと思った。
何かこの唄怖いなとぼんやり思ってた。
だから自分から聴くことなんてほぼしてないと思う。

SONGS、放送されましたね。
仕事の都合で見れないだろうなと思ってたんですが、何やかんや家事が終わらなくて途中から見ました。
ぶっちゃけ放送前の告知の演奏される楽曲を見てマジか…となりました。
前述した通り、「魔法の料理」が苦手だから。
でも、この曲がBUMP OF CHICKENが今届けたい唄ならば。
それは私なりに受け止めてみようと思いじっと聴くことにした。

結果的に。
ほんの少し。本当に少し。
この曲に対する恐怖とか苦手意識は薄れた気がしている。
でもほんの少しです。
自分から聴くことは多分まだ出来ないし、しない。
でも流れてきたらきっと耳を傾ける。
それぐらいの距離感には進めた気がする。

私がぼんやりと思っている事。
多分私は、BUMPと出会った頃よりもずっと大人になってしまった。
ただただ自分の事だけ考えていれば良かった学生の頃とは心境が変わってしまっている。
色んな現実を知ってしまって、自分の立ち位置が定まって。
社会を知って、打ちのめされて。

学生の頃は多分この唄に悪く言えばムカついていた。
「何だよ、私の願いがちゃんと叶うって。そんなの分かる訳ないだろ」
「覚悟なんて言わないで」
反抗期かよ。

大人になってしまった今の私なら分かる。
何をするにも覚悟が必要になってしまった。
学生時代に憧れていた、ただ「好き」という気持ちがあれば出来る事だと思っていた事が。
「覚悟」を代償にしなければ進めない事がある事実を。
私は現実を嫌という程知ってしまったし、どこか冷めたような気持ちで生きている節もある。
だからきっと、この唄に共感を覚えるようになったんだろう。

「きっと大人になれば刺さると思う」
いつかそう言われた事がある。
その通りでした。
本当にそうだった。
もう私は、何も知らずに知らない振りをして生きることなんてできない。
でもだからこそ、ようやく今になって。
この唄との距離を縮める事ができた。
そんな気がするだけだが。

SONGSを見終わったあとも、私は明日の仕事の準備をしていたし。
終わらない家事を片付けて、家族の予定を確認して。
そうやって「日常」を過ごした。

そんな私の日常を、私の背中をそっと押してくれるBUMP OF CHICKENへ。
精一杯のありがとうを。
「続きを進む恐怖」
の中を、「BUMP OF CHICKENは4人だ」という「覚悟」を示す為に、「3人」で歩んでいる彼等へ。
そして今どこかで立ち止まっているあなたへ。
1人のリスナーから心からのありがとうを込めて。

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