見出し画像

コールセンターで働いている人は日本に何人いるのか。

コールセンターの就業人口は?

接客業務に関わる人、なかでもコールセンターで働く人はどのくらいいるのだろうか。少し前の国勢調査までは、職業欄にはコールセンター勤務、というのはなくて「その他サービス業」というものしかなかった。その他大勢だったということだ。

平成27年国勢調査では、「電話応接事務員」という項目ができて、オペレーターの従事人口が一応わかるようになった。内容を見ると、「電話の呼び出し・交換・取次ぎの仕事や電話による苦情,照会への対応,アポイントの取り付けなどの仕事に従事するものをいう。」と書いてある。なんだか夢も希望もない書きようであるが、これはあくまで国勢調査に用いる職業分類なので仕方がないかもしれない。

国勢調査について続ければ、自分はオペレーターだという認識はないけれど、電話やチャットやWEBサービスなど非対面のチャネルをメインにしている人は、どうなるのだろう。「営業・販売事務従事者」というのがあり、「営業職業従事者」というのもある。コールセンター勤務というのが何となくかっこ悪いと思っている人もいるだろうから、正確な把握は難しいかもしれない。

海外のコールセンター就業者

他国の産業統計を調べてみてみよう。英国では80万人くらいがコールセンター関係の業務にかかわっているようだ。また米国では220万人くらい。米国ではこの25年くらいの間に320万人から100万人くらい減少した。これは、オフショア(海外へのアウトソーシング)によるものが大きい。飛行機チケットに関する窓口やシステムサポート窓口などが当初多かったようだが、人件費の安い英語圏の国に電話を転送し、そこでコールセンターを運営しようというものだ。かつてはインドが多かったであったが、自国の経済発展でコスト的なメリットが少なくなり、今ではフィリピンが最も多い。英語の発音のきれいさや南国ならではのホスピタリティもあり、マニラ地域やセブ島などで大規模なコールセンターが運営されている。 フィリピンの重要な外貨獲得のできる産業でもある。

日本のコールセンター就業者

人口動態や経済力から考えても日本でも100万人以上がコールセンター関連の業務に従事しているとみられる。看護師が100万人、介護関係が同じく100万人ほどなので一大産業だ。小中高の教師が50万人、警察消防従事者が60万人くらいか。毎日刑事もののドラマをやっていない日はないし、医者のドラマも大人気だ。それに比べると、コールセンターを舞台にしたドラマは、2009年に放送された、小泉孝太郎が主演の「コールセンターの恋人」というものしか記憶にない。しかも小泉さんが、本社の商品企画部から“左遷”されて千葉の田舎のコールセンターに配属されるという設定のドラマだった。クレーマーとのやり取りなど、まじめに面白く作られたドラマだったが、もっとコールセンターのマネジメントを含めた実態を含めたドラマがあっていい。

コールセンターという言葉のイメージ

コールセンターという呼称の知名度はこの20年でかなり高くなったのではないか。2007年に東国原英夫氏が宮崎県知事に就任したとき、「宮崎をどげんかせんといかん」といいう言葉が有名になったが、就任直後の囲み取材で「コールセンターの誘致などにより雇用をつくりだす」という主旨の発言をしていたのを記憶している。

テレビのCMにもコールセンターやよく登場する。保険会社や銀行などのCMで「お客様サポートはおまかせください!」的なかんじで、電話がならびオペレーターが整然とヘッドセットを着けて対応している風景が映し出される。気になるのは金融機関のCMだとコールセンターのオペレーターが若い女性メインでしかも制服を着ていて、しかもオフィスも整然としている。あれは、CM用のセットだ。なかには整然としたオフィスのところもあるにはあるが、だいたいオペレーターが制服をきていることなんてまずない。

このように、多くの人が働き、職業や職場としての認知度も向上しつつあり、CMにも登場するような職場でありながら、なかなか尊敬されない職場であることも確かだ。

お客様のいない会社や組織はない

だから、コールセンターの役割は重要なはずだ。なのに、いい対応ができて当たり前、うまく対応ができないと社内で怒られるだけでなく、最近ではSNSなどで拡散されて炎上し社会問題にもなりかねないリスクもある。そして、そんな大変が業務を担っているのに、そして売り上げにも直接的に影響がある重要な業務であるのに、オペレーターの給料は高いとは言えない。

こんな職場で働く意味があるのだろうか 

僕は、あえて「ある」と言いたい。もちろん安い給料で、心と体を壊してまで働く必要なんかない。もっと給料ももらってしかるべきだ。給料の問題じゃなく、お客様との対応が好き、お客様に喜んでもらえるのも好き、という人もいるだろう。そういう人にとってはいい職場だし、ここをステップにして飛び出していくこともありだ。

オペレーターになること自体は、そんなにハードルが高いわけではない。しかし、すべての企業に存在する顧客接点のありかたや視点を身に着けることができれば、大きな可能性がある。「おもてなし」とかわけのわからない幻想ではなくて、自分の視点で顧客との信頼を獲得し、自分の好きな業務や事業に取り組んでいってほしいと考えている。

まとめ

・顧客のいない企業はない。

・コールセンターやチャット、非対面の顧客チャネルは一大産業だ。

・ここを起点にキャリアをはじめたっていい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?