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「しらんがな」というよりは「そうなって当然」:推しの次の舞台に思うこと

まず推しの次の舞台について、私はすごく期待しています。

推しの今年上半期のスケジュールが発表されて、「この作品だけは絶対に現地で観たい」と思って繁忙期に無理やり年休を入れ2公演観ることにして、成功が概ね約束されているその次の出演舞台の現地参戦を見送るくらいには期待しています。

ただ舞台に対して大きく期待はしているのですが、モヤっとした気持ちも抱いています。

というのも、初演まで一ヶ月を切った現段階で舞台の公式サイト、作・演出の方、そして多くのキャストの情報発信が客席を向いておらず、「この舞台を観たい」と観客である私に思わせてくれる情報がいまだにあまり流れてこないのです。


まず気になるのが公式サイトに書いてある200文字弱の散文。
この散文から舞台本編の内容について推測できることは

  • 開校50周年で廃校になる高校が物語の舞台

  • その高校の卒業生に加え、高校に通っていた既にこの世にいない人たちも登場する

  • おそらく「接続」がキーワード(次点は「出会いと別れ」)

くらいです。
私は結構好みなんですけど、正直普通の人はこの文を読んだだけでは「この舞台を観たい!」とはならないとは思うんですよね。

この散文は抽象的で、舞台の内容についての情報が不足しています。そして「どのような観客層に向けて、どのような感情や体験を提供することを意図しているのか」が不明瞭です。
この文は読んでいる人、つまり観客になるかもしれない人に対してあまり門戸を開いた文章ではないと思います。
なんでもかんでも明らかにするのは品がないですが、もうちょっと「この作品は観たい」と読者に思わせる文章にはならなかったのでしょうか?

「初演の舞台を観る」というのは事前情報ほぼなしで映画の数倍のチケット代(と交通費)を払い、2時間程度は劇場の椅子に座り続けなければならないという、かなりハードルが高い文化です。
「その『ハードル』を越えさせるようななにかがこの散文から伝わってくるか?」と言われたら私は首を傾げざるを得ないと思います。

次に、私がこの散文以上にこの作品に惹かれたのは「フルキャストオーディションで数百人から選ばれた24名が演じる」というところと「24人が2チームに分かれて、ダブルキャストで演じる」というところでした。

で、現時点で公式X(旧:Twitter)では役名と24名の配役が公開されているのですが、公式サイトにはチーム分けしか明示されていません。
補足すると、一応各チームのキャストの並びが同じ役を演じるキャストになるようにはなっているのですが、演じる役名は書かれていません。

ほぼ毎日のように公式Xから「稽古場通信」という動画が投稿されています。稽古場の雰囲気がちょっと独特ですが良さそうなのは伝わってきます。
ただ、やはり舞台本編についてはほぼ内容がわかりません。

そして、作・演出の方がXやnoteでこの舞台にかける強い思いを書いていらっしゃいます。確かにその思いはわかります。昨今のキャスティング事情については私も思うところがありますし、「ものづくり」についての姿勢は素晴らしいと思います。

ただ、チケットの売れ行きが良くないのについては、冷たい言い方になりますが、私は「しらんがな」というよりは「そうなって当然」と思っています。

流石にどんな作品になるか殆どわからない現段階でチケットを取るのは作・演出の方か24名のキャストの熱心なファン位しかいないと思うのです。

「どうにかこうにか観に来てもらえないか」と思うのならば、「貴重で大事な時間」を共有する客側の視点にも立ってもっと作品そのものを観たいと思わせてくれる情報を発信して欲しいです。

追記:観に行った感想