記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

時速246億「さよう、ならば、また、」感想(2024/04/19 19:00 teamならば、04/20 13:00 teamならば)

時速246億「さよう、ならば、また、」@シアターグリーン BIG TREE THEATER
上演時間は約2時間+アフタートーク、休憩なし

フルキャストオーディションで選ばれた24名のキャストが「teamさよう」と「teamならば」の12名2チームに分かれて、全役ダブルキャストで同じ劇を演じるという斬新な構成でした。
私は推しの成松さんが出る「teamならば」を2公演観劇しました。

2024年上半期に推しの成松さんが出演予定だった舞台4本(スケステ太極伝奇、オバスマ2024、今作、第五舞台Ep4)の中で、個人的に一番楽しみにしていた舞台です。

推しが一番輝きそうなのは5〜6月のIdentity V STAGE Episode 4『Phantom of The Monochrome』(第五舞台Ep4)のリッパー役だと思っていましたが、第五舞台シリーズには色々不満があるため、その現地観劇を蹴って無茶なスケジュールを組んで今作を2公演観劇しました。


舞台の概要と感想

劇の舞台は、翌年度末で廃校が決まっている高校。
劇の冒頭、いきなり主人公的存在の高校生の女の子が屋上から飛び降りをしようとして、他の地縛霊たちが止めよう(?)とするシーンからスタート。
結局女の子は飛び降りてしまいます。

そんなスタートから、なぜか明るさ・ポジティブさを感じる地縛霊たちの生活が描かれていきます。

特に「演劇部」と「天文部」のメンバー同士のやり取りが非常に良く、正直そちらをメインで観たいと思うほどでした。

成松さんの演技について

成松さんはその高校を建築する際に足を滑らせて死んでしまった、最初の地縛霊の「カントク」役。すぐ思ったことを口にしていそうな昭和の職人のキャラクターなのですが、べらんめえ口調が意外と合っていた点が素晴らしかったです。

特に印象に残ったのは、主人公のボブに対して、自分の妻について「死んだ自分のことなんて忘れてしまえばいいのに」とあくまで軽いトーンで話したシーンです。

また、長渕剛の「グッバイ青春」を歌った後に革ジャンを脱ぐ仕草が非常にセクシーでよかったです。

不満点としては、脚本・演出の川本さんが設定した「実は気を遣うカッコいい男」という「裏設定」が私にはそこまで伝わらなかったことです。成松さんのキャラクターが持つ深みをもっと感じたかったという点で、そこはやや残念でした。

演出と舞台美術

最後に「さよう、ならば、また、」とロゴが印刷された大きな幕が降り、この作品が「舞台作品」であること、そして観客の我々の世界も「舞台作品」かもしれないと思わせる演出には感銘を受けました。

舞台美術も印象的で、学校の屋上を思わせるセットには動く柵と椅子しかありませんでしたが、そのシンプルさが非常に分かりやすく効果的でした。

音楽に関しても、BGMはほぼなく、キャストの歌だけが使用されていたため、歌のインパクトが一層強まりました。

気になったところ

「最高傑作」?

観劇前の期待と比較すると、上げられていた期待は超えていて私は好きだったものの、主宰の川本さんが言うほどの「最高傑作」かどうかについては少し疑問が残りました。

現実味がないショコラ

「演劇部」の脚本家のショコラちゃん。演じる奥村さんがとても可愛くて、結構好きな登場人物でしたが、12人の中で1人だけ「こんな人実際にいるか?」と思って見ていました。

私の中ではブリさんやジョーくんは十分ビリーヴァブルなんですが、ショコラだけが現実感がない「フィクションの登場人物」っぽい気がしました

表情も仕草も喋り方もめちゃくちゃ可愛い。
寺山修司の話ができて、舞台の脚本を書いている。性格もかなりいい。
ただ「そんな人がこの世に実在するんだろうか?」と考えてしまいました(地縛霊ですが)。

裏設定

公演終了直後の4月22日、成松さんがSHOWROOMで生配信『成松はうす』の第9回をしたのですが、その中で成松さんは「裏設定がたくさんある」と自分の役「カントク」についての裏設定をかなり詳しく解説してくださいました。

私はなるべく舞台上で話が完結してほしいので、伝わらない「裏設定」が沢山あるのは好きではないです。読み取る能力が低いのもあると思いますが、裏設定が私にはあまり伝わってこなかったのでそこが残念でした。

アフタートークの印象

アフタートークでは、「teamさよう」と「teamならば」で劇の印象が全く違うという発言がありました。特に、主人公のボブの方言が異なるという点が興味深かったです。

また、フルキャストオーディションで、川本さんがオーディション参加者の人生を知り、「自らの試みが浅はかだった」と言ったことも印象的でした。

今後の期待

個人的にはこうした劇が好きなので、今後もこういう舞台ももっと観たいと思います。
2.5次元やそういう風味の劇も好きですが、成松さんがもうちょっとこういう劇にも出てくださると嬉しいです。


書くのに3ヶ月かかっていまいました。
上半期の推し出演作では間違いなく一番好きでした。

この記事が参加している募集