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舞台『「湯もみガールズⅨ」〜いつだって馬鹿正直におもてなし?!〜』感想(2023/07/15 14:00)

『「湯もみガールズⅨ」〜いつだって馬鹿正直におもてなし?!〜』@大塚・萬劇場。7/17まで上演。

推しの成松慶彦さんが初めて演出をするというので、7/15(土)マチネを観に行きました。劇場はほぼ満員でした。

脚本は高梨由さん。『菜々絵の探偵物語Ⅱ』、『菜々絵の探偵物語Ⅲ』を観ているので、高梨さん作品を生で観るのは3作目です(あまり覚えていないですが作・演出の『TRICK OR TRUTH』もDVDでは見ています)。

【寸評】

大体面白かったです。
いつも通り中盤あたりまでは観ていて少しストレスがあるんですけれど、終盤概ね綺麗に回収されるので、最終的な感想は「いつも通り良い」です。

【脚本】

私が観た湯もみガールズ関連作品3本に共通しているのは、それぞれ色んな問題を抱えた登場人物たちが右往左往交錯して、終盤主人公(『菜々絵の〜』は菜々絵、今回はつき子)がやや強引ではあるけれど綺麗に彼らの問題を解決していく、という概形。
登場人物たちの問題が概ね明らかになる中盤まで私は少しストレスを感じるのですが、問題は最後までに解決されるので安心して見ることができます。見た後はまさに温泉入って綺麗さっぱりほっこりしたあの気持ちに似ています。

今回はいつも「馬鹿正直」な主人公のつき子の様子がおかしくて、正直に言いすぎたり客が喜ぶおべっかばかり言ったりして皆を文字通り掻き回すので、途中のストレスはちょっと高かったです。ただ、終盤の問題の解決が今回もまあできていたので、いつも通りほっこりしました。

【演出】

湯もみガールズ関連3作品は全て違う方の演出で観ているのですが、本作は観ていてすごく「(私が知ってる)成松さん」っぽいと感じました。「笑い」のポイントが特に成さんっぽかったです。

俳優としての成松さんを数年推しているので、これまでのイベント等で見た即興劇や言動から「大きく気をてらうことはしてこないだろうけれど、何かしらのヒネリというか個性を出してくるだろう」と予測をして観劇しましたが、概ねその通りでした。

笑いどころは大体わかりやすくて、劇場では笑い声が時々漏れてました。
一番ウケていた後半の社長の「キラーン」というSEで遊んでいたところは私も好きです。
細かいですが「菜々絵は『おばさん』と呼ばれるとキャラが変わること」を、わざわざ舞台上にいなかった菜々絵を登場させてピンスポットをあてて演じさせ、更にキャラが変わる寸前で止めることで表現したのは個人的に好きでした。

あとコメディなので全体的にコミカルで大きな動きが目立ちましたが、感情の変化を表す細かな演技が割と上手く付けられていたと感じました。

【キャスト】

まず羽田圭子さんがすごく良かったです。めちゃくちゃ適役。そして衣装の着こなしが華があり上品で素敵でした。冒頭の日傘をさしてるところはパーフェクトでした。

木村優良さんは端的に言うと「空気読めないマザコン」の役なんですけど、「マザコン男のテンプレ」演技とは少し違う演技をされているな、と感じました。
登場直後のお母様への甘え方とかは非常に「らしい」のですが、幼稚一辺倒ではないところに非常に好感を持ちました。そして最後はイケメンでした。
あとやっぱり脚長っ。そして特に上半身が前よりガッチリしてません?

木下綾菜さんと平野勲人さんはキャラ変する度に微妙に声色や目つき、顔つきが変わるのがすごかったです。

野々山さくらさんと香厘さんは拝見するのが二度目(野々山さんは『モノクロ同盟』、香厘さんは『菜々絵の探偵物語Ⅲ』)なのですが、お二人とも前回見たときと全く違う感じの役を演じられていて、そちらもすごいなと思いました。

【あまり好きになれなかったところ】

大学生3人組

今回のお話の「問題を抱えた登場人物たち その2」なのですが、ラスト直前まで好きになれませんでした。イラっとくるキャラクターになるよう役作りがされているので、中盤まで彼らにイラつくのは作り手(脚本・演出)の意図通りにはなっているはずなのですが。
3人の関係が表面的なのを表すためとはいえ、なんでもかんでも「映え〜」とか言いながら動画や写真を撮りまくるキャラクターにしたというのは、ちょっと造形が甘く、今時の大学生に対する解像度が低い気がしました。

そして彼らの問題も最終的には綺麗に解決するのですが、解決の仕方がやや唐突だと感じました。私の観察が足りなかったのかもしれないけれど、海音はもうちょっと最初から違う感じを出していた方が良かったかなとは思います。

多一郎の「医師」設定

パンフに載っているのですが、完全に「死に設定」でした。
上演前にパンフを見ていたので、劇中つき子が熱を出したと聞いているのに何もしないのを見て「そこは医者感出すチャンスやん!!」となりました。

梢の隠し事

本作の大きな鍵である梢の隠し事。終盤真相が明らかになるのですが、「え、そんなこと?」とはなりました。

SE

全体的にわざとらしかった気がします。個人的にはもうちょっと抑えめというかナチュラルなほうが好きです。

暗転してピンスポットがつく演出が過剰

まず回数がちょっと多いと思いました。使われるシーンの内容も「わざわざそこでピンスポを使う必要が本当にあるか?」ということが多かったです。
ピンスポは「ここぞ」というときに使ってほしかったな、と。

つき子の幼稚園児姿の回想

推しは多分好きでやったんだろうけど、私はあまり好きじゃないです。

多一郎のチャックが上がらないくだり

推しは多分好きでやったんだろうけど、私は(以下略)。


「あまり好きになれなかったこと」が長くなりましたが、最初に書いたように全体的には「いつも通り良い」のでご興味ある方はぜひ。

成さん今後も演出もやれるといいなあ。コメディは向いてると思ったんですよねー。

【余談:カーテンコール】

この回のカーテンコールの挨拶は木村さんと羽田さんでした。
木村さんの挨拶はストレートで良かったです。ただ、羽田さんの挨拶で会場にすごい方々(有名な俳優さんやスポーツ選手などなど)がいらっしゃると判明し、劇場ざわつきました。

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