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舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯 感想(2024/07/19 18:00、07/21 18:00)

舞台『刀剣乱舞』心伝(しでん) つけたり奇譚の走馬灯 @ キャナルシティ劇場
上演時間はカーテンコール込みで19日が約2時間20分、21日(大千穐楽)が約2時間45分

「刀ステはずっと観ているけれど、今作を観にいった一番の理由は永倉新八役の足立英昭さん」というちょっと変わった観客の感想です。

前提

  • エンジョイ勢の審神者(石田正宗と後家兼光、富田江が私の本丸にはいない)

  • 刀ステシリーズは禺伝以外リアルタイムで見ていて、福岡公演には1公演は参戦するようにしている

  • 刀剣乱舞の推しは、今作には出ていない日本号

  • 俳優の推しは、刀ステ日本号役の成松慶彦さん

  • 幕末に興味が全くない

  • 新選組についても全く興味がなく知識は朧(2022年の舞台「新選組始末記」は成松さんが出たので見ている)

  • 永倉新八役の足立英昭さん目当てで今回大千穐楽含む2公演チケットを取った

私の推しは刀ステの日本号役の成松慶彦さんで、2018年以降の成松さんが出演した舞台作品のほとんどを見ています。で、この約6年成松さんと共演した俳優さんの中で足立さんが一番好きです。ただ一人「推し増し」を考えたほどでした。

最初に足立さんを観たのは2022年12月の王ステシリーズ3作目『屍の王』。
足立さんのことは『屍の王』を観劇するまで全く存じ上げなかったのですが、実際に観たら主人公を支えようとしたオルデンバルネフェルトの堅実さをあくまで自然に演じられていて、徐々に推しがいない間(推しは主人公と敵対していたので出番は被らない)は足立さんを見るようになっていました。
OPの全キャストが踊るダンスも自然なのに華とキレがあったし、声も喋りも違和感は与えないレベルで一際通っていて、暗い舞台上で一人輝いて見えました。
観劇後ロビーで成松さんの個人ブロマイドを買うついでに足立さんのも見たら3/4種売り切れていて、「わかる」となった記憶があります。

次に観たのは2023年3月の『見世物革命ゴウマちゃん』。
サァカス団の逆善座長(ぎゃくぜんざちょう)・カサンドラがビジュも演技もあまりに良かったのでトレカとアクスタを買いました。

私の中で割けるリソースが足りないので「推し」てはいないのですが、機会があればぜひまた劇場で観たいと思っていました。
それが、私が追っている刀ステシリーズに出演されるという形で叶い、キャスト発表とチケット当選で2度ガッツポーズを取りました。

ここから少しネタバレがある感想です。

全体の印象

舞台全体の印象は良く、今年観た舞台の中で間違いなく一番だと感じました(今年推しが碌な舞台に出てないのもあるのですが……)。
特命調査「慶応甲府」を遂行する刀剣男士たちの話の中で、新選組の歴史が「走馬灯」として断片的に演じられましたが、その構成に違和感はなく、スムーズに受け入れることができました。
特に沖田と斎藤の殺陣は、歴史上人物の強さがシリーズ最強だと感じさせるもので、非常に印象的でした。

キャストの演技:

永倉新八役の足立英昭さんは、右眉をあげて訝しげな表情をしたり、左口角を上げてニヤッと笑ったりと、ちょっとシニカルな表情が印象的でした。
特に印象に残ったのは、加州清光と大和守安定が説得に来るシーン。
「だから斬りに来たのかぃ?」と言うまでの間と、不敵な笑みが良かったです。
また、大和守安定の説得の言葉に声を荒げて「俺たちはいつだって利用されてきたんだ!」と言った後、説得のため敢えて新選組を貶す言葉を言う安定に対し、怒りの表情を浮かべながら向かうものの、最後は笑みを浮かべて「望むところよ」と静かなトーンで言うシーンも素晴らしかったです。
これらの台詞とその言い方から、永倉が非常に頭がキレるキャラクターであることが伝わってきました。
ただ、もう少し出番や見せ場があればと思いました。
新選組でも特に剣豪として知られる永倉なのに殺陣のシーンが少なかったことが惜しかったです。
しかし、それでも足立さんは輝いて見えました。
特に好きな声がよく通っていましたし、ビジュアルも素晴らしかったです。

他のキャストの皆さんの演技もすごかったです。
特に書きたいと思ったキャストさんについてだけ書きますが、アンサンブルの皆様含め全員良かったです。

刀剣男士
松田凌さんの加州清光は、仕草も声もまさに加州そのもので、原作台詞とイントネーションが違っても「この加州ならそう言うかな」という説得力がありました。
植田圭輔さんの大和守安定は、可愛らしいお顔なのに時々オラつく演技が上手く、田渕累生さんの和泉守兼定は、ハスキーな声と雄々しい演技が印象的で、特にフィジカルの強さが感じられるシーンが素晴らしかったです。
内藤大希さんの監査官は、人をくったような喋り方と「僕」という一人称が非常に刺さりました。

歴史上人物としては、沖田総司役の早乙女さんの殺陣と舞は異次元で、刀ステシリーズ最強と言えるレベルでした。
斎藤一役の池岡さんも殺陣が素晴らしく、近藤勇役の佐々木さんは、朧となりかけた状態での殺陣が非常に印象的でした。
谷三十郎役の阿見さんも俳優として非常に良く、特に映画『刀剣乱舞-継承-』では聞こえなかった素の声が良かったです。

アンサンブルの方々も、時間遡行軍がセットの下の方で少し可愛らしい動きを見せるシーンがあり、芸が細かくて楽しめました。

舞台美術や演出:

舞台美術は非常に良く、4つの階段状のセットが何度も組み変わり、時間遡行軍との殺陣のシーンでは1つの大きなセットになって回転し、その中を刀剣男士が時間遡行軍を斬っていく演出が非常に面白かったです。
また、上から下がってくる8枚のサイズの異なるスクリーンに、新選組の各時期の旗や隊士の映像が流れる演出も印象的でした。

ストーリー:

今回のストーリーは、原作ゲームの特命調査「慶応甲府」の大枠を活かしつつ、新選組の話を「走馬灯」という形で追っていく構成が良かったです。
ただ、刀ステシリーズの根幹のストーリーについては進展がほとんどなかった点が少し気になりました。

音楽や効果音:

刀ステ恒例の「よくわからんけどテンションがブチ上がる戦闘シーンのBGM」が、今回は特に良かったです。あの曲のためにサントラが欲しいと感じました。

観客の反応:

私は泣けませんでしたが、すすり泣く声が沖田の「走馬灯」とその後の加州と安定の回想で聞こえてきました。あのシーンが泣けるのは非常に理解できます。

個人的な感想や気づき:

幕末や新選組に興味が全くないのでついていけるか心配でしたが、2022年に舞台「新選組始末記」を観ていたことが案外効いて、予習なしでも楽しめました。
舞台「新選組始末記」は普通の出来で、観たことを今作途中まで忘れていたくらいですが、あの舞台の知識があったおかげで今作を割とすんなり楽しむことができました。

あと私は、舞台のパンフレットのコメントを読むのが好きで、足立さんのコメントも読みました。この記事は足立さんのコメントに対するアンサーでもあります。

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