ゼロテラ フェティシズム蒐集・いち 感想(2023/12/02 13:00/18:00)
ゼロテラ フェティシズム蒐集・いち @八王子小劇場
『矯正ドールのお仕事』と『コッペリオネッタ -ジーパラッドの供えもの-』の二人芝居2本立てで、上演時間は休憩なし約2時間。
ここから先軽いネタバレあり。
全体の感想
今回の観劇の一番の感想は劇の内容についてのものではなく「劇場のパイプ椅子がとにかく痛かった」ということ。
会場は全席同じパイプ椅子だったのですが、私が観劇した中で最も痛い椅子でした。あの椅子に2時間座り続けるのは拷問に近いです。
今回はミニプニ(※薄いゲルクッション)を座面に敷いて観劇しました。しかし2回とも1本目の『矯正ドールのお仕事』のラストあたりからお尻が痛くなり、2本目の『コッペリオネッタ(※以後省略)』の中盤以降は手に持っていたハンカチを絞って痛みを堪えるのに精一杯で、台詞がほとんど心に入ってきませんでした。
マチネを見終わった後一番最初に思ったことが「やっと立てる」という喜び、そして「夜また座るのキツいな」といううんざり感でした。
私の中でパイプ椅子からの痛みの記憶が2作からもたらされた情動全てに勝っているということが本当にダメです。
次に脚本・演出について。
脚本・演出の赤星さんとは3月の『見世物革命ゴウマちゃん』から「趣味が私とあまり合わない」と思っています。
今回の公演全体のタイトルが「フェティシズム蒐集」だったのでどんなフェティシズムが出てくるかと覚悟はしていたのですが、想定外の苦手な要素がありました(どんなものだったかは最後に書きました)。
また今回の台詞はゴウマちゃんより難解で、特に『コッペリオネッタ』では痛みに意識が取られて「なんか高尚なことを言っているのだろう」とフワフワとした理解しかできませんでした。
しかし、「成松さんの魅せ方」については赤星先生と結構好みが一致していたので、期待以上に良い成松さんが観れました。
ブラックライトを使った照明は好きでした。
『矯正ドールのお仕事』では舞台上に置かれたベッドのシーツとロネの白手袋がだけが光るシーンが良かったし、『コッペリオネッタ』では終始アンディーチェの服の端だけが全体に淡く光ってるのが良かったです。
あと衣装。衣装はとても良かったです。
ロネの粗い縫い目が強調された執事服も良かったですが、最も印象的だったのはアンディーチェの花嫁を思わせるフワフワヒラヒラとした衣装。ブラックライトでヒラヒラの端だけが仄かに青白く光り、神々しさを感じました。
各作品についての感想(大ネタバレなし)
ここから先はそれぞれの作品についての感想。
『矯正ドールのお仕事』
「成松慶彦のこんな役が観たかった2023」多分第一位。
「執事型ドール」って見たいに決まってるじゃないですか!
「成松さんの2023年のベストアクト」は『モノクロ同盟』と争うけれど、予想を超えて「個人的にこういう成松さんが観たいなと思っていたもの」をみせてくれました。
ニアについては「ロネに靴を履かせるところ」にも「癖」を感じて欲しかったのだろうけど、私はその前の右足だけ自分で靴を履く仕草がえらく魅力的に映りました。
話についてはぶっちゃけオチは想定の中にあったけれど、エピローグのロネにはとても満足しました。私はああいう成松さんが大好物なので……。
この作品はネタバレを見ずに1回見て、もう1回見たほうがいい作りの作品でした。
『コッペリオネッタ -ジーパラッドの供えもの-』
アンディーチェ役の田嶋さんがソワレのカーテンコールで「アンディーチェは人形少年です」とわざわざ仰っていたのですが、もうゴウマちゃんで「赤星先生はそういうのがお好きなんですね」と解っていたことなのでこれ以上追わないようにします。
でも、アンディーチェとティフォーネの背がほぼ同じ、なんならアンディーチェの方が高く見えるのはなんかツボでした。
アンディーチェ役の田嶋さんはほとんどずっと高めの声を出されていたのですが、あるシーンで低い声を出されるところがあって、そのギャップが良かったです。あと、後方で転がるように踊るシーンがあったと思うのですが、その体の動きが美しかったです。
ティフォーネ役の水瀬さんはまず顔がとにかく良かったです。
ソワレではティフォーネにとって大切な台詞の2回目の時両頬から伝うものが見えました。
内容はパイプ椅子からのお尻への攻撃が強すぎて理解ができてないのですが、フワフワとした不思議な作品でした。
『矯正ドールのお仕事』が強烈な終わり方だったので、後半がこの作品で良かったとは思っています。
苦手だった要素(ネタバレ)
少年愛はあらすじとビジュアルから覚悟して行ったのですが、サイレンと光の明滅(『矯正ドールのお仕事』のみ)、そして首絞めが私は苦手でした。